日本統治時代の台湾
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また、2009年の講演では「あなたたちの偉大な祖先の功績を知り、誇りに思ってほしい」と訴え、台湾が日本統治下にあった時代に、日本人技師らの貢献でインフラ整備などが進められたことを説明し、「公に尽くし、忠誠を尽くした偉大な祖先が作り上げてきた日本精神を学び、あなたたちも大切にしてほしい」と発言した[25]

蔡亦竹によると、国共内戦後、中国から台湾に逃れた少数派の中国国民党は、多数派の元日本国民であった台湾人に「われわれは対日戦争に勝って台湾人を二等国民の扱いから解放した」と主張することで、自らの高圧的統治を正当化した[26]。また、台湾人アイデンティティを喚起する恐れがあるため、元々台湾人のみに共有された、日本文学日本映画テレビ番組などは推奨しなかった[26]1972年日中国交正常化に伴い、台湾は直ちに日本に国交断絶を宣言したが、中国との国交樹立は裏切りであり、この年に台湾政府は一切の放送で日本語を禁止にし、日本映画の輸入もご法度になり、1980年代末にようやく禁制が緩くなったが、薬師丸ひろ子が台湾で映画宣伝をおこなった際は、日本語ではなく英語で司会者とやり取りをおこなったほどであり、「日本追放」の全面解除は1993年まで待たねばならず、蔡は「今、台湾は親日的な国柄で知られている。しかし、このような理由からわれわれ40代の人間は中学校まで日本を悪者として教育されていた」と述べている[26]

台湾における各種世論調査では台湾人は日本に好意的である。例えば、2009年4月財団法人交流協会が実施した初の台湾人対象の対日意識世論調査では、「日本に親しみを感じる」が69%で、「親しみを感じない」の12%を大きく上回った。「最も好きな国」としても38%が日本を挙げ、2位のアメリカ(5%)、中国(2%)を大きく上回った[27]2010年度「台湾における対日世論調査」では、「日本に親しみを感じる」が62%で、「親しみを感じない」の13%を大きく上回り、「最も好きな国」としても52%が日本を挙げ、2位のアメリカ(8%)、中国(5%)を大きく上回った[28]

2006年に台湾の『遠見雑誌(中国語版)』が、20歳以上の台湾人1000人に「移民したい」「行ってみたい」「尊敬すべき」「留学したい国」の4項目を調査した結果、日本が「移民したい」「行ってみたい」「尊敬すべき」の3項目でそれぞれ1位を獲得した。謝雅梅は、「日本統治時代、その目的はどうであれ、日本が台湾のインフラを整備したことは今でも高く評価されてます」「日本のテレビ番組や雑誌なども昔からあって、よく見てました。今、20代くらいの若者には、日本の音楽ファッションマンガやゲームなどのサブカルチャーが人気です。彼らの世代になると、もう日本との歴史をよく知らないんですよ。台湾も、日本のようにアメリカの影響は大きいんですが、やはり同じアジアの日本文化の方が肌に合う。これは一過性の流行ではなく、親日感情は昔から繋がっているんです」「文化は日本、経済はアメリカにもっとも影響を受けています。それに、アジアのなかで経済発展を遂げた境遇も似ていますし、親近感があるんです」とコメントしている[29]

民主進歩党系のシンクタンクである台湾国策研究院が2006年に実施した世論調査では、台湾で一番好かれている外国人は日本人で27.1%、アメリカ人22.7%、中国人11.1%、韓国人9.3%だった。台湾智庫が2008年に行った世論調査では、「中国、アメリカ、日本、韓国の4カ国の中で、全体的にどこの国に最も好感を持っているか」という設問では、日本が最多の40.2%で、アメリカは25.7%、韓国は5.4%、中国は5.1%だった[30]

2009年に台湾の財団法人金車教育基金会が台湾の学生の対象に実施した意識調査「最も友好的な国・最も非友好的な国」では、日本は「最も友好的な国」の第1位(44.4%)で、日本が首位になったのは3回目だった[31]

