ニューナンブM60は、外国製と比して射撃精度に優れ、また日本人の体格に合っていたこともあって好評であったが、1990年代にその生産が終了すると、再度輸入が開始された。1997年にはS&W M37エアーウェイトが大量発注され[47]、また2003年に5,344丁[48]、2005年にも5,519丁が購入されている[49]。また2006年にエアーウェイトの販売が終了すると、やはりS&W社の拳銃に所定の改正を加えたサクラM360Jの調達が開始された[50][51]。エアーウェイトの採用以降は警察官の装備軽量化のため、調達する回転式拳銃は2インチ銃身と定められている。
またこの時期には、自動拳銃の調達も開始された。1990年代に行われたトライアルでは、ベレッタM92、グロック17、H&K P7M8、SIG SAUER P230、ミネベア社の国産試作銃が候補とされた[52]。最終的に.32ACP弾仕様のP230が採択され、マニュアルセフティやランヤードリングの追加など所定の改正を加えたP230JPが発注された。ニューナンブ生産終了後に調達の主力をこちらに移すことも検討されたものの、これは実現しなかった[53]。
装備品の拳銃が盗まれた記録として、1966年(昭和41年)から1974年(昭和49年)7月までの9年間で6件7丁というものがある。拳銃を盗まれた当事者の警官は、いずれも懲戒免職や停職など厳しい処分を受けている。この期間に盗まれた拳銃のうち4丁が未回収であるが、このうちの2丁は韓国で大統領暗殺未遂事件に使用されて韓国当局に押収されている[54][55]。 9x19mmパラベラム弾のように強力な実包を使用する自動拳銃は、上記のような回転式拳銃や小口径の自動拳銃とは区別され、警察部内では特殊けん銃と通称されているといわれている。主に警備・公安警察、また刑事警察で特殊犯や組織犯罪に対処する部門などを中心に配備されており、下記のような多彩な拳銃が調達・配備された[56]。
特殊けん銃
S&W M3913 - 当初は組織犯罪対策部向けに調達されたといわれていたが、のちに銃器対策部隊[注釈 7]を含む機動隊や、更に地域部での配備も確認されている[52]。
SIG SAUER P220 - 警視庁警備部などで、P225とともに配備されているといわれている[56]。
SIG SAUER P226 - 平成26年度予算で整備用工具キットの調達が確認されている[57]。
ベレッタ92 Vertec - 2000年代に入って、刑事部の特殊事件捜査係での配備が確認された[52][注釈 8]。近年では福岡県警察の銃器対策部隊でも使用が確認されている。
ベレッタ90-Two - 2015年に栃木県警察の特殊犯捜査係(TSIT)での配備が確認された[58]。
グロック17 - SPの警護官への配備が確認されている[注釈 9]。またSATでグロック19が使用されているという情報もある[56]。
H&K P9S - 警視庁の特科中隊(SAP; SATの前身部隊)が採用していたといわれている[52]。
H&K USP - SATの主力けん銃といわれているほか、警視庁公安部などでも使用されているといわれている[52][56]。