日本のコンテナ輸送
[Wikipedia|▼Menu]
ウィキメディア・コモンズには、日本国内のコンテナターミナルと、荷役機器類に関するメディアがあります。

トラック輸送1970年代に日本国内で撮影された、トレーラーヘッドで牽引されているマースク社の、40 ftドライコンテナ。詳細は「ドレージ輸送」を参照

日本初のISOコンテナドレージ輸送は、1968年8月三菱重工業神戸造船所竣工[11][注 2][12]し、日本初のコンテナ専用船となった「箱根丸」により日本 ? 北アメリカカリフォルニア航路間で運航が開始された[12]。運行開始に当たり、日本側の箱根丸所有者である日本郵船と、当時業務提携を行なっていた旧、昭和海運および、アメリカ側の総括窓口となっていたマトソン社とのネットワークによるコンテナ船のコンテナ荷役に付随する日本国内での陸上輸送方法として、トレーラーによる輸送が始まった。

以来、航路開設に合わせて新規に設立された日本コンテナ輸送( 1967年6月15日設立[13] )や、国際コンテナ輸送( 1968年5月11日設立[14] )などの海上コンテナ輸送専門の運送会社のほか、日本通運などの既存業者による新事業としての参入が相次いだ。またその時々の社会情勢や道路事情により、輸送出来るコンテナシャーシの開発や、関連する車両の車体寸法・強度や安全輸送上の構造・積載重量等の運用ルールの制定、さらには高速道路などでの通行許可の緩和優遇処置など、幾多の関連法律や各種利用制度の新設および、改訂などを経て今日に至っている。

日本国内における、ISOコンテナ道路運送規制(2005年)[15]ISOコンテナ
種別連結後の全長最大高最遠軸距(m)総重量(t)特殊車両通行許可申請経路申請
高速道道路管理者が
指定した道路その他道路
20ft?12m3.8mN/A20なしなしなしなし
12?17m〃8?925なしなし必要なし
〃〃9?1026なし必要必要なし
〃〃10?1127なし必要必要なし
〃〃11?1529?34なし必要必要なし
〃〃15?15.535?36不可不可不可不可
40ft?17m3.8m?820なしなし必要なし
〃〃8?1125?27なし必要必要なし
〃〃11?15.529?36なし必要必要なし
〃〃N/A36?44必要必要不可なし
40ft
ハイキューブ?17m4.1m?820なしなし必要必要
〃〃8?1125?27なし必要必要必要
〃〃11?15.529?36なし必要必要必要
〃〃N/A36?44必要必要不可必要
40ft コンテナシャーシ
重量規制

海上コンテナの世界共通規格として、1967年に正式に決定したISO 668により、規格化されて参加各国が世界中で利用していた。その後1968年に、日本初のコンテナ専用船となった「箱根丸」が就航以来、日本国内でもISOコンテナの陸上輸送ではコンテナ本体の重量と、コンテナに積載できる貨物の最大積載重量とを合計した『総重量』として、道路交通法上の最大規制値が先のISO 668創設時の初回規格を継承し20 ft(フィート)コンテナでは、20,320 kg(キログラム)および、40 ftコンテナでは、24,000 kgまでのものに限られていた。その反面、これらの上限数値は世界情勢に合わせてISO 668の規制値改定により、殆どの関係する国々において段階的にコンテナ総重量が引き上げられてきた。

しかし日本は元々の国土が狭く、トレーラーの通行できる道路幅・地上高規制・橋や高架橋での総重量規制など、日本特有の低い道路規格が足かせとなりISO 668が決まった1967年から[注 3]1995年の初頭まで長きに渡り改正されることも無く、世界的な最大積載基準値を大きく下回り続けていた。このためにISO 668規格で最大総重量が改正される度に、世界基準に準じて日本国外から輸入されて来た積荷を満載したコンテナは、そのままでは日本国内を陸送する事ができなかった。このために場合によっては、日本国内基準に合わせるために輸出元の国内で事前に積荷を減らしたり、諸般の取引事情でこれが出来ない場合にはコンテナを陸揚げした国内港の港湾施設内で一旦開封して、一度に複数の個数を使った大量輸入の場合は国内基準に合うように別の追加するコンテナへ振り分けたり、また新たに追加されるコンテナが一個には満たない様な少量の場合は別便のトラック輸送へ振り分けるなどの対策が行われて来た。これらの作業には、当然の事ながら膨大な手間と振り分け作業員等の人件費のほか、追加するコンテナの使用料や増車分のトレーラー又は小口輸送用のトラックの運送料などが発生し、深刻な物流弊害が起こっていた。このように国土の狭い日本特有の交通事情などの弊害が改善されなければ、本来のコンテナ輸送の目的である陸海一貫輸送が円滑にはできない、あるいは追加の諸経費を最終的には積載貨物に上乗せされ、結果的に海外商品の高騰を招くなど、物流関係者や荷主からの不満が強かった。

これら長い間の根強い不満に対して政府は、1995年3月閣議決定された規制緩和推進計画によって、認定を受けた3軸仕様のコンテナシャーシと、トレーラーヘッドの組み合わせによる輸送がようやく認められるようになった。この規制緩和により、最大規制値は20 ftで24,000 kg、40 ftコンテナで30,480 kgまでに引き上げられ、当時のISO 668規格による世界的な最大積載基準値での輸送が合法となった。これを期にISOコンテナの輸送環境が大きく改善し、例えば国内産と中国などからの安い輸入商品との価格競争でも有利になるなど、その経済的波及効果は輸出入を問わず飛躍的に広がって今日に至っている。

なお、認定を受けた3軸仕様のコンテナシャーシと、トレーラーヘッドへ切り替える輸送業者の負担を考慮し、既存の車両に必要な構造変更を施したものについては、2008年3月末まで[16]使用の継続が認められていた。

また特記事項として、20 ftコンテナはほとんどが自重が約3,000 kg(汎用コンテナ)から3,500 kg(冷凍コンテナ等)未満のため、通常の流通過程で頻繁に発生している空コンテナとしての回送や、中古として空コンテナの売買に伴う輸送では、中型自動車免許で運転できる4t(トン)積み程度の、単体構造の中型トラックでも可能である。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:150 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef