日本語
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また、名詞の格を示すためには、語順や語尾を変化させるのでなく、文法的な機能を示す機能語(助詞)を後ろに付け加える(膠着させる)。これらのことから、言語類型論上は、語順の点ではSOV型の言語に、形態の点では膠着語に分類される(「文法」の節参照)。

語彙は、古来の大和言葉(和語)のほか、漢語(字音語)、外来語、および、それらの混ざった混種語に分けられる。字音語(漢字の音読みに由来する語の意、一般に「漢語」と称する)は現代の語彙の一部分を占めている。また、「/(ゑ)」など、もともと音であるが和語と認識されているものもある。さらに近代以降には西洋由来の語を中心とする外来語が増大している(「語種」の節参照)。

待遇表現の面では、文法的・語彙的に発達した敬語体系があり、叙述される人物どうしの微妙な関係を表現する(「待遇表現」の節参照)。

日本語は地方ごとに多様な方言があり、とりわけ琉球諸島で方言差が著しい(「方言」の節参照)。近世中期までは京都方言が中央語の地位にあったが、近世後期には江戸方言が地位を高め、明治以降の現代日本語では東京山の手中流階級以上の方言(山の手言葉)を基盤に標準語(共通語)が形成された(「標準語」参照)。

表記体系はほかの諸言語と比べて極めて複雑かつ柔軟性の高さが特徴である。漢字国字を含む。音読みおよび訓読みで用いられる)と平仮名片仮名が日本語の主要な文字であり、常にこの3種類の文字を組み合わせて表記する(「字種」の節参照)[注釈 5]。表音文字で表記体系を複数持つため、当て字をせずに外来語を表記することが可能だが、ラテン文字ローマ字)やギリシャ文字(医学・科学用語に多用)などもしばしば用いられる。また、縦書きと横書きのどちらでも表記することが可能である(表記体系の詳細については「日本語の表記体系」参照)。

音韻は「子音+母音」音節を基本とし、母音は5種類しかないなど、分かりやすい構造を持つ一方、直音拗音の対立、「1音節2モーラ」の存在、無声化母音、語の組み立てに伴って移動する高さアクセントなどの特徴がある(「音韻」の節参照)。
分布成田国際空港到着ゲートの看板。他言語は日本入国を歓迎する文言になっているのに対し、日本語は「おかえりなさい」と帰国を労う表現となっている。

日本語は、主に日本国内で使用される。話者人口についての調査は国内・国外を問わずいまだないが、日本の人口に基づいて考えられることが一般的である[13][注釈 6][注釈 7]

日本国内に、法令上、日本語を公用語ないし国語と定める直接の規定はない。しかし、法令は日本語で記されており、裁判所法においては「裁判所では、日本語を用いる」(同法74条)とされ、文字・活字文化振興法においては「国語」と「日本語」が同一視されており(同法3条、9条)、その他多くの法令において、日本語が唯一の公用語ないし国語であることが前提とされている。また、法文だけでなく公用文はすべて日本語のみが用いられ、学校教育では日本語が「国語」として教えられている。

日本では、テレビラジオ映画などの放送、小説漫画、新聞などの出版の分野でも、日本語が使われることがほとんどである。国外のドラマや映画が放送される場合でも、基本的には日本語に訳し、字幕を付けたり声を当てたりしてから放送されるなど、受け手が日本語のみを理解することを前提として作成される。原語のまま放送・出版されるものも存在するが、それらは外国向けに発表される前提の論文、もしくは日本在住の外国人、あるいは原語の学習者など限られた人を対象としており、大多数の日本人に向けたものではない。

日本国外では、主として、中南米(ペルー[16]ブラジル[16]ボリビアドミニカ共和国パラグアイなど)やハワイなどの日本人移民の間に日本語の使用がみられる[注釈 8]が、3世・4世と世代が下るにしたがって非日本語話者が多くなっているという[17]。また、太平洋戦争の終結以前に日本領ないし日本の勢力下にあった朝鮮総督府朝鮮半島台湾総督府台湾・旧満州国で現在中華人民共和国の一部・樺太庁樺太サハリン)・旧南洋庁南洋諸島(現在の北マリアナ諸島パラオマーシャル諸島ミクロネシア連邦)などの地域では、日本語教育を受けた人々の中に、現在でも日本語を記憶して話す人がいる[注釈 9]。台湾では先住民の異なる部族同士の会話に日本語が用いられることがある[19]だけでなく、宜蘭クレオールなど日本語とタイヤル語クレオール言語も存在している[20]。また、パラオのアンガウル州では歴史的経緯から日本語を公用語の一つとして採用している[21]が、現在州内には日本語を日常会話に用いる住民は存在せず、象徴的なものに留まっている[22]

日本国外の日本語学習者は2015年調査で365万人にのぼり、中華人民共和国の約95万人、インドネシアの約75万人、大韓民国の約56万人、オーストラリアの約36万人、台湾の約22万人が上位となっている。地域別では、東アジア東南アジアで全体の学習者の約8割を占めている。日本語教育が行われている地域は、137か国・地域に及んでいる[23]。また、日本国内の日本語学習者は、アジア地域の約16万人を中心として約19万人に上っている[24]。詳細は「日本語教育」を参照
系統

「日本語」の範囲を本土方言のみとした場合、琉球語が日本語と同系統の言語になり両者は日琉語族を形成する。

琉球列島(旧琉球王国領域)の言葉は、日本語と系統を同じくする別言語(琉球語ないしは琉球諸語)とし、日本語とまとめて日琉語族とされている。共通点が多いので「日本語の一方言琉球方言)」とする場合もあり、このような場合は日本語は「孤立した言語」という位置づけにされる。「日琉語族#概要」および「日琉祖語#日琉の分岐」も参照

日本語(族)の系統については明治以来様々な説が議論されてきたが、いずれも他の語族との同系の証明に至っておらず、不明のままである[25][26][27][28][注釈 10]
アルタイ諸語との関係アルタイ諸語の分布

アルタイ諸語に属するとする説は、明治時代末から特に注目されてきた[29]。その根拠として、古代の日本語(大和言葉)において語頭にr音(流音)が立たないこと、一種の母音調和[30]が見られることなどが挙げられる。


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