日本標準時
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第二條  東經百二十度ノ子午線ノ時ヲ以テ臺灣及󠄁澎湖列島竝ニ八重山及󠄁宮古列島ノ標準時ト定メ之ヲ西部標準時ト稱󠄁ス
第三條  本令ハ明治二十九年一月一日ヨリ施行ス

この「二つの日本時間」は41年あまり続いたが、明治二十八年勅令第百六十七号標準時ニ関スル件中改正ノ件(昭和12年勅令第529号、1937年(昭和12年)9月25日公布、同年10月1日施行)という改正勅令により、前の明治28年勅令第167号の第2条(西部標準時に関する条)の条文が削除され、再び日本の標準時はひとつとなった。なお、この改正では第1条(中央標準時に関する条)については改正されなかったため、「中央標準時」との呼称は維持された[40]。西部標準時が年半ば(9月)で廃止された理由は、台湾・澎湖諸島ならびに八重山・宮古列島において、政治経済交通その他諸般の点に鑑み中央標準時に依る必要があることによるとされる[41]1954年(昭和29年)ごろ、中央標準時の中央を除くことや明治以来の時関連の法令改正案が検討されていたようだが、日の目を見ることはなかった[42]

この2つの勅令は現在も政令として有効であり[43][44][45](文部科学省所管)、「中央標準時」が日本の標準時の法令上の正式名称とされる[46]。現行法上、上記勅令以外にも、電波法施行規則[47]、無線局運用規則[48]や国立大学法人法施行規則[49]において用いられている。

ちなみに、この改正が行われた当時は本土の標準時とは別に、1920年ヴェルサイユ条約パリ協定で日本の委任統治領となった、南洋諸島の標準時が1919年2月1日より施行されており、南洋群島東部標準時が日本の中央標準時+2時間(東経165度線)、南洋群島中部標準時で日本の中央標準時+1時間(東経150度線)、南洋群島西部標準時は日本の中央標準時と同じであった。1937年に南洋群島東部標準時(中央標準時+1時間)・南洋群島西部標準時(中央標準時と同じ)の2つに再編している。1945年の敗戦による統治権の放棄により廃止した[42]。なお、当時日本の施政下にあった千島列島は東端(占守島)が東経156度であるが、全域で中央標準時が用いられていた。
South Ryukyu Islands時間

FreeBSDなど一部のUnix系オペレーティングシステム (OS) では、1999年初頭までインストール時にタイムゾーンとして「Japan」を選択すると、選択肢として「Most Locations」と「South Ryukyu Islands」の2つの選択肢が現れ、「South Ryukyu Islands」を選ぶとタイムゾーンとして西部標準時(UTC+8)が設定される問題が存在した。

これはこれらのOSがタイムゾーン設定の元データとして利用しているtzdataに誤って西部標準時に関するデータが含まれていたためである。これの元は「The International Atlas (3rd edition)」(Thomas G. Shanks、1991年)という文献において、「西部標準時が現在も石垣市を含む地域で使用されている」旨の誤った記載が行われていることが原因であった。

このことが雑誌「UNIX USER」(ソフトバンク)で取り上げられた結果、1999年にはtzdataから西部標準時が削除され、その後のバージョンでは「South Ryukyu Islands」という選択肢はなくなった[50]2006年4月1日にリリースされた、エイプリルフール版のFreeBSD 2.2.9-RELEASEでは、このバグがわざと残されている。
標準時の通報の歴史

標準時の通報や、有線/無線報時に関する歴史は次の年表の経過をたどる。
標準時の報時のはじまり

1886年明治19年)

明治19年勅令第51号[19]の制定により標準時が確立した直後から、内務省地理局観象台の観測をもとに、標準時を逓信省東京電信局に通報し、そこから全国に標準時が通知されていた[51]


1888年(明治21年)

1月1日

明治19年勅令第51号の標準時が施行された[52]。この日の0時0分の時刻は内務省地理局観象台が全国の電信局に通報しており、以後もしばらくの間、正午報時信号が地理局観象台から各電信局に通報されていた[53][54]


5月

内務省、海軍省文部省稟議のうえ、内務省と海軍省が行っていた天象観測と、内務省の時刻管理や書の編纂事業等は文部省へ、設備・土地や職員とともに移管することにした[54]


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