日本語の誤用
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このため、小説家の藤沢周平は過去に使いたくない言葉に挙げている[10]。なお、1990年代以前の国語辞典・国語辞書には「死に様」しか記載されていない[11]
確信犯
本来の意味は義賊テロリズムなど、自分の信念こそが正しい、社会体制は間違っている、だから変えねばならないと強く思って犯す罪のことである。しかしながら、悪いことと知りつつ犯罪を起こす故意犯を意味する単語と捉えられ使用されている。文化庁の平成27年度『国語に関する世論調査』では、誤用が69.4パーセントで、本来の意味の17.0パーセントを大幅に上回っている[12]
姑息
本来は「一時しのぎ」の意味である。しかしながら文化庁の平成22年度『国語に関する世論調査』では、本来の意味ではない「ひきょうな」という意味であると回答した人が70.9パーセントで、本来の意味である「一時しのぎ」という意味であると回答した人の15.0パーセントを大幅に上回っている[13]
性癖
本来は
の意であり、人間の心理・行動上に現出する偏りや傾向のことで、特に悪癖と見做されるものを指す場合が多い(貧乏揺すりなど)。しかしながら、ここでの「性」は性質の謂であるが、誤って性交の意ととらえて、専ら性的な交わりの際に現れる癖・嗜好、交接時の習慣・習性、すなわちフェチ性嗜好性指向や性的な嗜癖の意味でのみ用いられることがある[14]
情けは人の為ならず
本来は「人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」の意味である。しかしながら文化庁の平成13年度『国語に関する世論調査』では、誤用である「人に情けを掛けて助けてやることは、結局はその人のためにならない」と回答した者が48.2パーセントで、本来の意味である「人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」と回答した者の47.2パーセントを上回った。平成22年度の調査では誤用が45.7パーセントで、本来の意味が45.8パーセントと上回ったもののほぼ拮抗している[15]
役不足
本来は「本人の力量に対して役目が軽すぎること」の意味である。しかしながら文化庁の平成14年度『国語に関する世論調査』では、誤用である「本人の力量に対して役目が重すぎること」(=力不足)と回答した者が62.8パーセントで、本来の意味である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と回答した者の27.6パーセントを大きく上回っていたが、平成18年度の調査では誤用が50.3パーセント、本来の意味が40.3パーセント、平成24年度の調査では誤用が51.0パーセント、本来の意味が41.6パーセントと本来の意味を回答する者が増えてきている[16]
煮詰まる
本来は鍋を使って水分を飛ばす料理が完成に近づきつつある最終段階を指し、転用により思考作業におけるアイデアの構築や議論が最終段階に入ったことに模した表現である。しかしながら語感の似通った「行き詰まる」と混同されて、しばしば本来とは反対の意味に誤解される様になった。
?感
本来は「?感」の表現は「何かを体験した結果により生じた当人の感覚・感じ・感情」を表す(例:高揚感・快感・恐怖感・危機感を抱く)[注釈 1]。しかしながら「緊迫感・スピード感を持って対処する」などと感情などを指すとは異なる意味で使われる場合が見られる。なお「危機意識を持って・共有して」の用例の「?意識」については、他人へ喚起することもでき特に誤りではない。
重言

「電車に乗車する」のように同意の語を重ねた言い方を重言といい[17]、しばしば誤用と見なされることがある。

例えば、「頭痛が痛い」、「馬から落馬する」、「挙式をあ(挙)げる」、「まだ(未だ)未定」など。
創作関連
世界観
元は18世紀以来のドイツ語Weltanschauungの訳語であって、世界全体の統一的な把握をいう。「世界像 (Weltbild)」のように、単に世界の客観的・知的な見方であるだけでなく、より直接的な主体的評価を含むものであり、世界に〈姿〉とともに〈意味〉を見出すところに世界観成立の切っ掛け(契機)があり、〈意味〉は歴史と文化の文脈に応じて多様であることから、世界観もまた多様である[18]。20世紀初めにおいて、ドイツ語の「世界観」という言葉は学問用語として頻繁に用いられるようになった[19]。上記のような意味としての「世界観」ではなく、俗に、文学や音楽などで、その作品がもつ雰囲気や状況設定のことを「世界観」と表現することが増えている[20]
世界線
物理学用語。四次元において時空座標で表せられる質点の連続をつなげ、線にしたもの。しかしながらサイエンス・フィクションにおいてはパラレルワールド並行世界を表す語として利用されている。
誤用ではないとの考えもあるもの
新年明けましておめでとう
旧年が明けて
新年になるのだから、「新年」と「明ける」を並べるべきではなく、単に「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」とするべきだとの意見がある。同様に、「夜が明ける」とは言っても「が明ける」とは言わない。しかしながら、「新年が明ける」は変化の結果に注目したものであって、誤用ではないとの考えもある[21]。これは「湯がわく(が沸いて湯になる)」が誤用でないと同様との考えである。
汚名挽回(おめいばんかい)
かつては普通に使われていた表現であったが[22]1970年代半ば頃から「汚名返上」や「名誉挽回」の誤用であり日本語の乱れであるとする説が広まり[22]、2000年代には誤用と解することが一般的となった[23]。しかしながら、「挽回」は「悪い状態から普通の状態に戻す」という意味であり「汚名を着た状態を元通りにすること」であって、汚名を取りもどすことではなく誤用ではない[24][25][22]との考えもある。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 同等の感情の共有は「共感」と表現する。

出典^ “「憮然」5割超が誤用”は本当に誤用?時代とともに変化する“正しい日本語”とは 。ORICON NEWS
^ 「日本語の誤用研究」市川保子(日本語教育通信第40号 国際交流基金)[1][2]
^ 「日本語力検定クイズ」P.132 太田美代 秀和システム
^ 「現代ニホン語楽苦書帳」P.80 宇野尚志 文芸社
^現場の疑問Q&Q「弱冠18歳」 NHK放送文化研究所
^ 川畑英毅『この日本語の意味がわかりますか?』PHP研究所、P.29。ただし由来については異説あり。007/危機一発参照
^ 学研『学研国語大字典』
^ 『広辞苑 第五版』「生き様」の項。
^ デジタル大辞泉『生き様』 - コトバンク
^ 内館牧子『カネを積まれても使いたくない日本語』
^ 例として『広辞苑 第三版』には掲載されていない。
^ デジタル大辞泉『確信犯』 - コトバンク
^ デジタル大辞泉『姑息』 - コトバンク
^ デジタル大辞泉『性癖』 - コトバンク
^ デジタル大辞泉『情けは人の為ならず』 - コトバンク
^ デジタル大辞泉『役不足』 - コトバンク
^ 広辞苑 第六版「重言」
^ 株式会社平凡社百科事典マイペディア「世界観」
^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「世界観」
^ 世界観(せかいかん)とは - コトバンク


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