日本弁護士連合会
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他方で、日弁連会員数は約3万7600人(当時)であり、宣言に際しては、思想・信条に関わる問題を786人の出席者で決めてよいのかとの質問も出るなどした[13]

この提言・決議の内容を実現するため、死刑廃止検討委員会を設置し、上記「提言」と「決議」の実行のため、死刑廃止についての全社会的議論の呼びかけに向けた活動、 死刑執行停止に向けた活動、 死刑に関する情報開示の実現に向けた活動等を行っている。

2015年、刑事弁護センター死刑弁護小委員会が会員向けの「死刑回避」のための手引書を作成していたことが明らかとされた。その中では、「被害者参加制度に反対」「原則黙秘」などの死刑回避対策が推奨されている。
住民基本台帳ネットワークシステムに反対する取り組み

住民基本台帳ネットワークシステムを構築することは個人情報保護施策を欠いた国民総背番号制を導入するものであるとして、意見書[14][15]や会長声明[16][17]を発表している。
君が代斉唱時の不起立の自由に関する取り組み

国旗及び国歌に関する法律(国旗国歌法)を根拠として行なわれる、君が代斉唱時の不起立に関する処分・起立を義務付ける条例[注 1]に反対する立場から裁判所判決や条例提出ごとに会長声明を発表している[18][19][20][21][22]
慰安婦問題に関する活動詳細は「朝日新聞#慰安婦「強制連行」報道」、「朝日新聞の慰安婦報道問題」、および「クマラスワミ報告#経緯」を参照

1992年戸塚悦朗弁護士を海外調査特別委員に任命し、韓国の市民団体と連携して国連へ朝鮮人「強制連行」問題と「従軍慰安婦」問題を国連人権委員会に提起し、「日本軍従軍慰安婦」を「性奴隷」として国際社会が認識するようロビー活動を展開し、クマラスワミ報告に慰安婦に関する記述がなされるに至っている[23][24]
安保関連法抗議活動

2015年、民主党(当時)の辻元清美議員や社民党福島瑞穂議員、日本共産党議員約10人が駆けつけた安保関連法案反対の国会前デモに、日弁連としても会長を含め参加している。これに関して、日弁連会長の村越進(当時)は、護憲であり「政治活動ではない」という主張をしている[25]
批判
弁護士倫理・懲戒における身内擁護問題

日弁連は、弁護士法に基づき、所属弁護士を懲戒することはできる。一方で、単位弁護士会が下した懲戒処分懲戒請求の不服審査も行っている。

もっとも軽い戒告処分を出すのに、単位弁護士会に懲戒請求を提出し、上部組織の日弁連に3度の申し立てを行い2年間かかった例もあり、元日弁連会長の宇都宮健児は「このケースは、私も処分が軽い印象を受けますが、決議まで2年もかかったのは長すぎる。皆が忘れた頃に軽い処分というのでは“身内同士でナアナアでやっている”と思われても仕方ありません。これでは一般市民が納得しませんよ」などとして、弁護士会は身内に甘いことを批判している[26]

単位弁護士会が受け付けた懲戒請求の申立総件数に対して、実際に弁護士を懲戒する割合は、2.3パーセント(平均)[27]である。単位弁護士会が懲戒請求申立を却下したとき、日弁連は、同議決に対する異議申立を受理し、再審査することもあるが、その割合は1.2パーセント(平均)である[27]

2005年(平成17年)4月、拘束力の無い弁護士倫理に代わり、弁護士職務の「行動指針または努力目標」を定めたものとして弁護士職務基本規程を施行した[28]
産経新聞による報道

弁護士が弁護士法によって日弁連に属する各弁護士会への所属が義務付けられているため、強制加入団体の日弁連が特定の政治的意見を会長声明や理事会決議としてあげることに対し「弁護士が全員左派であると思われるのは腹が立つ」「任意団体にすべき」という意見がある、と産経新聞は報じている。2015年8月に日弁連の村越会長が安全保障関連法案廃案を訴えた抗議行動デモのために開いた会見で、強制加入団体の日弁連が特定の政治的意見を掲げることへの懸念を産経記者が会見で質問したところ、村越会長を支持する弁護士や大学教授300人から「何を言っている」「帰れ!」などの怒号が飛んでいる。村越会長自身は産経新聞に「『戦争法案』というレッテル張りはしていない。『9条を守れ』ということまではぎりぎりの範囲だと思う。政治的な発言とは考えていない」と述べている[25]

