星のカービィ_(アニメ)
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作中で取り扱うパロディのジャンルは多岐にわたり、映画「サイコ」「ローマの休日」「モダン・タイムス」「生きる」「ジュラシックパーク」「風と共に去りぬ」「モスラ」「キングコング」、文学作品「ドン・キホーテ」「1984年」「ハリー・ポッターと賢者の石」といった有名どころの作品は余すところなくオマージュされている。

また、社会風刺と共にメタフィクション要素が非常に多いのも特徴である。中にはアニメ制作を題材としてアニメ業界に対する批判を行う回もあり、第49話はアニメ制作現場の過酷さと作画崩壊[注 5]、第89話では3DCG技術の発達によるセルアニメの衰退と当時世間にあまり知られていない萌えアニメオタクなどを風刺している。

デデデ大王コックカワサキらは強烈な台詞・言い回しが多かった。VHS版では一部台詞がカットされている(第61話でのデデデの「国家ぐるみの場合は犯罪にならんぞい」といった台詞など)[注 6]

ププビレッジの日常シーンではほのぼのと落ち着いた雰囲気で描かれているのに対して、星の戦士(銀河戦士団)に関する話ではシリアスになる。
登場人物に関して

作中に人間(地球人)を登場させない方針であるため、ほとんどの人物が1頭身から3頭身のコミカルな姿をしている。

カービィデデデ大王メタナイトコックカワサキといったゲーム版のキャラクターの他、フームブンエスカルゴンなどアニメオリジナルのキャラクターがメインになっており、ププビレッジの住民たちはキャピィ族(原作におけるキャピィ)が大半を占めている。

ゲーム版からのキャラクター(主に魔獣)は、初代『星のカービィ』・『夢の泉の物語』(および移植版の『夢の泉デラックス』)・『2』・『3』・『スーパーデラックス』からの出典だが、『64』のキャラは一切登場していない。

作風・世界設定の違いから原作から導入されたもので人物像等が大幅に変えられたものが多い。特に出番の多いカービィやデデデ大王はその傾向が顕著である。

カービィは主人公でありながら言葉を話さない(主に「ポヨ」と話す)という設定である。それは本来、遊ぶ人によってイメージが異なるゲームキャラであるカービィに固定的イメージを持たせないための配慮である[7]。ただし、人名や食べ物の名前など簡単な単語なら片言で話すことができる。原作では(主に初代の取扱説明書などで)「若者」と設定されているが、本作では「赤ん坊に近いもの」と設定されている。戦闘中に技の名前を叫ぶことがあるが、これは彼の心の声が伝わっているという設定であり、実際に話しているわけではない[8]。本編においての戦闘方法は殆どコピー能力のみである。能力の種類はゲーム出典が24種類、視聴者考案オリジナルが4種類、後述の特別編(番外編)オリジナルが1種類で合計29種類である。

デデデ大王は、ゲームでは悪事を行う事は何度かあっても単に自分勝手で単純な性格なだけで本質的には善良な人物だが、本作ではゲーム以上にかなりの悪事を平気で行う悪知恵の働く人物として描かれている。また基本的に絶対王政を乱用する暴君暗君として描かれているが、ゲームと同じく根は優しいととれる描写もある。一人称は「ワシ」で、いつも語尾に「ぞい」とつけて話す。

メタナイトは、コミカルな容姿のキャラクターが多くを占めるアニメ中で最もかっこいいキャラクターとして描かれている[7]。これ以前のゲーム作品ではどれも敵として登場しているが、本作ではカービィ達の味方となっている(第3話までは、敵か味方か曖昧な人物として描かれている)。「メタナイト」という名前には「」という階級名が追加されている。原作で見せるコウモリのような翼や、仮面の下の素顔は本作では見せない。彼が登場するシーンでは殆どの場合、自身のマントで下半身を包んでおり、原作のようなマントを垂らした姿を見せることは少なめである。戦闘などに必要でない限り下半身や両手、剣を出すことはない。また、原作での性格がクール一点張りなのに対し、本作の彼は基本的にはクールで真面目な性格ではあるものの、時折お茶目、天然ボケ、ミステリアス、ナルシストな面も描写されている。アニメ以降は味方寄りのキャラクターとなった。
商品展開、評価、影響

