第一次石油危機を契機とした先進諸国が低成長以降、税収が減少し、社会保障の抑制の必要性がされるようになる。下記のように高齢者への無償福祉や低額福祉導入後、先進諸国における人口の急激な高齢化・少子化は社会保障の役割と規模の拡大によって社会保障費が増大し続けている。
日本の社会保障給付費の推移[4][37]年度金額国民所得比
1980年24兆9290億円12.23%
1985年35兆6894億円13.70%
1990年47兆4238億円13.67%
1995年64兆9918億円17.10%
2000年78兆4062億円20.10%
2005年88兆8529億円23.89%
2010年105兆3647億円28.89%
2015年116兆8133億円29.75%
2020年132兆2,149億円35.22%
2021年138兆7,433億円35.04%
2025年
(2018年の予測[38][注釈 3])140兆8000億円
2040年
(2018年の予測)188兆5000億円
日本の社会的支出(兆円)。緑は医療、赤は年金、紫はその他[39]
社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%(名目額121.3兆円)から、2025年度に21.7%?21.8%(同140.2?140.6兆円)となる。その後15年間で2.1%?2.2%ポイント上昇し、2040年度には23.8%?24.0%(同188.2兆円?190.0兆円)となる[38]。
社会保障負担の対GDP比は、2018年度の20.8%(名目額117.2兆円)から、2025年度に21.5%?21.6%(同139.0兆円?139.4兆円)となり、2040年度は23.5%?23.7%(同185.6?187.3兆円)へと上昇する。
その内訳をみると、保険料負担は2018年度の12.4%(同70.2兆円)から、2025年度に12.6%(同81.2兆円?81.4兆円)となり、2040年度には13.4%?13.5%(同106.1兆円?107.0兆円)へと上昇、公費負担は2018年度の8.3%(同46.9兆円)から、2025年度に9.0%(同57.8兆円?58.0兆円)となり、2040年度には10.1%?10.2%(同79.5兆円?80.3兆円)へと上昇する。(「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018年5月厚生労働省推計)[38] の「計画ベース・経済ベースラインケースによる」のケースによる)。
保障制度の見直し「高齢者の医療の確保に関する法律#法改正」も参照
1973年秋にオイルショックが勃発し、原油価格の高騰がインフレを招き企業収益を圧迫し、高度経済成長時代の終焉をもたらした。また、低成長化による税収減と同時に、インフレに対して給付水準を合わせていくため社会保障関係費が急増したため、財界(特に第二次臨時行政調査会の「増税なき財政再建」や「日本型福祉社会論」)や大蔵省からの抑制圧力が加わった。自民党政権は、選挙への影響を考慮して当初は「見直し論」を抑え込んでいたものの、1980年の衆参同日選挙での自民党の大勝を受けて、安定成長への移行及び国の財政再建への対応、将来の超高齢化へ適合するよう、社会保障制度の見直しが行われた。
1982年に老人保健制度が創設され[40]、老人医療費に関して公費負担から社会保険への転換が行われ、患者本人の一部負担導入や全国民で公平に負担するための老人保健拠出金の仕組みが導入された。1984年には健康保険の本人負担を1割に引き上げ[40]、退職者医療制度を導入した。1985年には全国民共通の基礎年金制度が導入される一方で給付水準が引き下げられた。
少子高齢化への対応「日本の医療#医療制度改革」、「日本の少子化」、および「日本の高齢化」も参照
日本は諸外国に比べ高齢化のスピードが速く、高齢化社会の定義である高齢化率7%からその倍の14%になるまでわずか24年(1970年 - 1994年)であったため、高齢者の介護問題が老後最大の不安要因として認識された。また、1989年の合計特殊出生率がひのえうまの年を下回り、戦後最低となったことは「1.57ショック」と呼ばれた。
1989年のゴールドプラン、1994年の新ゴールドプラン及びエンゼルプラン、1995年の障害者プラン、2000年の新エンゼルプランにより保健福祉サービスの基盤が図られた[41]。日本の人口(年齢構成別)の推移、および将来予想
日本の高齢化のスピードが速かったことから、高齢者の介護問題が老後最大の不安要因として認識されて、2000年に介護保険制度が創設され、老人福祉と老人医療に分かれていた高齢者の介護制度を社会保険の仕組みで再編成した[42]。介護保険は、老人福祉と老人医療に分かれていた高齢者の介護制度を社会保険の仕組みで再編成したものであり、世界的にもドイツに続く創設であった。従来の社会福祉は、行政機関がサービス実施の可否、サービス内容、提供主体等を決定する措置制度の考え方であるのに対し、介護保険制度は、サービス利用者を中心に据えた利用者本位の考え方であり、利用者とサービス事業者が契約によりサービスを行う契約制度である。介護保険を契機に、障害福祉サービスや保育サービスも措置制度から契約制度へと考え方や仕組みが変更されてきている。
また、厚生年金の支給開始年齢の引き上げや医療費の患者負担の引き上げが行われた[42]。
福祉の供給主体「Category:日本のソーシャルワーク関連の組織」も参照
福祉を担当する組織(行政機関)には以下のようなものをあげられる。
保健所
市町村保健センター
子育て支援センター
福祉事務所 - 社会福祉法によって規定されている。福祉業務を担当する第一線機関である。
児童相談所 - 児童福祉法によって規定されている。児童に対するあらゆる相談に応じる。
身体障害者更生相談所および知的障害者更生相談所:身体障害者福祉法および知的障害者福祉法によって規定されている。福祉事務所では扱えない高度な問題を担当する。
その他、老人福祉法による「在宅介護支援センター(老人介護支援センター)」、介護保険法による「地域包括支援センター」などがある(こちらは多くが民間福祉事業者へ委託)。 社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士、公認心理師、薬剤師、精神科医、社会保険労務士などの国家資格があるが、これらは一部を除き業務独占ではなく名称独占のため、職務の棲み分けが明確でなく、施設によっては国家資格を職名として使用しないところもある。 国家資格(国が定めたカリキュラムとトレーニングを積んだ後に国家試験受験資格が与えられて、国家試験に合格した者のみ与えられる資格)
福祉従事者
福祉に関わる資格「日本の医療・福祉・教育に関する資格一覧」も参照
【社会福祉士及び介護福祉士法】
社会福祉士(福祉分野の各種専門相談援助)
介護福祉士(排尿、排便の介護、食事の介助、褥瘡の予防)
【精神保健福祉士法】