2015年(平成27年)7月には、京都弁護士会に所属する弁護士が、「弁護士自治を目的とする会の趣旨と関係のない政治的主張を行うことは違法だ」として、同弁護士会と日弁連の両会長に、公式ウェブサイト上の声明文を削除し、慰謝料を支払うよう求めた裁判を起こしている[29]。東京地裁は、当該訴訟の判決において、「本件各掲載行為が被告日弁連又は被告京弁の目的の範囲外の行為であると認めることはできない。」「本件各掲載行為が,原告ほかの思想・良心の自由等を侵害するものであると認めることはできない。」「本件各掲載行為に当たっては,いずれも被告日弁連及び被告京弁において,適切な機関決定がされたものと認めることができる。」などと判示した。主文においては、削除請求及び慰謝料請求は理由なしとして棄却され、違法確認の請求については確認の利益を欠くものとして却下されたため、原告の全面敗訴となった。訴訟費用も原告が全額負担することが命じられた[30]

2015年に産経新聞は旧日本陸軍軍医の麻生徹男の娘である天児都への取材で、作家の千田夏光が麻生が慰安婦制度の考案者であるかのように書いたことについて天児が事実とは異なるとして抗議と訂正の申し入れをしたところ、千田は天児に謝罪をしたが著書の訂正はせず千田の記述が他の著者の引用を受けるなどして広まってしまい、これについて天児が法的措置を取ろうとしたところ「日本弁護士連合会はあなたと立場が違うから弁護できない」という理由で弁護を断られたと報じている[31]

産経新聞は【弁護士会 矛盾の痕跡】にて、日弁連は拉致に冷淡、「朝鮮人=被害者」以外は沈黙する人権派弁護士らが運営し、朝鮮総連と強固なネットワークを持っていると報道している。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の固定資産税減免の無効確認訴訟や朝鮮学校補助金取り消し訴訟の総連側の代理人には常に、日弁連で強い影響力を持つ人権派弁護士がつくなど、総連と人権派は強固なネットワークで結ばれ、例えば戦時中の慰安婦問題を国連の委員会に訴える日弁連の活動も総連が背後から支えたと指摘されている。上記の訴訟を追求側で担当した徳永信一弁護士は「日弁連はいわば総連の工作拠点。人権派が総連に取り込まれた影響なのか、日弁連は拉致問題には終始、消極的だった」と批判している。2002年の拉致被害者数人奪還以前まで日弁連会長を務めた人権派弁護士の土屋公献は朝鮮総連機関誌の「朝鮮時報」で「日本政府は謝罪と賠償の要求に応じるどころか、政府間交渉で疑惑に過ぎない行方不明者問題や「ミサイル」問題を持ち出して朝鮮側の正当な主張をかわそうとしている。破廉恥な行動と言わざるを得ない」と講演などでも同様の発言を繰り返していた。産経新聞は北朝鮮が拉致認めた後も日弁連は拉致問題をめぐる日弁連としての意見表明は5人の帰国直後に出した会長談話1本のみであること批判し、「虚偽の歴史である強制連行のような『朝鮮人は被害者、日本人は加害者』という構図を前提に、それに当てはまらないものには沈黙する。日弁連が掲げる人権は、恣意(しい)的に選ばれたものだけを指している」としている[32]
死刑廃止宣言の採決に関する批判

全会員の約2.1%しか参加していない死刑廃止宣言の採決について、委任状がない等の手続き上の不備、更に自身の思想信条と反する活動に強制加入団体の会費が支払われている事に対し、106人の弁護士が質問状を送っている[33][34]
各種投票・参加、宣言・決議賛同率

会長選挙投票率荒候補と岸候補の中で争われた2020年の会長選挙の全国52の弁護士会平均投票率は47.24%、最多は釧路弁護士会の84.62%で、最少は埼玉弁護士会の36.6%であった。最終的に荒候補が新たな会長に決まった[35]


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