日本の捕鯨
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なお、漂着したクジラ死体や集団座礁したクジラに関しては、食品衛生上の観点から利用は推奨されていない[注 13]
現在日本にある捕鯨基地

2012年度における農林水産大臣より許可された沿岸小型捕鯨で捕獲された鯨の鯨体処理場の設置場所は、北海道網走函館宮城県石巻市鮎川、千葉県南房総市和田、和歌山県太地町の5箇所で、山口県下関が調査捕鯨船の母港として使われた[67]。イルカ漁は北海道、青森、岩手、宮城、千葉、静岡、和歌山、沖縄の各知事より許可されており、このうちイルカ追い込み漁は、和歌山県の太地町と静岡県の伊東市富戸のみで許可されている。ただし富戸では2004年以降の捕獲実績がない。
捕鯨と文化詳細は「捕鯨文化」を参照

捕鯨活動に関連して、捕鯨従事者など特有の文化が生まれた例がある。日本では、捕鯨従事者を中心にその地域住民に捕鯨行為に対しての安全大漁祈願や、鯨に対する感謝や追悼の文化が各地に生まれた。「鯨一頭(匹)七浦賑わう(潤う)」という言葉に象徴され、普段、鯨漁を生業としない海浜地域において鯨を捕獲してその地域が大漁に沸いた事や鯨に対しての感謝や追悼を記念し後世に伝承していた例もある。ほか、鯨唄・鯨踊り・鯨絵巻など、鯨または捕鯨に関する歴史的な文化は多数存在する。

鯨産品の用途一般については鯨骨鯨ひげ鯨油を、食用・食文化に関しては鯨肉鯨骨を参照。
信仰の対象として(鯨神社ほか)

日本の宗教観念では森羅万象を神とする考え方もあり、また人々の生活を維持してくれる作物や獲物に対して、感謝をする習慣があり、鯨墓鯨塚などが日本各地に建立されている。

日本各地に鯨に纏わる神社(俗称として鯨神社)がある。多くは鯨の遺骸の一部(骨など)が御神体になっていたり、捕鯨行為自体を神事としている神社などがある。なかには鯨のあご骨でできた鳥居を持つ神社もある。

日本各地に鯨を供養した寺があり、俗称として鯨寺と呼ばれているものもある。多くは鯨の墓や戒名を付けたりなどしているが、鯨の過去帳を詳細に記述している寺などがある。なかには鯨観音とよばれる観音をもつ寺もある。

慶長17年(1612年)、安房国里見忠義が領内から伊勢神宮に鯨の皮を初穂として奉納しており、鯨が神聖なものとして扱われていた[68]
批判や妨害
調査捕鯨

南極海の調査捕鯨に対して、以前からグリーンピースグリーンピース宅配便窃盗事件)やシーシェパードの激しい捕鯨妨害活動があったが、シーシェパードが2007年度からアニマルプラネットの『Whale wars(鯨戦争)』の取材陣を同乗させてさらに妨害活動が苛烈となった。なお北西太平洋では反捕鯨団体の妨害活動は確認されなかった。

2011年、米英豪で調査捕鯨に農水省の震災復興予算が流用された件[69]に関する報道が行われ、寄付金が調査捕鯨に流用されたと勘違いした市民が在外公館に苦情を寄せた[70]。調査捕鯨予算はそれまでは、年間約5-9億円であったが、第3次補正予算により復興予算から水産庁に約23億円が流れたことで、合計約30億円、従来の6倍となっていたことが明らかになった[71]。この復興事業の流用について日本国内では主に翌年の2012年にNHKで取り上げられ[72]、国会では震災復興と関係の薄い事業費ではないかと論点となった[73]。その他、日本鯨類研究所#日本鯨類研究所への批判も参照。
追い込み漁

特に映画『ザ・コーヴ』の公開以降、和歌山県太地町の追い込み漁が反捕鯨団体の強い反発を受けるようになった。毎年漁期になると国外から外国人活動家が同町に抗議のため訪れ、漁業関係者との間でトラブルが発生している[74] 。反捕鯨団体の過激な活動家が漁具の破壊や暴行などの不法行為で逮捕される事案も発生しており、第五管区海上保安本部が沿岸を警備し[74][75]和歌山県警が町内に臨時交番を設置して警戒に当たった[76]。警察から過激な活動家への指導・警告の件数が1シーズンで25件ほどになったり[77]、破壊行為をした活動家が逮捕されている[78]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 江戸期の文献では、沖で死んでいる鯨を「流鯨」、浜に打ち上げられた鯨は「寄鯨」と呼称している。寄鯨に関しては漁師が追い込んで座礁させたものも含まれる。
^ ただし、他の地域にも独自に網取り式を開発したとの伝承もあるが、「一、延宝五丁巳年和田角右衛門頼治鯨網工風始候而・・・苧網ニ而専ら鯨を捕事太地浦より余國ニ者是迄相始り不申候」と二代目太地角右衛門頼盛が記している。
^ 油を水田に注いで水の表面に被膜をつくり、イネの穂を笹などで払い害虫(ウンカ類)を落とすと、虫の表面に油が付着し、気門がふさがれて窒息死する。後には魚油や菜種油なども用いられるようになった。明治時代になると鯨油から石油へと転換され、第二次世界大戦後までウンカ類の防除法として利用された。


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