日本
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少なくとも、少子高齢化の進展により2040年には年金給付が保険料収入を大幅に上回ることが予想されているため自助の比重が高まり、国民においては若年期からの数十年に渡る継続的な老後資金の積み立て(NISAiDeco個人年金保険等)や高齢期(65歳以降)の労働が必要な状況が生じている[31][32][33]。数千万円(2024年の時点では「将来の物価上昇を考慮すると2,000万円では足りず4,000万円以上は必要」との言説あり[34])の老後資金の積み立てが必要[注釈 9]なことや、円安に起因する物価高や、増税のために、国民の大多数は可処分所得の減少から生活苦に陥り、家庭を持つことを諦める国民も増えつつある。政府は生産年齢人口の減少への対応として誰もが活躍できる社会を目指すべく、高齢者の定義を従来の65歳以上から70歳以上に引き上げることを検討しているものの、高齢者向けの労働環境が十分に整備されない可能性があり、また医学的な意味で人体老化の進行が後ろ倒しになるわけでもないため国民からは不安な意見が出ている[35]2019年メキシコに抜かれるまでは日本の世界人口に占める割合の順位は10位だったが、2023年現在は12位になっており、今後は決して楽観できないという指摘もある[36]
産業面詳細は「#経済・産業」、「日本の貿易」、「日本の企業一覧」、「Made in Japan」、および「東アジアの奇跡」を参照

21世紀までに奇跡的な高度経済成長長期の経済停滞を経てきている。日本は1945年敗戦した太平洋戦争からの復興を果たし、国内で多数の企業躍進した結果、1964年OECD加盟をもって先進国入りを果たし、OECD加盟時に受諾した資本自由化等の義務を忠実に履行して政策協調も行った。太平洋ベルトを基盤として官民が総力を挙げて取り組んだ経済成長の最高の到達地点と言えるバブル絶頂期を迎えた1989年世界時価総額ランキングの上位10社の殆どを日本企業が独占するほどに日本の産業(特に製造業)が世界を席巻した。しかし、その後はIT革命に乗り遅れ[37][38]情報技術(IT)分野を中心とする米国企業に大きく抜かれた[39]21世紀に入ってからは、中国やアメリカ、インドの企業群との競争が激しい状況下であるが、自動車産業やエレクトロニクス産業、重化学工業の中心地であり[40][41]科学技術のリーダーとされる[42]。しかし、情報技術(IT)では遅れをとっており、古くブラックボックス化したレガシーシステム産業界の至るところに残っているため、2025年には「2025年の崖」という問題が発生してデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に歯止めが掛かると言われている[27]。DXの遅れは大きな経済損失を生むため、「2025年の崖」を境にして日本の経済は大きく落ち込む可能性がある[27]。更に2030年には日本経済を駆動する物流において、トラックドライバーの不足により全体の3割以上の荷物トラックで配送できなくなる「物流危機」が生じるため、日本経済が致命傷を受ける可能性がある[43]

トヨタ自動車パナソニック東京エレクトロン任天堂日立製作所三菱重工業日本製鉄三菱ケミカル東レ武田薬品工業ENEOSINPEX三菱商事ソニー、セブン&アイ、三井不動産、日本電信電話三菱UFJフィナンシャル・グループなど多数の大企業を輩出し、また、経済複雑性指標において日本は1984年昭和59年)以降、一貫して世界首位を維持している。このような理由から、列強の一国とみなされる[44][45]人間開発指数は高く先進国のひとつに数えられており[46]経済協力開発機構G7G8およびG20の参加国である。名目GDPは世界第4位かつ購買力平価は世界第4位である[47]

