日本の警察官
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

昭和35年度、国産のニューナンブM60が採用され、昭和43年度以降の調達はこちらに一本化された[28]。当時、供与拳銃のうち多数を占める45口径拳銃、特にM1917リボルバーについては、第一次世界大戦以来の老朽品であり、耐用年数を過ぎて動作不良や精度低下を来していたほか、警察用としては威力過大であり、大きく重いために常時携帯の負担が大きいという不具合も指摘されていた[34]。上記の新規購入の進展に伴い、昭和40年度より、これらの老朽銃の更新が開始された[45]。また1970年代には220挺程度のワルサーPPKが輸入されて、セキュリティポリス(SP)の警護官や皇宮護衛官を中心に配備されたと言われている[46]。しかしそれでも、昭和49年度末の時点で、警察組織が保有する拳銃約193,000挺のうちおよそ半数にあたる約95,000挺を譲渡品が占めていた[45]

ニューナンブM60は、外国製と比して射撃精度に優れ、また日本人の体格に合っていたこともあって好評であったが、1990年代にその生産が終了すると、再度輸入が開始された。1997年にはS&W M37エアーウェイトが大量発注され[47]、また2003年に5,344丁[48]2005年にも5,519丁が購入されている[49]。また2006年にエアーウェイトの販売が終了すると、やはりS&W社の拳銃に所定の改正を加えたサクラM360Jの調達が開始された[50][51]。エアーウェイトの採用以降は警察官の装備軽量化のため、調達する回転式拳銃は2インチ銃身と定められている。

またこの時期には、自動拳銃の調達も開始された。1990年代に行われたトライアルでは、ベレッタM92グロック17H&K P7M8、SIG SAUER P230、ミネベア社の国産試作銃が候補とされた[52]。最終的に.32ACP弾仕様のP230が採択され、マニュアルセフティやランヤードリングの追加など所定の改正を加えたP230JPが発注された。ニューナンブ生産終了後に調達の主力をこちらに移すことも検討されたものの、これは実現しなかった[53]

装備品の拳銃が盗まれた記録として、1966年(昭和41年)から1974年(昭和49年)7月までの9年間で6件7丁というものがある。拳銃を盗まれた当事者の警官は、いずれも懲戒免職停職など厳しい処分を受けている。この期間に盗まれた拳銃のうち4丁が未回収であるが、このうちの2丁は韓国で大統領暗殺未遂事件に使用されて韓国当局に押収されている[54][55]
特殊けん銃

9x19mmパラベラム弾のように強力な実包を使用する自動拳銃は、上記のような回転式拳銃や小口径の自動拳銃とは区別され、警察部内では特殊けん銃と通称されているといわれている。主に警備公安警察、また刑事警察で特殊犯や組織犯罪に対処する部門などを中心に配備されており、下記のような多彩な拳銃が調達・配備された[56]

S&W M3913 - 当初は組織犯罪対策部向けに調達されたといわれていたが、のちに銃器対策部隊[注釈 7]を含む機動隊や、更に地域部での配備も確認されている[52]

SIG SAUER P220 - 警視庁警備部などで、P225とともに配備されているといわれている[56]

SIG SAUER P226 - 平成26年度予算で整備用工具キットの調達が確認されている[57]

ベレッタ92 Vertec - 2000年代に入って、刑事部特殊事件捜査係での配備が確認された[52][注釈 8]。近年では福岡県警察の銃器対策部隊でも使用が確認されている。

ベレッタ90-Two - 2015年に栃木県警察特殊犯捜査係(TSIT)での配備が確認された[58]

グロック17 - SPの警護官への配備が確認されている[注釈 9]。またSATでグロック19が使用されているという情報もある[56]

H&K P9S - 警視庁の特科中隊(SAP; SATの前身部隊)が採用していたといわれている[52]

H&K USP - SATの主力けん銃といわれているほか、警視庁公安部などでも使用されているといわれている[52][56]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:166 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef