日本語の音韻
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/h/ は /i/ の前では無声硬口蓋摩擦音 [c] になり、/u/ の前では無声両唇摩擦音 [?] になる[13]

/w/ は母音 /u/ と同様に、唇を突き出したり丸めたりせず、上唇と下唇を近づけて、その狭い隙間から音を出す両唇接近音 [β?]。この音を軟口蓋接近音 [?] で表すこともある[14]

撥音/N/の子音

撥音 /N/ は、後ろが子音が続くときはその子音と同じ調音位置になる。

[n]・[t]・[d] の前では
歯茎鼻音 [n] になる。

[m]・[p]・[b] の前では両唇鼻音 [m] になる。

[k]・[g] の前では軟口蓋鼻音 [?] になる。

母音、半母音、摩擦音または、はじき音の前のときは鼻母音になる。

語末では通常は口蓋垂鼻音 [?]、たまに軟口蓋鼻音 [?] になる。歌手の多くは両唇鼻音 [m]を語末の「ん」として使う。


促音 /Q/ の子音

促音 /Q/ の子音は後にくる子音によって変わってくる。

破裂音の前ではその破裂音の
内破音である。

/p/ の前では [p?] になる。

例 葉っぱ [hap?pa]


/t/ の前では [t?] になる。

例 打った [ut?ta]


/k/ の前では [k?] になる。

例 作家 [sak?ka]



破擦音の前では内破音の[t]になる。

例 一致 [it?t?i]

例 ブリッジ [bu?it?d?i]

例 グッズ [gut?dzu]

例 三つ [mit?tsu]


摩擦音の前ではその摩擦音を伸ばす。

例 あっさり [assa??i]

例 一緒 [i??o]

例 バッハ [bahha]

例 ビュッフェ [bju??e]

例 ワッフル [wa??u?u]


語末では声門閉鎖音 [?] になる。

例 あっ [a?]


子音の音韻的解釈上の議論
/'/

服部四郎は、母音ではじまる音節(ア行・ヤ行・ワ行)の前に子音 /'/ があると考え[15]、これによっていくつかの音声的事実を説明できるとする。この音素を立てた場合、日本語のすべての音節は子音で始まることになる。柴谷方良は /'/ の存在を疑っている[16]
/?/

服部四郎は、/?/ を /?/ とは別の音素とする。

/oo?arasu/ (大鴉)と /oogarasu/ (大ガラス)のような最小対がある。
[17]

語頭でも /?a/ 「が、(しかし……)」のように言うことがある。

ということを根拠とする。しかし、多くの学者はこれに反対している[18]
/c/

「チ・ツ」の子音が「タ・テ・ト」の子音と音韻的に同じかどうかについては議論がある。服部四郎は /t/ が /j/ /i/ /u/ の前だけで破擦音になる理由がないとして、/t/ とは別に /c/ を立てる[19]。しかし /c/ を認めず、「チ・ツ」を /ti/・/tu/ とする解釈もある[20]

前者の解釈では /ti/・/tu/ および /di/・/du/ は空き間(あきま)になっている(理論的には存在するが歴史的理由でその音をもつ語が存在しない)と解釈する。後者の解釈では /di/・/du/ は /zi/・/zu/ と中和していると考えることになる。
/Q/

服部四郎は促音を音素 /Q/ とする。たとえば「あった」は /aQta/ になる。これを /atta/ と解釈することも可能である。
/R/

金田一春彦は長音のために長音素を立てる[21]服部四郎は音声的実体がないとしてこれに反対するが[22]、柴谷方良は金田一春彦に賛成する[23]
アクセント詳細は「アクセント#日本語のアクセント」および「日本語の方言のアクセント」を参照

日本語東京方言は高低アクセントを持つ。すなわち、一語のうちの最後に高くなるモーラが語によって決まっている。服部四郎の用語ではこれをアクセント核と呼ぶ。金田一春彦は低くなるモーラの前にアクセントの滝があると考える(ダウンステップを参照)。

各モーラの高さはアクセント核から予測可能である。アクセント核が第2モーラ以降にあれば第1モーラは通常低い。第2モーラからアクセント核のあるモーラまでは高く、それ以降は低い。アクセント核のない、いわゆる平板調の語もある。
連音

現代日本語の連音現象としては、連濁が代表的である。ほかに連声音挿入音便などがあるが、生産的ではない。
脚注[脚注の使い方]^ 金田一春彦『日本語の特質』(NHKブックス、1991年)
^ 原典不明。金田一春彦『日本語の特質』(NHKブックス、1991年)にも記載されている。
^ 「日本語の音声」窪園晴夫、1999、p35?p37
^ 「日本語の音声」窪園晴夫、1999、p34~p35
^ 「日本語の音声」窪園晴夫、1999、p100
^ 「日本語の音声」窪園晴夫、1999、p35
^ 服部(1984) p.80
^ Tsuchida (2001:225)
^ 服部(1984) p.113
^ 服部(1984) p.74
^ 服部(1984) p.78
^ Okada (1999)
^ Okada (1991:95)
^ Ladefoged (2001) p.216
^ 服部(1960) p.290
^ Shibatani (1990) p.162
^ 服部(1960) p.338
^ Shibatani (1990) p.172
^ 服部(1960) p.288
^ Shibatani (1990) pp.164-166
^ 金田一(1950)
^ 服部(1960) p.327
^ Shibatani (1990) pp.162-163

参考文献

Okada, Hideo (1999). “Japanese”. Handbook of the International Phonetic Association. Cambridge University Press. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}
ISBN 0521637511 

金田一春彦「「五億」と「業苦」―引き音節の提唱」」『国語と国文学』27(1)、1950年。 

Shibatani, Masayoshi (1990). The languages of Japan. Cambridge University Press. ISBN 0521369185 


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