日本語
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表音的に記せば、[ti??agunu hanaja ?imi?a?i?i sumiti, ?ujanu ju?igutuja ?imu?i sumiri] のようになるところである[注釈 29]

漢字表記の面では、地域文字というべきものが各地に存在する。たとえば、名古屋市の地名「杁中(いりなか)」などに使われる「杁」は、名古屋と関係ある地域の「地域文字」である。また、「垰」は「たお」「たわ」などと読まれる国字で、中国地方ほかで定着しているという[109]
文体

文は、目的や場面などに応じて、さまざまな異なった様式を採る。この様式のことを、書き言葉(文章)では「文体」と称し、話し言葉(談話)では「話体」[110]と称する。

日本語では、とりわけ文末の助動詞・助詞などに文体差が顕著に現れる。このことは、「ですます体」「でございます体」「だ体」「である体」「ありんす言葉」(江戸・新吉原の遊女の言葉)「てよだわ言葉」(明治中期から流行した若い女性の言葉)などの名称に典型的に表れている。それぞれの文体・話体の差は大きいが、日本語話者は、複数の文体・話体を常に切り替えながら使用している。

なお、「文体」の用語は、書かれた文章だけではなく談話についても適用されるため[111]、以下では「文体」に「話体」も含めて述べる。また、文語文・口語文などについては「文体史」の節に譲る。
普通体・丁寧体

日本語の文体は、大きく普通体(常体)および丁寧体(敬体)の2種類に分かれる。日本語話者は日常生活で両文体を適宜使い分ける。日本語学習者は、初めに丁寧体を、次に普通体を順次学習することが一般的である。普通体は相手を意識しないかのような文体であるため独語体と称し、丁寧体は相手を意識する文体であるため対話体と称することもある[112]

普通体と丁寧体の違いは次のように現れる。

\普通体丁寧体
名詞文もうすぐ春だ(春である)。もうすぐ春です。
形容動詞文ここは静かだ(静かである)。ここは静かです。
形容詞文野山の花が美しい。(野山の花が美しいです。)
動詞文鳥が空を飛ぶ。鳥が空を飛びます。

普通体では、文末に名詞・形容動詞・副詞などが来る場合には、「だ」または「である」を付けた形で結ぶ。前者を特に「だ体」、後者を特に「である体」と呼ぶこともある。

丁寧体では、文末に名詞・形容動詞・副詞などが来る場合には、助動詞「です」を付けた形で結ぶ。動詞が来る場合には「ます」を付けた形で結ぶ。ここから、丁寧体を「ですます体」と呼ぶこともある。丁寧の度合いをより強め、「です」の代わりに「でございます」を用いた文体を、特に「でございます体」と呼ぶこともある。丁寧体は、敬語の面からいえば丁寧語を用いた文体のことである。なお、文末に形容詞が来る場合にも「です」で結ぶことはできるが「花が美しく咲いています」「花が美しゅうございます」などと言い、「です」を避けることがある。
文体の位相差

談話の文体(話体)は、話し手の性別・年齢・職業・場面など、位相の違いによって左右される部分が大きい。「ごはんを食べてきました」という丁寧体は、話し手の属性によって、たとえば、次のような変容がある。

ごはん食べてきたよ。(子どもや一般人のくだけた文体)

めし食ってきたぜ。(SNSや学生の粗野な文体)

食事を取ってまいりました。(成人の改まった文体)

このように異なる言葉遣いのそれぞれを位相語と言い、それぞれの差を位相差という。

物語作品やメディアにおいて、位相が極端にステレオタイプ化されて現実と乖離したり、あるいは書き手などが仮想的(バーチャル)な位相を意図的に作り出したりする場合がある。このような言葉遣いを「役割語」と称することがある[113]。例えば以下の文体は、実際の性別・博士・令嬢・地方出身者などの一般的な位相を反映したものではないものの、小説・漫画・アニメ・ドラマなどで、仮想的にそれらしい感じを与える文体として広く観察される。これは現代に始まったものではなく、近世や近代の文献にも役割語の例が認められる(仮名垣魯文『西洋道中膝栗毛』に現れる外国人らしい言葉遣いなど)。

ごはん食べてきたわよ。(目上の女性)

わしは、食事をしてきたのじゃ。(博士風)

わたくし、お食事をいただいてまいりましてよ。(お嬢様風)

おら、めし食ってきただよ。(田舎者風)

ワタシ、ごはん食べてきたアルヨ。(中国人風。協和語を参照)

待遇表現詳細は「待遇表現」および「敬語」を参照

日本語では、待遇表現が文法的・語彙的な体系を形作っている。とりわけ、相手に敬意を示す言葉(敬語)において顕著である。

「敬語は日本にしかない」と言われることがあるが、日本と同様に敬語が文法的・語彙的体系を形作っている言語としては、朝鮮語ジャワ語ベトナム語チベット語ベンガル語タミル語などがあり、尊敬・謙譲・丁寧の区別もある[114]。朝鮮語ではたとえば動詞「??(ネダ)」(出す)は、敬語形「???(ネシダ)」(出される)・「???(ネムニダ)」(出します)の形を持つ。

敬語体系は無くとも、敬意を示す表現自体は、さまざまな言語に広く観察される。相手を敬い、物を丁寧に言うことは、発達した社会ならばどこでも必要とされる。そうした言い方を習得することは、どの言語でも容易でない。

金田一京助などによれば、現代日本語の敬語に特徴的なのは次の2点である。


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