日本の警察官
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その後、1881年の憲兵制度の発足を受けて警備掛は廃止され、旧警視局所管の兵器は全て陸軍省に納付された[32]。しかしその後も、朝鮮などの外地では、武装勢力との戦闘に備えて小銃野砲などの軍用武器を保有している場合もあった。

日本では1871年から新しい郵便制度を発足させたが、現金書留を狙った強盗被害や山中でニホンオオカミと遭遇する事態が多かったことから、1873年に郵便配達員に拳銃(郵便保護銃)の携帯を許可している(郵便物保護銃規則も参照)。
旧警察法時代S&W M1917

拳銃については、終戦直後は日米双方が混乱しており、アメリカ側が警官の非武装化を志向したと解釈された時期もあった。しかし1946年1月16日、連合国軍最高司令官総司令部よりSCAPIN-605として「日本警察官の武装に関する覚書」が発出され、拳銃により武装できることが明文化された[33]。当初は、FN ブローニングM1910コルトM1903のように戦前の警察組織から引き継がれた武装のほか、GHQの指令を受けた旧日本軍武装解除や民間からの回収によって入手された十四年式拳銃九四式拳銃などが用いられていた。しかし、当時は日本全体が非武装化されつつあり拳銃の入手が難しく、充足率は低かった。例えば、比較的装備充実していた警視庁ですら、1946年3月の時点では、関東大震災直後に調達した572挺を保有するのみで、警察官25人に1挺にも満たない程度であった。その後、同年6月に旧軍の装備品4,189挺の獲得に成功し、およそ3人に1挺の割合となった[23]

1949年の時点では全国平均として6人に1挺程度保有していたものの、地域によって差が大きく、警視庁青森県三重県のようにほぼ全員分を確保していた地域がある一方[34]、例えば平市警察の場合、同年に発生した平事件を受けた事後調査において、30名の定員に対して2挺しか保有していなかったことが指摘されている[35]。配備されている拳銃にも老朽品が多かったほか、多種多様な銃が混在して配備されており、様式は実に170種以上に及んでいた[28][36]

1949年夏よりこれらの拳銃はGHQに回収され、かわってアメリカ軍の装備が貸与されることとなった[37]。同年7月1日、GHQ参謀第二部公安課から日本政府に手交された覚書により、当時の日本警察125,000名に対して、各人に拳銃1挺および実包100発あての貸与が通達された[38]S&W ミリタリー&ポリス(戦時型のビクトリー含む)やコルト・オフィシャルポリス(戦時型のコマンド含む)など、.38スペシャル弾仕様の回転式拳銃のほか、.45ACP弾仕様のコルト・ガバメントM1917リボルバーも多数含まれていた。例えば警視庁は全員がS&W M1917[39]大阪市警視庁は全員がコルトM1917、埼玉県では、国家地方警察はコルト・コマンド、自治体警察はコルト・ガバメントが配置された[40]。このように貸与拳銃はいずれも大・中型拳銃であったことから、1951年、国家地方警察本部と警視庁、複数の自治体警察の共同購入として、商社を介してS&Wチーフスペシャルコルト・ディテクティブスペシャルといった小型拳銃を輸入し、女性警察官や私服勤務員に配備した[39][41]。また私服勤務員やセキュリティポリスなどでは、戦前と同様、FN ブローニングM1910コルト・ベスト・ポケットFN ポケット・モデル M1906といった小型の自動拳銃も用いられていた[42]

これらの施策によって充足率は急激に向上し、例えば警視庁では、1950年1月10日に全警察官に拳銃を貸与し、翌1951年6月1日には私服警察官に小型拳銃を貸与した[43]。全国的にみても、1951年には全ての警察官への支給が完了したとされている[33]

一方、拳銃の充足率の向上に伴い事件や事故が多発した。警視庁は1949年1月に「常に(拳銃を)携帯しなければならない」と指示したが、暴発や電車内で居眠り中に拳銃を奪われた事例、酒席や映画館まで拳銃を持ち込みトラブルとなった事例も発生した。このことから1951年に規則改正を行い「勤務に必要なとき以外は、所属長に申告して取扱責任者に一時保管を委託できる」とした[44]
新警察法時代石川県金沢西警察署での通常点検。

1954年の新警察法施行時点で、警察組織が保有する拳銃約124,000挺のうち87.3パーセントが米軍からの貸与品であった[28]


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