日本の地上デジタルテレビ放送
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移行の経緯詳細は「2011年問題 (日本のテレビジョン放送)」を参照

山村や離島など、中継局の未整備などにより受信が不可能な地域も多くあったため(ケーブルテレビで受信できる場合はあるが、携帯電話スマートフォンなどのワンセグでは受信できない地域も多い)、停波予定日までにすべての地域で受信可能にすることを目標に各地で送信所中継局の整備が進められ、整備が追い付かない一部の地域向けにはケーブルテレビ・通信衛星による送信やIP放送といった代替手段を利用することも検討された。

終了時期については、普及状況などによっては変更される可能性もあったが、日本経済新聞2007年(平成19年)7月10日付朝刊は、総務省が地上アナログ放送を地域によって段階的に停止することを「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の答申案に盛り込むと報じた。しかし、総務省2008年(平成20年)3月に「概ね2010年末までに従来のアナログ放送と同等のエリアを確保すること」との具体的指針を官報で告示し、関係する基本計画を変更した。最終的に、これまで放送されていた地上アナログテレビジョン放送は、2011年(平成23年)7月24日までに放送を終了し停波することになった。停波予定とされていた「2011年7月24日まで」の根拠は、電波法[9]2001年(平成13年)7月25日に改正施行された際に地上アナログ放送の周波数を使用できる期間を「施行から10年を超えない期間」と定めたことによる。なお、2008年(平成20年)10月末に放送局の無線局免許状再免許の際、アナログテレビ放送無線局免許状の有効期限は2011年(平成23年)7月24日となった。

総務省はアンテナ工事の集中や機器の品切れを防ぐために対応機器の普及率の高い(=人口の多い)地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあった[10]。しかし、2009年(平成21年)1月7日には景況悪化を受け、前倒し方針を転換し、2011年(平成23年)7月24日以降もケーブルテレビ網を介してアナログ放送が視聴可能になる措置を取る、いわゆる「デジアナ変換」が検討された[11]。この施策は地上アナログ停波の後の2015年(平成27年)3月31日まで続けられた。なお、日本より一足早くデジタル化されたアメリカ合衆国でも、連邦通信委員会(FCC)が3年間はアナログ変換された再送信を継続するよう指示したことで、普及度の高いケーブルテレビを通じて混乱を少なくする策が講じられていた[12][注 4]

アナログ終了を目前に控えた2011年3月11日東日本大震災が発生。この影響を受けて、東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律が成立し、被災地域の岩手県宮城県福島県のみ2012年(平成24年)3月31日に移行が延期されることとなった(2011年問題 (日本のテレビジョン放送)#東日本大震災による被災3県での移行延期とその問題も参照)。

2011年7月23日、電子番組表の普及に伴い、新聞及びTVガイド雑誌ラテ欄へのGコード掲載は2011年7月23日付を最後に終了した(岩手・宮城・福島3県で販売分も含む)。

2011年7月24日、NHK総合日本テレビフジテレビテレビ東京などがアナログ放送終了記念特番を放送[注 5](フジテレビ以外の局は岩手・宮城・福島3県へは非ネット[注 6])。TBSテレビ朝日は当該時間帯(7月24日正午近く)に放送のレギュラー生ワイド番組(TBSは『アッコにおまかせ!』、テレビ朝日は『サンデーフロントライン[注 7])内でアナログ放送終了特集を組んだ。

総務省が定期的に発表する地デジ達成率の計算手法が、テレビ受像機の保有実態とかけ離れているため、間に合わないという予想もあったが[13]、実際には殆ど混乱らしい混乱も見られず、アナログ停波及びデジタルへの移行は円滑に完了した。

2012年3月31日、延期されていた被災三県も地上波アナログ放送を終了し、日本の地上波テレビ放送は完全にデジタル化された。
VHF帯の用途

地デジが暫定的に使っている53 - 62ch帯もアナログテレビ放送が終わればVHF帯と共にテレビ以外の用途へ各々転用され、(国の方針により)地上デジタルテレビチャンネルは完全移行後1年以内に13 - 52chへ集約されることが決定されていた(これに伴い、53 - 62ch帯を使用している局のある地上デジタル中継局はアナログ終了後、国費により[注 8]13 - 52chのいずれかにチャンネルを変更するリパックが行われた)。

テレビ放送の完全デジタル化によって空くことになったVHF電波帯域は、災害対策の自営通信や、携帯端末向けに新たに開始されたマルチメディア放送NOTTVi-dio)が放送されていた。さらに2014年(平成26年)以後はワイドFM(中波ラジオ局の混信対策用補完FM中継局。アナログテレビの1chに相当する領域付近である90 - 94.9MHzのみ)などに転用された[14]

しかしNOTTVi-dioは短期間で廃業したため周波数有効活用は白紙状態になっている[15]
特徴など

地上デジタルテレビジョン放送と地上アナログテレビジョン放送の違いや、追加された機能は以下の通り。一部の特徴は、規格上はBSデジタル放送と同等である。なお、制御方式はここ[16]から閲覧可能である。
高精細(HDTV)

ほとんどの放送が1080i(1125i)のHDTVで行われている。MPEG-2 TS圧縮による解像度は1440×1080i(一部は1920×1080i)、平均9 - 13.5Mbps、可変最大値[注 9]16.85 - 24Mbpsデータ放送・音声を含む。GI=1/8、64QAM、3/4、12Segs時)のビットレートでほぼリアルタイム圧縮されている(なおBSデジタル放送は解像度は1920×1080i(一部は1440×1080i)、最大24Mbps(データ放送・音声を含む。24スロット時)のビットレート)。1920×1080i以上の解像度の映像を1440×1080iで放送する時は画像をダウンコンバートして1440×1080i、4:3の画面アスペクト比の映像データにし、画面アスペクト比の信号を16:9に指定して受信機側で16:9の画面比率にアップコンバートして再生しているため1920×1080iの場合横の画素1/4の480画素数分程度の不可逆圧縮になる。なお、HDで制作されていない番組はアップコンバートによりピラーボックス形式で放送されている。なお、従来のNTSC受像機で4:3サイズのテレビで視聴した場合(即ち、外部チューナーやケーブルテレビセットトップボックスを外部端子に据え付ける方法)はアップコンバートでない限りはレターボックスとなる。720pでの放送はほとんど行われていない。
SDTV・マルチ編成

480iでの放送信号を受信した場合はテレビ受像機側の機能で自動的にピラーボックス形式に表示される。

SDTVでは(480i)×最大3番組の編成が可能。1チャンネル当たりの帯域幅には制限があるので、高精細度テレビジョン放送(HDTV)とマルチ編成はどちらか一方のみとなる。したがって、「ハイビジョン画質でマルチ編成」はできない[注 10]。なお近年はNHK BS1で行われているHDTVとSDTVを合わせたマルチ編成が地上波帯でも行われており、2023年4月現在以下の放送局で実施されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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