日本音楽著作権協会
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Winnyなどファイル共有ソフトのネットワークでは、著作権侵害コンテンツを公開しているユーザへ削除を求めるなどコンピュータソフトウェア著作権協会と協力活動している[10]
私的録音録画補償金の分配業務「私的録音録画補償金制度」も参照

JASRACは著作権者の地位を有しており著作権に基づく私的録音録画補償金を請求する権利を有する(著作権法30条2項)が、私的録音録画補償金請求権はJASRACではなく私的録音補償金管理協会(sarah)と私的録画補償金管理協会(SARVH)が行使する(著作権法104条の2)但しSARVHについては後述の通り機能不全に陥り最終的に解散した。
私的録音補償金

sarahは補償金をJASRACに36パーセント、実演家団体の日本芸能実演家団体協議会に32パーセント、レコード製作者団体の日本レコード協会に32パーセント、それぞれ分配する。2018年度のJASRAC配分は約845万円である。

私的録音対象には音楽著作物と言語著作物があり、JASRAC配分補償金は音楽著作物に係るものと言語著作物に係るものに区分され、2018年度は音楽区分約810万円、言語区分約35万円[注釈 2]である。音楽区分補償金は10パーセントの管理手数料を控除後に権利者へ分配されるが、非委託者分は当該者の請求により分配しており[11]、非委託者である音楽著作権(録音権)管理事業者のNexToneへ2018年度に約35万円が分配されている。言語区分補償金は日本脚本家連盟へ分配され、連盟規程により各権利者に分配される。
私的録画補償金

SARVHは補償金をJASRACに16パーセント、日本脚本家連盟、NHKと日本民間放送連盟など映像関連7団体から構成される映像製作者委員会、などに合計52パーセント、日本芸能実演家団体協議会に29パーセント、日本レコード協会に3パーセント、それぞれ分配する。2007年度のJASRAC配分は2億400万円である。JASRAC配分補償金は管理手数料を控除後に権利者へ分配されていたが、2012年訴訟で敗訴して2015年にSARVHは解散し、制度破綻した。
沿革
プラーゲ旋風

日本は1899年ベルヌ条約に加盟して著作権法も施行されていたが、生演奏の他に録音媒体も再生ごとに使用料を支払う概念は皆無であった。1931年に旧制一高のドイツ人教師であったウィルヘルム・プラーゲが主にヨーロッパの著作権管理団体より日本での代理権を取得したと主張して東京に著作権管理団体「プラーゲ機関」を設立し、放送局オーケストラなど楽曲を使用するすべての事業者に楽曲使用料の請求を始めた。

プラーゲの要求する使用料は当時法外で手法が法的手段を含む強硬であることから、海外の楽曲の使用が事実上困難になった。日本放送協会(NHK)もプラーゲ機関との契約交渉が不調で1年以上海外の楽曲を放送できなくなった。プラーゲは日本の音楽作家に対しても著作権管理の代行を働きかけ始めた。プラーゲの目的は金銭ではなく著作権の適正運用だったとも言われているが、楽曲利用者との溝は埋めることができずに日本人作家の代理権取得は更なる反発を招いた。一連は「プラーゲ旋風」と呼ばれ日本における著作権集中管理のきっかけとなった。
仲介業務法の成立

事態打開のため1939年に、著作権管理の仲介業務は内務省の許可を得た者に限るとする「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(仲介業務法)が施行されてJASRAC前身の大日本音楽著作権協会も設立され、翌年1940年に業務が開始された[12]。プラーゲは著作権管理業務から排除されて同法違反で罰金刑を受け、1941年に離日した。文化庁は大日本音楽著作権協会ほか4団体に仲介業務の許可を与えて他の参入を認めず、音楽著作権の仲介は大日本音楽著作権協会の独占業務となった。
仲介業務法の終焉とJASRACの今後データカードダスに表記されている許諾マーク

著作権の一元管理は効率が高いシステムとして運用されてきたが、音楽ソフトのデジタル化やネットワーク化の進展などからJASRACの非効率性が指摘され、カラオケでも使用料や権利者への分配方法が決しないままビジネスが先行する弊害を招いた。旧来の録音演奏、楽譜出版と、ゲーム着信メロディネット配信などの区分管理にJASRACの著作権信託が未対応な不備を改める求め[13]などもみられることから、2000年著作権等管理事業法が成立して2001年に施行され、イーライセンスジャパン・ライツ・クリアランス(コピナビ)、ダイキサウンドなどの株式会社が音楽著作権管理事業に参入した。旧来の仲介業務法と異なり管理団体の設立が許可制から登録制に緩和されたが、JASRACの占有は大きい。
著作権政策への影響
私的録音補償金の対象機器拡大議論

JASRACは私的録音補償金対象機器の拡大を行政へ働いており、2005年4月28日の文化庁文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で新たにデジタルオーディオプレーヤー私的録音録画補償金制度の対象とするように要請したが、大半の所有者はコンパクトディスクの購入や音楽配信サービスからダウンロードなど正規に入手した音楽データをプレーヤーに複製(いわゆるメディアシフト)しており、「権利者の損失は無い」「著作権料の二重取り」など否定的意見が多く、2005年9月以降まで結論が先送りされている[14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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