日本語の音韻
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しかし「う」は母音融合などで見られるように、音韻上は未だに円唇後舌狭母音として機能する[5]。円唇性の弱さを強調するために、[?] を使うこともあるが[6]、これは本来朝鮮語に見られる、iのような完全な張唇でありながら、u のように後舌の狭母音を表す記号であり、円唇性が減衰しつつも残存し、かつ後舌よりやや前よりである日本語の母音「う」の音声とは違いを有する。またこの種の母音は、唇と舌の連関から外れるため、母音数5以上の言語でない限り、発生するのは稀である。

「ス・ズ・ツ・シュ・チュ・ジュ」ではさらに前寄り(中舌的)で、円唇性の弱い [i] になる[7]。「う」は唇音の後と西日本方言では「う」は東京方言よりも奥舌で、唇も丸めて発音し、 [??] に近い。


母音の無声化

多くの方言で、アクセントを伴わない /i/・/u/ が無声子音の間にある時に無声化する[8]。無声化した母音の隣接した音節では通常は無声化する事はない。さらに単語の終わりの抑揚が低い時は、そこの無声子音の後の /i/・/u/ が無声化する。更に、/si, ti, hi, su, tu, hu/ の場合は無声母音すら持たず、持ったとしても、その長さは極度に短い。

  /kutu?/ > [k??.ts??]kutsu 靴  /kisitu/ > [k?i?.?i.ts??]kishitsu 気質
  /ti?siki/ > [t??i.?.k?i]chishiki 知識  /hikaku/ > [c.k?.k?]hikaku 比較

より小さい範囲に /o/ が2拍以上隣接していると無声化することがある。

  /koko?ro/ > [ko?ko??o]kokoro 心

鼻音化

/m/・/n/ に隣接している時に、母音はわずかに鼻にかかった声で話される。撥音 /N/ の前の母音ではかなり鼻にかかった声(鼻母音)で話される。

  /seesaN/ > [se?sa?]seisan 生産  /haNgaku/ > [h???.??.k?]hangaku 半額

声門閉鎖音挿入

単語の始めと終わりで、それぞれ声門閉鎖音 [?] が発音されることがある。これは以下の言葉(単独で発音される)で表される。

  /e?N/ > [(?)??]:en 円
  /kisi?/ > [k?i?.?i?]:kishi 岸
  /u?/ > [(?)??]:u 鵜

単語の最終的な語が強調されて口にする時、この声門閉鎖音は明らかに聞き取れて時々、促音で表される。これは「あっ」と「えっ」のような感動詞でも見つかる。
長母音

日本語の母音には長短の区別があるが、これを音韻的にどう解釈するかは説が分かれる。「伸ばし音素」のようなものを認めることも、長母音を単に2つの(短)母音が並んだものと考えることも可能である。(下記#/R/を参照)
子音

子音の主な音声には以下が現われる。平仮名の例は代表としてア段のものを記す。

両唇音歯茎音そり舌音硬口蓋音軟口蓋音口蓋垂音声門音
破裂音p b t d k ?  
鼻音m n ? か??  
ふるえ音(r)    
はじき音? (? )   
摩擦音? ふぁ(β )s z c ひゃ(? )h
接近音β? (? )j (?
側面音側面接近音  (l
側面はじき音  (? [d????]


上の表の括弧内の子音は異音である。

/p/・/t/・/k/ は通常弱い有気音になる[9]

子音は /i/ または /j/ の前では強く口蓋化される。[n] → [n?]、[p] → [p?] など。

/t/・/d/・/n/ は舌端音歯音(つまり、舌は、上の歯の後ろと歯茎の前部と接触する)として調音される。 [t?]・[d?]・[n?]

/t/・/d/は舌端音歯音、/s/・/z/ は舌端音歯茎音である。

/i/ の前では歯茎硬口蓋音 [t] → [t?]、[d] → [(d)?]、[s] → [?]、[z] → [(d)?] になる。

/u/ の前では歯茎音 [t] → [ts]、[d] → [(d)z]、[s] → [s]、[z] → [(d)z] になる。


/?/ は主に外来語に現れる。独立した音素とみなさないこともできる。/u/ の前では /h/ と区別されない。

/?/ (ガ行鼻濁音)は一部の話者にのみ現れ、それ以外の話者は /?/ と区別しない。これが /?/ と異なる音素かどうかについては議論がある。

/?/ は(ガ行鼻濁音にならない場合)母音間では摩擦音 [?] になることが多い。

/b/ は母音間では摩擦音 [β] になることが多い[10]

/z/ は破擦音として現れることが多い。典型的には語頭と撥音 /?/ の後で破擦音 [dz]、母音の後ろでは摩擦音 [z] になる。

/r/ はさまざまな形であらわれる。服部によると調音部位も後続する母音によって異なる[11]。IPAハンドブックによれば[12]

語頭と撥音 /?/ の後では摩擦部分の短い後部歯茎破擦音 [d????] である。

それ以外の位置では後部歯茎はじき音 [??] である(IPAハンドブックではそり舌はじき音 [?] を使用している)。

すべての位置で後部歯茎側面接近音 [l?] が現れることがある。

環境によっては歯茎接近音 [?] が現れることがある。

また環境によっては後部歯茎ふるえ音 [r?] が現れることがある[要出典]。


/h/ は /i/ の前では無声硬口蓋摩擦音 [c] になり、/u/ の前では無声両唇摩擦音 [?] になる[13]

/w/ は母音 /u/ と同様に、唇を突き出したり丸めたりせず、上唇と下唇を近づけて、その狭い隙間から音を出す両唇接近音 [β?]。この音を軟口蓋接近音 [?] で表すこともある[14]

撥音/N/の子音

撥音 /N/ は、後ろが子音が続くときはその子音と同じ調音位置になる。

[n]・[t]・[d] の前では
歯茎鼻音 [n] になる。

[m]・[p]・[b] の前では両唇鼻音 [m] になる。

[k]・[g] の前では軟口蓋鼻音 [?] になる。

母音、半母音、摩擦音または、はじき音の前のときは鼻母音になる。

語末では通常は口蓋垂鼻音 [?]、たまに軟口蓋鼻音 [?] になる。歌手の多くは両唇鼻音 [m]を語末の「ん」として使う。


促音 /Q/ の子音

促音 /Q/ の子音は後にくる子音によって変わってくる。

破裂音の前ではその破裂音の
内破音である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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