日本語の方言
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東条が東日本方言と西日本方言の境界を愛知・岐阜と三重・滋賀の間に引いたり、中国方言と四国方言を分けたりしたことには、アクセントの違いが反映していると言われている[10]

しかし東条の区画は、どういう手続きでその結論に達したか、具体的には示されていない。一方で都竹通年雄奥村三雄は、母音・子音の性質や断定の助動詞、命令形語尾の違いなど、区画に用いる指標を何項目か示したうえで、それらを重ね合わせて境界を決める方法を取った。結果として、都竹案では岐阜・愛知方言は西日本方言に含められ、東関東方言は南奥羽方言の中に入れられた[8]。奥村は、本土方言を東西の2つに分け、さらに東日本方言を東北関東北東部・新潟県北東部と関東大部分・東海東山(岐阜・愛知含む)とに、西日本方言を北陸から九州北東部までと九州中南部とに分けた[11]。加藤正信は、関東方言と東北方言の境界などに関して、東条案では行政区画や地理的区分をある程度重視しているのに対し、都竹案では行政・地理的区分から解放されていると評価している[12]

金田一春彦の説はこれらとはかなり違い、近畿・四国の内輪方言、西関東・中部・中国などの中輪方言、東北や九州などの外輪方言、琉球方言にあたる南島方言に分けた[13]。金田一は、アクセント・音韻体系や活用体系などの言語のより根幹部分の違いを重視しようとした[13]。たとえば外輪方言は、促音・撥音・長音を独立の単位として認めなかったり、形容詞が無活用となったりする傾向がある方言としている。

一方で、方言周圏論を唱えた柳田國男は、方言区画論を否定している。これに対して東条は、方言区画論では方言全体の体系を見ようとしており、語彙だけを見る方言周圏論は方言区画論と対立するものではないと反論している[14]。方言の形成史においては、日本語の祖語が複数の方言に分岐するだけでなく、逆に政治的・経済的中心地からの伝播による収束作用も起き、両者が複雑に絡んでいる[15]。方言区画論は方言の分岐や地域的まとまりをとらえているが、方言の成立過程には隣接する地域などからの伝播も無視できないと、徳川宗賢は指摘している[14]
東日本方言詳細は「東日本方言」を参照

北海道方言北海道

内陸部方言

海岸部方言

松前方言(松前町を中心に上ノ国町福島町に分布)

道南方言(函館市を中心とし、内陸の七飯町厚沢部町などを含む渡島檜山地方に分布)



東北方言

北奥羽方言

津軽弁青森県津軽地方

下北弁(青森県下北半島

南部弁(青森県および岩手県の旧南部藩領内)

八戸弁(青森県旧八戸藩領内)

盛岡弁岩手県盛岡市。岩手県旧盛岡藩領内)


秋田弁秋田県)(秋田弁の文法秋田弁の音韻秋田弁のアクセントも参照)

庄内弁山形県庄内藩領内)

庄内北部方言

庄内南部方言

小国方言(山形県小国町。旧小国藩・米沢藩


北越方言新潟県阿賀野川以北)

大鳥方言・三面方言(山形県鶴岡市大鳥、新潟県村上市三面)


南奥羽方言 米沢弁による観光宣伝

ケセン語(岩手県気仙郡宮城県気仙沼市

岩手県南部方言岩手県南部。旧仙台藩領内)

仙台弁宮城県

山形県内陸方言(山形県内陸部。山形弁を参照)

村山弁山形市を中心とする村山地方、旧山形藩

香澄町弁


新庄弁新庄市を中心とする最上地方、旧新庄藩

置賜弁米沢市を中心とする置賜地方、旧米沢藩


福島弁福島県

中通り方言(福島県中通り。狭義の福島弁)

浜通り方言(福島県浜通り

会津弁(福島県会津




関東方言

東関東方言(学者によっては東北方言に含める)

茨城弁茨城県

栃木弁栃木県足利市佐野市付近は除く)


西関東方言

足利弁/両毛弁(栃木県足利市付近)

群馬弁/上州弁(群馬県

埼玉弁埼玉県。東部は東関東方言に近い)

秩父弁


房総弁千葉県)(西関東方言と東関東方言の中間地帯)

東総弁(千葉県東部)

房州弁(千葉県南西部)


多摩弁東京都多摩地域とその周辺)

神奈川県方言神奈川県

横浜弁(神奈川県横浜市中心部)

相州弁(神奈川県旧相模国。旧横浜市街地と津久井郡西部を除く)


郡内弁山梨県郡内地方・神奈川県津久井郡西部)


東京方言/東京弁(東京都区部)

江戸言葉/江戸弁/下町言葉(東京下町

山の手言葉(東京山の手


首都圏方言共通語と、東京方言を含む西関東方言を中心に各地の方言が融合して成立した新方言


東海東山方言

越後方言新潟県越後

中越方言(越後中部)今すぐ使える新潟弁自販機

新潟弁新潟市を中心とする地域)

長岡弁長岡市を中心とする地域)


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