2021年8月10日、台湾のシンクタンクである台湾制憲基金会(中国語版)が実施した台湾の世論調査結果を発表し[32]アメリカに好感を持つ人が75.6%、日本に好感を持つ人が83.9%、中国に好感を持つ人は16.4%にとどまり、9割近くがアメリカ日本と正式な外交関係を構築することを支持した[32]

ワシントン・ポスト』は、「台湾は、1895年から1945年まで日本の占領下にあったにもかかわらず、アジアにおいて稀有な親日感情を抱き続けている。台湾人の年輩者らは未だに日本語と日本文化に大変な共感を示す。台湾は毎時200マイル走行が可能な日本の弾丸列車を30億ドルで導入し、先月(試験走行を)開始した。また、日本政府は、12月に台湾の李登輝元総統(彼は日本で教育を受け、親愛の念を抱く大学時代の元教授と再会を果たした)に観光ビザを発給したが、中国側はこれに激しく反発した」と報道した[33]

馬英九総統の外交政策・対日戦略のブレーンで中華民国総統府国家安全会議諮問委員を務める楊永明は、「一般的に言って、日台間では相互に友好感情が存在するという基本認識がある。台湾はおそらく世界で最も親日的な社会であり、日本でも台湾に対する好感が広範に存在するのである」と指摘している[34]。同じく中華民国総統府国家安全会議諮問委員(閣僚級、日台関係担当)を務める李嘉進は、「日台は『感情の関係』だ。普通の外交関係は国益が基本だが、日台は特別。お互いの好感度が抜群に高い。戦前からの歴史が育てた深い感情が出発点となっている」と発言している[35]

中華民国総統であった李登輝は、日本統治時代に台湾人が学んで純粋培養されたのは、「勇気」「誠実」「勤勉」「奉公」「自己犠牲」「責任感」「遵法」「清潔」といった「日本精神」であり、国共内戦後に中国大陸から来た中国国民党たちは、自分たちが持ち合わせていない価値観だったので、「日本精神」を台湾人の持ち合わせている気質だと定義して、これらの言葉が広まり、台湾に浸透した「日本精神」があったからこそ、台湾は中国文化に?み込まれずに近代社会を確立できたのであり、台湾人の親日の背景にはこうした歴史的経緯があると述べている[36]。また李登輝は、日台は現在のところ正式な外交関係がないため、経済文化交流を強化すれば良いという意見が多く、経済・文化交流を促進して、日本人台湾人の心の絆を深めることは重要であるが、日本人が中華意識に囚われて台湾を軽視した場合、日本は地政学的危機に陥ってしまい、まさしく日台は生命運命共同体なのであり、このことを日本人は常に意識して欲しいとしている[37]

このように台湾では親日的な雰囲気があることから、日本統治も肯定的に捉えていると日本では思われがちである。しかし国民党や親民党は日本統治は日本による搾取に過ぎなかったと位置付けている。それに比べると民主進歩党は日本統治に対して同情的ではあるが、植民地主義は現代において認められないとの立場を表明しており、日本統治を評価しつつも、その根底に存在した植民地主義を批判する立場を取っている。[要出典]

日本は、日清戦争の結果、国際条約に基づいて台湾を得たが、中国の歴史教科書は「間違いなく日本の侵略だ」「それ以後も日本の台湾統治は略奪、占領のひどい時代だった」と厳しく断罪している[38]
年表詳細は「台湾史年表#日本統治時代」を参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 朝鮮では、韓国でも北朝鮮でも日本帝国による悪辣な搾取を受けたという神話がつくられ、一方、朝鮮人民の抵抗運動が広汎に展開されたという神話が生み出された[24]。この2つの神話は、ひとつには韓国・朝鮮人の民族的な先入観・偏見に由来すると考えられるが、もうひとつは南北両政府が長期にわたって民族主義の強化を図ってきたことも理由として考えらえる[24]
^ 例として、


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