石炭紀からペルム紀にかけて大気中の酸素濃度が高かった時期には体長数十cmに達する巨大な昆虫が生息していたが、現代では最小の哺乳類や鳥類(1-2g)を超える体重を持つ昆虫は少数であり、小さいものは0.2mm、5μg以下と大型の原生動物(大型のゾウリムシなど)を下回る。
食性の上では、草食性、肉食性、雑食性など様々である。草食性では餌とする植物の種に特異性を持つ例も多く[12]、そのため植物の種ごとに決まった昆虫がある、という状況が見られる。寄生性のものもあり、シラミやハジラミ、クモバエやコウモリバエ、カエルキンバエやラセンウジバエなどは脊椎動物に寄生する。他の昆虫に寄生する種では、捕食寄生という独特な寄生の型を持つ例も多い。
大半の種が変温動物であり、3℃以上の環境でないと成長が行われず、それ以下になると冬眠状態となる。成虫の場合、一般に-3℃以下、45℃以上の環境にさらされ続けると死滅するが、卵の状態では温度耐性(特に低温)の範囲が大きくなるため、このまま越冬する種も多い。例外として群集性のものには、ハナバチ類の一部が、0℃時に30℃以上の体温を安定して保てるなど、ほぼ完全な恒温性のものも存在する。セッケイカワゲラやヒョウガユスリカのように、氷点下の気温でも活動できる種もあり、南極でも昆虫が生息している。
昆虫の一部は、植物の受粉と深い関係がある。花粉の媒介方法としては風と動物がほとんどを占め、動物媒は虫媒のほかに鳥やコウモリによる媒介も含まれるが、動物媒の中で最も多いものは虫媒である[13]。虫媒のみに頼る、または一部を虫媒とする花は16万種に及ぶとされる[14]。動物媒の花は虫を花に引き付けるために、風媒花と異なり美しい花や強い香り、豊かな蜜などを発達させたが、なかでも虫媒花は虫の強い嗅覚を利用するため、香りが強いものが多いことが特徴となっている[15]。(鳥は嗅覚が弱いため、鳥媒の花には香りは必要なく香りは弱いものとなっている)[16]。こうした虫の多くは花の蜜腺から分泌される蜜を食料とするほか、彼らの体につく花粉そのものも重要な食料としている[17]。 バッタ、イナゴ、蝶、ハチなど多くの昆虫の血糖はトレハロースであり、体内で分解酵素・トレハラーゼの作用でブドウ糖(グルコース)に変わることによって利用される。また、スズメバチとその幼虫の栄養交換液の中にもある。 昆虫の血糖としてのトレハロース濃度は、400-3,000 mg/dL(10-80 mM)の範囲にある[18]。この値はヒトのグルコースとしての通常の血糖値100-200 mg/dLに比べてはるかに高い。この理由の一つとして、トレハロースがタンパク質に対して糖化反応を起こさずグルコースに比べて生体に有害性をもたらさないためである[19][20]。 外骨格は甲殻類と違い、形成時にカルシウム沈着を伴わない。これは海中に比べてカルシウムに乏しい陸上での生活に適応した結果であり、外骨格を軽くすることにも繋がったため、後に飛行能力を発達させる上で有利に働いたという説がある。[21] 種類数の多いグループとしては、以下のようなものがある。(括弧内は2003年現在の日本産既知種数) 甲虫類は実際に種類が多いとされているが、飛翔能力が他の昆虫に比較して弱く、発見、採集が容易なため、種の同定が進んでいるのだとも言える。甲虫同様、生態が多様なハエ目やハチ目の昆虫は、実際には甲虫目を上回る種が存在するのではないかとも言われている。 昆虫は地球の歴史上、4億年前、動物の陸上進出が始まった頃に上陸した動物群の一つである[22]。なお2014年11月の大規模な分子系統解析によれば、陸上植物が出現して間もない4億8千万年前には原始的な六脚類が現れ、昆虫は4億4千万年前、翅で飛ぶ昆虫は約4億6百万年前、完全変態昆虫は3億5千万年前に出現した[23]。3億6千万年前に上陸した脊椎動物の両生類よりも早い時期であった[22]。 昆虫の生活様式、形態は非常にバラエティに富んでおり、様々な環境ニッチに適応して繁殖しており、その種類も非常に多い。恐竜登場前の2億-3億年前には、現在のゴキブリやトンボなどの祖先が既に登場していた。 .mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green} 甲殻類
生体
分類詳細は「昆虫の分類」を参照
甲虫目(鞘翅目) - カブトムシ、ゴミムシなどの仲間、35万種(10233種)
チョウ目(鱗翅目) - チョウ、ガの仲間、17万種(5337種)
ハエ目(双翅目) - ハエ・カ・アブなどの仲間、15万種(5183種)
ハチ目(膜翅目) - ハチ、アリの仲間、11万種(4516種)
カメムシ目(半翅目) - セミ、カメムシなどの仲間、8万2千種(2973種)
バッタ目(直翅目) - バッタ、コオロギなどの仲間、2万種(370種)
トンボ目(蜻蛉目) - トンボの仲間、5千種(180種)
進化詳細は「汎甲殻類」および「六脚類#起源と進化」を参照
無角類