日本国憲法第76条
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裁判官はそれぞれ独立して職務を果たすことが期待されており、その権限の行使にあたっては、行政権力および裁判所内部の上級者からの指示には拘束されないものと憲法上は定められている[注 1]。この独立を側面から補強するものとして、裁判官には一定の身分の保障がなされている(日本国憲法第78条)。

なお、「この憲法及び法律」という場合の「法律」は、形式的意味の法律に限られず、広く政令、規則、条例、慣習法などを含む法規範を指す。

関連条文

日本国憲法第41条国会の地位・立法権)

日本国憲法第65条行政権と内閣)

参考文献

東京法律研究会『大日本六法全書』井上一書堂、1906年(明治39年)。 

『憲法[第3版]』(弘文堂、1995年、初版1982年)
ISBN 4-33-530057-3

判例

有毒飲食物等取締令違法
昭和23年11月17日刑集2巻12号1565頁)憲法31条、憲法37条、憲法38条、憲法37条1項

裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うとの意味である。


食糧管理法違反(最判昭和23年12月1日刑集2巻13号1661頁)憲法81条、憲法25条1項

警察予備隊違憲訴訟 (最判昭和27年10月8日)

児童福祉法違反被告事件 (最判昭和31年5月30日刑集10巻5号756頁) 憲法76条1項、憲法76条2項

家庭裁判所は特別裁判所ではない。


砂川事件(最判昭和34年12月16日)憲法73条3項

苫米地事件 (最判昭和35年6月8日)憲法7条、憲法81条、憲法69条

国家試験合格変更又は損害賠償請求事件(最判昭和41年2月8日民集20巻2号196頁)

富山大学事件(最判昭和52年3月15日民集31巻2号234頁)

板まんだら訴訟(最判昭和56年4月7日民集35巻3号443頁)

日本新党繰上補充事件(最判平成7年5月25日民集49巻5号1279頁)

脚注[脚注の使い方]
注釈^ しかし、日本の裁判所においては、最高裁判所事務総局という司法行政の中枢機関が全ての裁判官の人事権を独占しており、最高裁判所事務総局は行政の方針に批判的な判決を書いた裁判官を過疎地の小さな裁判所へ左遷するなど、人事面や給与面において裁判官たちに様々な拘束や圧力をかけているため、日本の裁判官たちが実際に「良心に従い独立してその職権を行う」ことは極めて困難であり、ほとんどの裁判官は最高裁判所事務総局による左遷を恐れて、最高裁判所の意向に沿った権力者側に都合の良い判決だけを書き続けなければならず、日本国憲法第76条第3項は最高裁判所事務総局によって完全に死文化されているとする批判も多い[1]。実際に最高裁判所事務総局での勤務経験を有する元裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志は、日本国憲法第76条第3項の現実について「すべて裁判官は、最高裁と事務総局に従属してその職権を行い、もっぱら組織の掟とガイドラインによって拘束される」と表現している(瀬木比呂志著『絶望の裁判所』114?115ページ)。なお、欧米諸国の裁判所においては、真の意味で裁判官の独立を保証するため、日本のような上層部機関の命令による裁判官の転勤制度は存在せず、裁判官のポストに空席が生じた場合の後任については応募制となっている。

出典^ カレル・ヴァン・ウォルフレン著:『日本/権力構造の謎』(早川書房)、木佐茂男宮澤節生佐藤鉄男川嶋四郎水谷規男・上石圭一共著:『テキストブック 現代司法』(日本評論社)、安倍晴彦著:『犬になれなかった裁判官 司法官僚統制に抗して36年』(NHK出版)、西川伸一著:『日本司法の逆説 最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』(五月書房)、井上薫著:『狂った裁判官』(幻冬舎新書)、生田暉雄著:『裁判が日本を変える!』(日本評論社)、ダニエル・フット著:『名もない顔もない司法 日本の裁判は変わるのか』(NTT出版)、新藤宗幸著:『司法官僚 裁判所の権力者たち』(岩波新書)、デイヴィッド・ロー著:『日本の最高裁を解剖する アメリカの研究者から見た日本の司法』(現代人文社)、森炎著:『司法権力の内幕』(ちくま新書)、瀬木比呂志著:『絶望の裁判所』(講談社現代新書)、瀬木比呂志著:『ニッポンの裁判』(講談社現代新書)、生田暉雄著:『最高裁に「安保法」違憲判決を出させる方法』(三五館)、週刊ダイヤモンド2017年2月25日号特集:『弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落』(ダイヤモンド社)、瀬木比呂志・清水潔共著:『裁判所の正体 法服を着た役人たち』(新潮社)、別冊宝島2594:『弁護士 裁判官 検察官 司法が危ない』(宝島社)、岡口基一著:『裁判官は劣化しているのか』(羽鳥書店)、磯村健太郎・山口栄二共著:『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫)、岩瀬達哉著:『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』(講談社)、週刊東洋経済2020年11月7日号特集:『文系エリートの頂点 仕事とお金のリアル』(東洋経済新報社)、週刊東洋経済2023年9月9日号特集:『揺らぐ文系エリート 弁護士 裁判官 検察官』(東洋経済新報社)など多数

関連項目

法の支配

司法行政権

統治行為論

司法

権力分立










日本国憲法


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旧字体

原本

上諭と前文
上諭

前文

第1章 天皇

1

2

3

4

5

6

7

8

第2章 戦争の放棄

9

第3章 国民の権利及び義務

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