同社ゲームのアニメ作『ポケットモンスター』や同局の『平成ウルトラシリーズ』のように幼児?小学生を対象としていた為、ゲームのみならずアパレル、生活雑貨、絵本、菓子など幅広い展開がされた。またアニメ以前には様々なメーカーから玩具が販売されていたが、今作はタカラ(現・タカラトミー)が担当した。主力商品として「マグネットカービィコレクション」やメダルを使った「メダまる」が展開されたが売上が思わしくなかったためかアニメ2年目では目立った玩具の商品展開は見られなかった。この為2年目に登場したコピー能力は殆ど商品化されていない。

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}視聴率に関しては平均視聴率5%、最高視聴率7%と朝枠のアニメとしては高くはあれど朝枠の番組として高い数値とは言えない事や、上記の関連商品の売上、制作を担当するア・ウンが当時売り出し中ということでキリのよい話数で区切りをつけるという理由で2年目で終了することになった。[要出典]

CBC制作の全国ネットアニメは本作をもって区切りとなり、放送枠は後番組『美少女戦士セーラームーン』より特撮枠に移行。本作終了後、CBC[注 7]は2024年4月に日曜日23時30分枠に『アガルアニメ』を新設するまでは全国ネットアニメを手掛けていなかった。

アニメの展開に合わせてアニメの販促と連動を兼ねゲームの製品群も必要になり、本編にあたるアクションゲームと制作に時間がかからないという判断からレーシングゲームを制作することになった[9]。このうち本編ゲームはGBA用「夢の泉デラックス」「鏡の大迷宮」、GC版の「星のカービィ(仮称)」、レースゲームは「カービィのエアライド」であったがアニメの放送中に発売できたのは「夢の泉デラックス」「エアライド」の2作品のみで「鏡の大迷宮」はアニメ終了から半年後の展開となり、GC版は開発中止になりその要素を取り込んだ「Wii」がアニメ放送から10年後の発売となった 。

アニメ放送終了後もアニメ版のキャラクターデザインを使用したキャラクター商品が販売されていた[注 8]タカラトミーアーツが2008?2009年に食玩やガチャポントイとして今作の商品を展開しており、終了後に販売した『鏡の大迷宮』『参上! ドロッチェ団』での初出のコピー能力がアニメ版イラストとして登場している。後のゲームシリーズのグッズ展開もタカラトミーアーツが担当することになった。

アニメ監督の見里朝希は、インタビューで本作を影響を受けた作品の一つに挙げている[11]
その他特筆すべき点

最終回である第100話では話の展開に矛盾や強引さがいくつか見られた。脚本をチェックした原作者の桜井政博が総監督兼脚本家の吉川惣司に電話で連絡を取ったところ、当時吉川の妻が危篤状態で、今日か明日がヤマである状況だったといい、妻の最期に間に合うよう突貫作業で脚本を仕上げなければいけなかったという。吉川はこのことを桜井とプロデューサー以外の周囲の誰にも告げず脚本制作に取り込んでいたと知り、桜井は「自分だったら泣きながらあっさりと逃げ出してしまうのかもしれません」と思ったという。桜井が連絡を受けてから6時間後に吉川の妻は亡くなった。妻は生前吉川の仕事を心配しておりこのアニメが大好きだったといい、桜井にとってそのことだけは救われたと感じたという[12]

最終回のアフレコ時にナイトメアに攫われたフームをカービィが追いかけるシーンで、カービィ役の大本眞基子アドリブで「フーム!」と叫んだ。また、打ち合わせの段階では大ピンチに陥ったフームに対し、普段はフームに呼ばれて飛来するワープスターをカービィが自発的に「ワープスター!」と叫び自力で呼び出すという展開が桜井から吉川に提案されていたが、これらは使われなかった。桜井は放送開始時より「カービィの精神的成長」というテーマを検討しており、普段はほとんど喋らないカービィを最後に喋らせようと考えていたが、それがあえて使われなかったことについては「なんらかの形でアニメカービィを続けたいと監督やスタッフが願っているからではなかろうか」と解釈していた[13][注 9]

桜井がアニメの監修も担当する中で出演者やスタッフたちと親しくなり、最終回収録後のいつもならアフレコがあった日が丁度桜井政博の誕生日となったため、誕生パーティを開いてくれたというエピソードもある[注 10]


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