日本の警察官
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以後の警察は、国家主導体制のもと、管轄する中央省庁の権限委任も多く行われたが、最終的に内務省に警察権が委任され、内務省方の国家警察・国家直属の首都警察としての警視庁と、各道府県知事が直接管理下に置く地方警察の体制に落ち着いた[4]

1933年大阪市天六交差点で起きたゴーストップ事件(天六事件)にて、市電を目がけて赤信号を無視して交差点を横断した陸軍第4師団歩兵第8連隊第6中隊一等兵交通整理中であった大阪府警察部曽根崎警察署交通係巡査との大規模な衝突が起こり、その後、現役軍人に対する行政措置は警察官ではなく憲兵が行うこととなり、軍部政軍関係を超えて次第に国家の主導権を持つきっかけの一つとなった。

第二次世界大戦後は、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) により、それまでの中央集権的な警察組織が廃止され、1948年旧警察法が定められ、地方分権色の強い国家地方警察自治体警察の二本立ての運営で行われたが[5]1954年には現・警察法に改正され、国家行政組織の警察庁と地方組織の警視庁道府県警察に統一されて今日に至っている[6]

なお、この間、1938年厚生省内務省から分立し、警察官の業務のうち衛生業務は保健所に移管された[4]消防業務に関しては、1948年に国家行政組織として消防庁が設置され、消防業務は警察官の業務から独立し、自治体消防制度が発足した。
採用・昇任

警察官の採用には、警察庁警察官の採用試験として人事院の実施する国家公務員採用試験と、各都道府県の警察官の採用試験として各都道府県人事委員会(都道府県警察に業務が委託されている場合もある)の実施する地方公務員採用試験がある。なお、警察官採用数の上位30校はすべて私立大学が占めている[7]

国家公務員として警察庁(本庁)に採用された場合、国家公務員総合職採用者(旧T種、旧三級職、有資格者、いわゆるキャリア)は警部補階級を初任とし、国家公務員一般職(大卒)採用者(旧U種、旧二級職、いわゆる準キャリア)は巡査部長の階級を初任とする。これら警察庁採用の警察官は昇任試験を課せられることなく、選考により昇任する。

地方公務員として都道府県に採用された場合は、採用枠や学歴に関係なく原則として巡査(旧1級職、国家III種採用相当、高卒程度)の階級を初任とする。その後は一定の経験年数を受験資格とする、巡査部長警部補警部と3段階の試験を通じて昇任の道が開ける。いずれも倍率の高い試験である。警視以上へは試験ではなく個別の選考により昇任する。警察制度上、巡査部長は初級幹部、警部補は中級幹部と位置づけられる。地方公務員として採用された者であっても、警視正の階級に至ると国家公務員に身分が切り替わり、任命権者警察本部長から国家公安委員会になる(地方警務官)。俸給その他手当についても国庫がその支弁を行うようになる(警察法37条1項1号、警察法施行令2条1項)。また、巡査と巡査部長の間に一種の名誉職として巡査長がある。巡査を一定期間経験し、勤務成績優秀と認められた場合に任じられる(任命制度、基準は警察本部により異なる)。

都道府県の場合、専門性を必要とされる職種については経験者または有資格者を採用しており、学歴に関係なく経験や能力によって階級が定められている。主に財務捜査、サイバー捜査において専門採用枠があり、採用時の階級は巡査部長であることが多い。

少子高齢化により受験者数が減少していることから、退職した元警察官の採用要件を緩和し即戦力として雇用する「再採用」が全国で行われている[8]

1960年代には人手不足から採用試験は毎月のように行われており、当時大学生で就職活動が上手くいっていなかった若本規夫は11月に警視庁へ願書を出し、採用試験では身体検査、筆記試験、面接が1日で終了、当日に合否判定が下され、2月の身上調査で正式合格、4月に警察学校へ入校したという[9]
階級・階級的職位「日本の警察#職員」も参照

警察官の階級は、警察法第62条により、警視総監以下、警視監警視長警視正警視警部警部補巡査部長及び巡査の9階級が定められている。また巡査と巡査部長の間に階級徽章から区別されるように、警察法に定められた正式な階級では無いが「階級的地位」として運用される巡査長[注釈 1]がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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