映画のレイティングシステム
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

しばらくの間は「一般映画」と「成人映画」[注 2]に分かれていたが、1974年に公開されたソフトポルノ作品『エマニエル夫人』が物議をかもしたことがきっかけで、「一般映画」と「成人映画」の間の区分が欲しいという声が上がり、1976年より、中学生以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要となる一般映画制限付(R指定)が導入された[6]。その後、残酷な描写をうりとした日本国外製のホラー映画の上映が相次いだことで子どもへの影響が懸念され、日本国外にも似たレイティングが存在していたことから、1998年5月には新たにPG-12指定が導入されたほか、既存のレイティングもそれぞれG(一般向け)、R-15指定(一般映画制限付)、R-18指定(成人指定)に名称が変更された[6]。さらに2009年5月には「映倫の大改革」に伴い、下記のように区分名称が変更され[7]、同時にドーナツごとに区分表示マークの分けが実施された。

かつては性的シーンの有無が重要な判断要素とされていたが、神戸連続児童殺傷事件などの猟奇的な犯罪事件の発生を踏まえ、1990年代以降は犯罪や差別行為などに関する描写も重要な判断要素の1つとなってきている[6]。また、PG12指定された2020年のアニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットにより、このレイティングの認知度が上がったと映画倫理機構の専務理事・事務局長(2020年時点)の石川知春は業界誌「文化通信ジャーナル」とのインタビューの中で話している[6]

2006年7月に設置された映像コンテンツ倫理連絡会議で、ビデオDVD/Blu-ray Discなど)作品やゲームソフトコンピュータゲームのレイティングシステム)等とのレイティングの審査基準・表示の統一化が検討されており、将来的に審査区分が変更される可能性がある。
区分
現行の区分

2009年5月より。「G 映倫」
G全ての年齢層が鑑賞可能な区分。軽度の暴力犯罪は容認される。1998年5月以前の一般指定及び1998年5月 - 2009年4月末までの一般指定を改定したものに相当する。区分表示マークの色はグリーン(緑色)。GはGeneral Audience(全ての観客)の略号[8]「PG12 映倫」
PG1212歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者助言指導が適当とされる区分のこと。1998年5月から2009年4月末まで導入されていたPG-12指定を改訂したものに相当する。区分表示マークの色はスカイブルー(水色=明るい青色)。PGはParental Guidance(の指導・助言)の略号[8]暴力残酷麻薬などの描写や、未成年役の飲酒たばこ自動車運転[6]ホラー映画など、小学生が真似をするおそれの高い映画がこの区分の対象になる(アニメ映画に関しても同様)。地上波放送の場合CS放送とは異なりG指定と同様に扱われるケースが多く、新聞雑誌番組表にも「PG12指定」と表記されない。『仮面ライダー THE NEXT』(日本)『ボーイズ・ドント・クライ』『バイオハザード』『フレイルティー 妄執』(以上米国)などは、ほとんどの国でR15+相当またはR18+相当に指定されたが、日本ではPG12指定となった。またビデオ映画アニメOVAも含む)では、『テディです! TEDDY DEATH』(英国)が現在のところ唯一PG12に指定(自主規制)された作品となっている。「R15+ 映倫」
R15+15歳未満の入場・鑑賞を禁止する区分のこと。区分表示マークの色はマゼンタ赤紫)。RはRestricted(観覧制限)の略号[8]。15禁とも俗称される。1998年5月以前の一般映画制限付及び1998年5月 - 2009年4月末までのR-15指定を改定したものに相当する。これまでと同様にPG12より刺激が強いものに加え、いじめ描写(『コックリさん (2004年の映画)』等)や暴力ODS先行上映が行われたOVA『コープスパーティーTS』等)も審査の対象になる。また放送禁止用語を使用した作品(『寝ずの番』『座頭市』等)や、北野武監督作品(『アウトレイジ』シリーズ等)を筆頭とする暴力団もの、偽造犯罪(『スワロウテイル』等)を題材にした作品も対象となる。極まれに地上波放送(主に深夜帯)されることもあるが、その場合は新聞や雑誌の番組表に「R-15指定」または「R15+指定」と表記され、当該シーンがカットされる。「R18+ 映倫」
R18+18歳未満の入場・鑑賞を禁止する区分のこと。いわゆる18禁成人映画と呼称される。区分表示マークの色はレッド。1998年5月以前の成人映画及び1998年5月 - 2009年4月末までのR-18指定を改定したものに相当する。これまでと同様にR15+に加え、著しく性的感情を刺激する行動描写や著しく反社会的な行動や行為、麻薬覚醒剤の使用を賛美するなど極めて刺激の強い表現が審査の対象となる。指定された作品例として『丑三つの村』(初回上映の際に)『シャブ極道』『私の奴隷になりなさい』(以上日本)『屋敷女』『アデル、ブルーは熱い色』(以上フランス)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『ニンジャアサシン』(以上米国)などが挙げられる。このレイティングに指定された映画は地上波テレビで放送できない上に、広告CMでの宣伝が不可能に等しくなり、公開する映画館が大幅に減少する。
審査適応区分外

R18+よりも過激な描写が収録されている映画は、映倫より審査適応区分外として扱われ、全国興行生活衛生同業組合連合会加盟の映画館での上映を断られる。そのため、オリジナルビデオでリリース(『オールナイトロング2』等)されたり、映倫の審査を通過していない作品も上映できる非加盟のミニシアターで上映(『インプリント?ぼっけえ、きょうてえ?』等)されることとなる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:81 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef