映倫維持委員会(映画業界内で構成)が定め、第三者機関である一般財団法人映画倫理機構が実施・管理する映画倫理規定(通称:映倫規定)が用いられる。
日本においては、1950年代に上映された「太陽族映画」が非倫理的として非難を受け、映画業界の関係者で構成された映画倫理規程管理委員会(旧映倫)にも審査が甘いとして批判された過去がある[2][3][注 1]。この反省として、外部の有識者による審査機関・映倫管理委員会が設立された[3]。しばらくの間は「一般映画」と「成人映画」[注 2]に分かれていたが、1974年に公開されたソフトポルノ作品『エマニエル夫人』が物議をかもしたことがきっかけで、「一般映画」と「成人映画」の間の区分が欲しいという声が上がり、1976年より、中学生以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要となる一般映画制限付(R指定)が導入された[6]。その後、残酷な描写をうりとした日本国外製のホラー映画の上映が相次いだことで子どもへの影響が懸念され、日本国外にも似たレイティングが存在していたことから、1998年5月には新たにPG-12指定が導入されたほか、既存のレイティングもそれぞれG(一般向け)、R-15指定(一般映画制限付)、R-18指定(成人指定)に名称が変更された[6]。さらに2009年5月には「映倫の大改革」に伴い、下記のように区分名称が変更され[7]、同時にドーナツごとに区分表示マークの色分けが実施された。
かつては性的シーンの有無が重要な判断要素とされていたが、神戸連続児童殺傷事件などの猟奇的な犯罪事件の発生を踏まえ、1990年代以降は犯罪や差別行為などに関する描写も重要な判断要素の1つとなってきている[6]。また、PG12指定された2020年のアニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットにより、このレイティングの認知度が上がったと映画倫理機構の専務理事・事務局長(2020年時点)の石川知春は業界誌「文化通信ジャーナル」とのインタビューの中で話している[6]。
2006年7月に設置された映像コンテンツ倫理連絡会議で、ビデオ(DVD/Blu-ray Discなど)作品やゲームソフト(コンピュータゲームのレイティングシステム)等とのレイティングの審査基準・表示の統一化が検討されており、将来的に審査区分が変更される可能性がある。 2009年5月より。「G 映倫」
区分
現行の区分
G全ての年齢層が鑑賞可能な区分。軽度の暴力や犯罪は容認される。1998年5月以前の一般指定及び1998年5月 - 2009年4月末までの一般指定を改定したものに相当する。区分表示マークの色はグリーン(緑色)。GはGeneral Audience(全ての観客)の略号[8]。「PG12 映倫」
PG1212歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が適当とされる区分のこと。1998年5月から2009年4月末まで導入されていたPG-12指定を改訂したものに相当する。区分表示マークの色はスカイブルー(水色=明るい青色)。PGはParental Guidance(親の指導・助言)の略号[8]。性・暴力・残酷・麻薬などの描写や、未成年役の飲酒・たばこ・自動車運転[6]、ホラー映画など、小学生が真似をするおそれの高い映画がこの区分の対象になる(アニメ映画に関しても同様)。地上波放送の場合CS放送とは異なりG指定と同様に扱われるケースが多く、新聞や雑誌の番組表にも「PG12指定」と表記されない。『仮面ライダー THE NEXT』(日本)『ボーイズ・ドント・クライ』『バイオハザード』『フレイルティー 妄執』(以上米国)などは、ほとんどの国でR15+相当またはR18+相当に指定されたが、日本ではPG12指定となった。またビデオ映画(アニメ→OVAも含む)では、『テディです! TEDDY DEATH』(英国)が現在のところ唯一PG12に指定(自主規制)された作品となっている。「R15+ 映倫」
R15+15歳未満の入場・鑑賞を禁止する区分のこと。区分表示マークの色はマゼンタ(赤紫)。RはRestricted