経済平和研究所による2022年令和4年)の健全なビジネス環境ランキングでは、日本はオーストラリアスイスカナダ英国に次いで世界第5位となっている[48]。また、2020年(令和2年)の国際労働組合総連合(ITUC)の労働権ランキングでは、世界で6段階中の2番手のグループに属し、台湾シンガポールとともにアジアで独歩的な位置を占め、世界的にもドイツイタリアには及ばないものの、フランスカナダと同格、アメリカ合衆国イギリスよりも高く、上位レベルとみなされる[49]。但し、「中抜き」という中間マージン搾取する商慣習があらゆる産業に蔓延っており、日本経済効率性を大きく落とす原因になっている[50]。また、時代に合わなくなり利益が上がらなくなった企業政府が支援することで急増した「ゾンビ企業」が日本経済の硬直化の原因となっている[51]

日本は島国で他国との文化的差異が大きい上に内向き志向が強く、国内市場も比較的大きいため、日本の産業界は国内での売上を基本とする傾向にあり、様々な産業ガラパゴス化が起きている。具体的には、他国の発明を日本に輸入して国内市場に特化した改良を行う事が多く、日本市場でしか通用しない(つまりは世界シェアを獲得できない)製品が多数作られている[52]世界に先駆けて高機能化が進んでいたが、世界標準技術で作られたスマートフォンに日本国内のシェアまで奪われたガラケーは、ガラパゴス化した製品の最も典型的な例として否定的な意味で議論の俎上に上がる事が多い[53]。しかし、後述する文化のように、ガラパゴス化が良い意味での固有性をもたらす事もある。
文化面詳細は「#文化」、「#観光」、「日本の観光地一覧」、「日本の美学」、「日本の伝統芸能」、および「日本の教育」を参照

文化面では漢字文化圏に含まれ、日本庭園日本建築和食着物宗教神道日本仏教)、武道武術(特に古武道)などの伝統文化を保持し、複数の世界遺産を保有している。また漫画特撮アニメゲームアイドルシティ・ポップを始めとするポップカルチャーの中心地である。他にも、日本の成人はOECDの調査で読解力・数的思考力においてフィンランドスウェーデンなどと並んで世界のトップレベルにあるため総じて理性的であり、お互いに順番を守り時には譲り合いをしてストライキ暴動といった過激な行動も滅多に起こさないという規律の正しさや、銃刀法により火器や規定以上の刃物の無許可での所持が禁止され、銃犯罪はおろか、女性が夜道を1人で歩いていても犯罪被害に遭うことすら殆ど無いという理想に近い治安の高さも実現している[54][55][注釈 10]。これらの文化は、欧米圏の文化と比べ特異な文化として海外から注目されている[注釈 11]食文化は最も特筆するべき点で、性愛を最も快いとする他国民と異なり日本人は「美味しいものを食べる」ことが最も快いと感じており[56]について一切妥協しない国民性によって磨き上げられた美食については圧倒的世界一の強さを誇っている。まず、2023年時点で東京2008年ミシュランガイド[注釈 12]初掲載以来16年連続で世界1位に輝いており、レストランの価格帯を問わない全般的な品質水準の高さと多数の国の料理が楽しめる多様性で他国の都市を圧倒する世界一の美食都市として世界的に知られている[57][58][59][60]。また、ミシュランガイドでは2位のパリに続いて京都が3位、大阪が4位と複数の日本の都市が最上位を独占していることから、日本は美食について単に世界一であるだけでなく、他国を寄せ付けないほどの圧倒的な強さを持つことが客観的に証明されている[59][61]日本人にとっては食事が美味しいことは当たり前過ぎるため世界にアピールしていない食文化は非常に多いが、訪日外国人がSNSを通して新たな価値の発見として世界に広めており[62]、「ガストロノミーツーリズム(食を中心としたツーリズム)」[63]を目的として来日する外国人も増加している。日本発のゲームも世界的に有名で、日本のゲーム文化の原点であるマリオシリーズを筆頭に数々のタイトルが世界的に広く知られている。家庭用ゲーム機ハードウェアでは、1990年代までに任天堂ソニーセガの3社が世界シェアの大部分を獲得し、強固なゲームプラットフォームとなったが、2001年平成13年)3月にはセガが撤退した。


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