日本の国旗
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初代神武天皇東征の時に生駒山で敗北するが、「私は日の神の子孫として日に向かって(東に向かって)戦うのはよくない、日を背にして(西に向かって)戦おう」と言って熊野(または伊勢[3][注 1])に迂回して近畿地方の征服を成し遂げた。第10代崇神天皇は、宮廷内に祀られていた天照大神を宮廷外で祀るようになり、第11代垂仁天皇の在位時に初代斎宮倭姫命によって伊勢に鎮座した。伊勢神宮の祭祀は、未婚の内親王(女性皇族)を天照大神の御杖代(みつえしろ、神の意を受ける依代)として斎王を立てるようになった。

第33代推古天皇の在位時代に聖徳太子皇帝煬帝へ、「日出處天子…」で始まる国書を送還している。また、飛鳥時代末期に国号を「日本」(日ノ本)と命名したところからも、太陽(日の出)を意識しており、「日が昇る」という現象を重視していたことが窺える。第40代天武天皇壬申の乱の時に伊勢神宮を望拝した。これが「勝利に結びついた」と考えられ、在位中に伊勢神宮の遷宮を制度化し、第41代持統天皇の在位時に第1回目の式年遷宮が行われた。日本の国家統治と太陽の結びつきはますます強くなった。

この太陽を象った旗を用いるようになったのは、645年大化元年)の乙巳の変以後、天皇による親政が確立された頃からと考えられる[4]。文献としては、797年延暦16年)の『続日本紀』の中にある文武天皇701年大宝元年)の朝賀の儀に関する記述において、「正月元旦に儀式会場の飾りつけに『日像』の旗を掲げた」とあり、これが日の丸の原型で最も古いものといわれているが、「白地に赤丸ではなかった」と見られている。

世界中で歴史的に太陽で描かれることは少なく、太陽は黄色または金色、それに対して白色または銀色で表すのが一般的である[注 2]。日本でも古代から赤い真円で太陽を表すことは一般的ではなかったと思われる。例えば高松塚古墳キトラ古墳には東西の壁に日象・月象が描かれているが、共に日象は金、月象は銀の真円で表さ れている。第42代文武天皇の即位以来、宮中の重要儀式では三足烏をかたどった銅烏幢に日月を象徴する日像幢と月像幢を伴って飾っていたことが知られるが、神宮文庫の『文安御即位調度之図』(文安元年記録)の写本からは、この日像幢が丸い金銅の地に赤く烏を描いたものであったことが確認されている。また世俗的にも『平家物語』などの記述などからも平安時代末期の頃までの「日輪」の表現は通常「赤地に金丸」であったと考えられている。

赤い真円で太陽を表現する例としては、古くは中国史上の時代の帛画にある(上記の日像幢と同様、内側に黒い烏を配するもの)。日本では法隆寺玉虫厨子背面の須弥山図に、赤い真円の日象が確認できる。これは平安時代の密教図像などにも見出される表現であり、大陸から仏教とともにもたらされた意匠であろうと推測される。九鬼嘉隆が造船した日本丸を中心に九鬼水軍の陣容を描いている。

日本で「白地赤丸」が日章旗として用いるようになった経緯は諸説あり正確には不明である。

一説には源平合戦(治承・寿永の乱)の結果が影響していると言われている。平安時代まで、朝廷の象徴である錦の御旗は赤地に金の日輪、銀の月輪が描いてある。平安時代末期に、平氏は自ら官軍を名乗り御旗の色である赤旗を使用し、それに対抗する源氏は白旗を掲げて源平合戦を繰り広げた。古代から国家統治と太陽は密接な関係であることから日輪は天下統一の象徴であり、平氏は御旗にちなんで「赤地金丸」を、源氏は「白地赤丸」を使用した。平氏が滅亡し、源氏によって武家政権ができると代々の将軍は源氏の末裔を名乗り、「白地赤丸」の日の丸が天下統一を成し遂げた者の象徴として受け継がれていったと言われる。なお、日本では「紅白」がめでたい配色とされてきた。一説には民俗学的にハレとケの感覚(ハレ=赤、ケ=白)にあるとする説や、これも源平合戦に由来するとする説などがある。

現存最古の日章旗としては山梨県甲州市の裂石山雲峰寺所蔵の「日の丸の御旗(みはた)」が知られている[5][6]。寺の伝承では、この旗は天喜4年(1056年)に後冷泉天皇より源頼義へ下賜され、頼義三男の新羅三郎義光から甲斐源氏宗家甲斐武田家に相伝され、楯無鎧と対の家宝とされてきた[5]。『甲斐国志』では長さ六尺四布とあるが、現在は約1/4が欠損している[5]。また同じく中世の日章旗とされるものとしては、奈良県五條市賀名生皇居跡(堀家住宅)に伝わる後醍醐天皇下賜のものが知られる[7]
近世旗印・馬印『江戸図屏風』(1624 - 1644。黒田日出男によれば1634 - 1635、松平信綱の命による製作。)。日本丸を改造した大龍丸などの幕府船団が日の丸の幟を立てている。『御船図』安宅丸。19世紀に描かれた想像図には、船尾部に複数の日の丸が見える。


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