日本の運転免許
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世界中で大ヒットしたフォード・モデルTなどの大量生産車が日本にも輸入されて普及し、それに応じてこの「自動車取締令」が施行されたのである[3]。1919年ころに500台ほどだった自動車の台数は、1924年(大正13年)までに2万台を超え、乗合自動車・タクシー・自家用車が道路を走るようになり県境を越えた運転が増えたことも全国統一の交通法規が求められることにつながったのである[3]。この「自動車取締令」による運転免許は甲種と乙種に分かれていて、甲種は「どの車両でも運転できる免許」で、乙種のほうは特定自動車や特殊車両の運転に限定された免許であった[3]。なお、当時運転免許の取得にはあらかじめ「車体検査証」を所有していることが必要で(つまり、現在のように免許取得後に自家用車を購入することはできず)、取得後は5年後ごとに再試験が行われた[3]




その後の歴史については、「#運転免許の区分の歴史」の節および「#旧区分(1970年から2007年の区分)」の節を参照のこと。

取得方法

運転免許を取得するには、運転免許試験場で適性試験・技能試験・学科試験を受験することが原則である。その他に指定自動車教習所(通称「公認」)へ入所し、卒業検定に合格することで、運転免許試験場での技能試験が免除され、免許取得可能となる方法もある。一般的には後者の方法で取得する者のほうが多く、原則である前者の方法がかえって特別視され、「一発試験」、「飛び込み試験」「飛び入り試験」などと呼ばれることがある。

直接受験の場合と、指定でない自動車教習所(通称「非公認」)に入所した場合は、仮免許の技能試験を運転免許試験場で受験し、路上練習を5日(1日あたり2時間以上)以上行った後、本免許の技能試験を運転免許試験場で受験する。しかし、一般的には指定自動車教習所を卒業して、技能試験免除で普通免許を取得する者がほとんどである。指定自動車教習所へ入所して普通免許を取得する場合、指定自動車教習所で仮運転免許を取得し、路上での教習、学科教習を受け、路上での卒業検定に合格した後に、住民登録のある都道府県の運転免許試験場で受験申請する[注 4]。指定自動車教習所の卒業証明書を提出し、視力などの適性試験と学科試験に合格すれば、運転免許証が交付される。

受験資格年齢は、運転免許の区分によって異なる(詳細は下記の運転免許の区分参照)。なお、小特免許、原付免許は技能試験が課せられないが、原付免許は学科試験に合格しても講習を受けないと取得できない。小特免許には講習もないので、実車を一切運転することなく取得できる唯一の免許である。大型特殊第二種免許およびけん引第二種免許に関しては現在、教習に関する規程がないため、指定自動車教習所での教習や技能検定は行われていない。したがって、運転免許試験場での技能試験(一発試験)を受験して合格しなければ、免許は取得できない。
運転免許の区分
免許の正式名称

運転免許は通称による呼び方が多い。道路交通法84条に書かれる正しい区分と通称を記載する。記載される免許の種別は、法律条文に書かれている順番に表記している。

よく言われる「普通一種」などという表記はなく、一種免許については単に「普通免許」などとなることに注意が必要である。

法に定める区分法に定める種別の記載法に定める略称運転免許証記載文言
第一種免許大型自動車免許大型免許大型
中型自動車免許中型免許中型
準中型自動車免許準中型免許準中型
普通自動車免許普通免許普通
大型特殊自動車免許大型特殊免許大特
大型自動二輪車免許大型二輪免許大自二
普通自動二輪車免許普通二輪免許普自二
小型特殊自動車免許小型特殊免許小特
原動機付自転車免許原付免許原付
牽引免許(略称なし)け引
第二種免許大型自動車第二種免許大型第二種免許大二
中型自動車第二種免許中型第二種免許中二
普通自動車第二種免許普通第二種免許普二
大型特殊自動車第二種免許大型特殊第二種免許大特二
牽引第二種免許(略称なし)け引二
仮免許大型自動車仮免許大型仮免許(免種毎に
仮運転免許証が交付される)
中型自動車仮免許中型仮免許
準中型自動車仮免許準中型仮免許
普通自動車仮免許普通仮免許

ただし、牽引免許及び、牽引第二種免許を両方取得した場合には運転免許の記載は「引・引二」の表記となる。
免許証の様式日本のICカード運転免許証(旧区分。2007年(平成19年)6月1日以前の旧「普通」は現在「中型」(中型車は中型車(8t)に限る)と表示される。)日本のICカード運転免許証
(上:旧区分、下:現区分)
2007年6月2日から2017年(平成29年)3月11日における旧「普通」は現在「準中型」(準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る)と表示される。平成の終焉を2019年(平成31年)4月30日とする政令が公布された2017年(平成29年)12月13日以降に交付された免許証でも、2019年(令和元年)5月1日以降の有効期限も「平成○○年」となっている。

氏名◯ ◯ ◯ ◯元号YY年MM月DD日生
 
住所◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯?◯?◯
交付元号YY年MM月DD日 ◯◯◯◯◯証明写真
YYYY 年(元号 YY 年) MM 月 DD 日まで有効運








免許の
条件等
番号第 ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 号
二・小・原元号YY年MM月DD日



類大
型中
型準

型普
通大
特大

二普



特原
付大
二中
二普
二大

二引




他元号YY年MM月DD日都道府県名
公安委員会
二種元号YY年MM月DD日

免許の種類

第一種運転免許(第一種免許)第二種免許が必要となる場合以外の場合において、乗用、貨物問わず運転可能。一般的に単に「免許」という場合、これを指すことが多い。

法令では「大型免許」「中型免許」「準中型免許」「普通免許」「大型特殊免許」「大型二輪免許」「普通二輪免許」「小型特殊免許」「原付免許」「牽(けん)引免許」が規定されている[注 3]

第二種運転免許(第二種免許)旅客自動車(バスタクシーなど)を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転する(営業運行する)場合、および旅客自動車でなくとも運転代行業において顧客を乗車させて運送する場合に必要となる免許。なお、介護・福祉タクシー等の自家用有償旅客運送については、有償であっても認定講習を受ければ第一種免許で運転可能である[注 5]

21歳以上で、大型免許・中型免許・準中型免許・普通免許・大型特殊免許のいずれかを現に受けており、これらの免許のいずれかを受けていた期間が通算して3年以上の者、または他の種類の第二種免許を受けている者でなければ受験できない(自衛官等には“2年以上”、「受験資格特例教習」修了者には19歳以上、かつ一種免許期間通算1年以上の特例あり[注 6])。けん引第二種免許のみ上記の条件に加えけん引免許を現に受けている者、または他の種類の第二種免許を受けていなければ受験できない。

第二種免許を受けていれば、同一車種の第一種免許により運転できる車両を運転できる。

旅客用車両である重被牽引車を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で牽引して運転する場合は、けん引第二種免許を受けなければならない[注 7]

法令では「大型第二種免許」「中型第二種免許」「普通第二種免許」「大型特殊第二種免許」「牽(けん)引第二種免許」が規定されている[注 3]。なお、乗車定員において運転できる自動車の範囲が普通免許と異ならないため、準中型第二種免許は存在しない。

仮運転免許(仮免許)免許を受けるため運転を練習しようとする人や、技能検定のため路上で運転するために必要となる免許。略して「仮免」とも言う。

路上での運転については、一定の免許資格要件を満たす者もしくは、教習指導員有資格者(指定自動車教習所に於いて技能教習に従事する場合に限る)の同乗、仮免許標識の掲示が必要であり、単独運転は許されない。また、あくまでも路上で運転練習するための免許であり、それ以外(買い物や送迎など)の目的として運転することは許されない。

指定自動車教習所または非公認自動車教習所の指導の下、教習員が同乗して教習車により路上走行するのが一般的であるが、これは法的要件ではない[注 8]

法令では「大型仮免許」「中型仮免許」「準中型仮免許」「普通仮免許」が規定されている[注 3]


第一種免許の区分


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