日本のアナウンサー
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報道・情報番組は準備のため放送開始2時間前には出勤する必要があるため、早朝番組で生放送する出演者は深夜(2?3時)に自宅を出る(もちろん公共交通機関は一切動いていないので、局差し回しのタクシー、または許可を受けて自家用車で出社。自動車通勤は交通事故の懸念から通常は許されていないが、地方局では通勤のための交通機関がない場合もあり自動車通勤が認められている放送局もある)など、その勤務実態は過酷である。

職務の性格上、勤務は曜日が基準となり祝日も無関係であるが、一般に年に1回5日間程度のまとまった休みをとることが認められている。一部放送局では、労働組合との協定で週休2日制を強く守っている場合もある。(NHKの地方局ではその傾向が顕著である)社員であるため年次有給休暇も与えられるが、ほとんど消化できないのが現状で、1?2か月まとめて消化してから退社する若しくは定年退職者は嘱託に移行といった例も多い。正職員アナウンサーが嘱託となって継続雇用される場合でも、同様の例が多い。(シニアスタッフは除く)但し、地方局では嘱託職員は勤務日数が正職員よりも少なくなることも近年では目立っている。さらに、嘱託を過ぎてからの再雇用制度であるシニアスタッフ(基本的には正社員としての雇用期間を満了した60歳以上の職員、場合によっては70歳以上の職員。NHKにおいては定年時に嘱託になるかシニアスタッフになるか選ぶことができるようになっている)においては、東京本部においても、多くても勤務日数は週4日程度に抑えられている。東京本部においては、中には週1日や週2日の勤務をしているシニアスタッフも極僅かではあるが存在している。地方局では週4日や週3日勤務が基本であるなど、近年では定年退職者を中心に柔軟な働き方も見られるようになっている。しかし、正職員の働き方は今現在も過酷であり、改善はあまり進んでいない現状がある。

地方局の場合はスタッフの人員が少ないため、アナウンサーであっても報道記者やディレクターなどの裏方仕事を兼務する例が少なくなく、支局駐在となる例もある。
職場環境・福利厚生

局アナウンサーは、編成部門のアナウンス部あるいは放送部などに属している。労働条件については正社員のほか、契約社員として勤務している者もいる。局アナウンサーは「社員」なので、基本的に局内に机もあり、仮眠室・食堂・ネットワーク・保険など社内の施設・福利厚生を利用できる。
様々な雇用関係

放送局の正社員・契約社員として所属している者のほか、芸能事務所制作会社からの派遣社員も存在する。在京キー局ではTBSTBSニュースバードのキャスターや、TBS954情報キャスター(ラジオのみの出演)などが派遣社員でほぼ派遣先の放送局の専属出演する。TBSの場合、これらのキャスターは地上波放送への出演は少なく、それぞれCS放送やラジオへの出演が中心となる。局によっては「リポーター」「パーソナリティ」と称する。なお、ラジオ局の場合は中継車の運転やディレクター業務などアナウンス業務以外の業務も担うことがある。

フジテレビは、かつて「専属リポーター・司会者募集」の名目でアナウンサーを募集していた。これは当時同局に存在していた「労組・第二労組」の2組織に対し、創業者の鹿内信隆が、組合所属のアナウンサーをそのまま“アナウンサー”と呼び、第二組合の所属者を“リポーター”(正式名は「報道局解説放送室付リポーター」)や「司会者」と呼んで差別化を図っていた、いわゆる会社の内紛に起因した事象である。どちらも業務内容は全く同じで、これがアナウンサー採用試験と知らずに受験した者もいた程だった。田丸美寿々辛坊治郎らもその一員とされる。辛坊はこの事実を知りフジテレビに入社せず、読売テレビに入社した。

GyaOは「ギャオーディション」というオーディション番組でアナウンサーを募集した。これはGyaOでのアナウンス業務をはじめ、ドラマ・バラエティ・映画など、自社媒体の番組へ出演する者の公募であり、GyaOを運営していたUSENの社員としての募集ではないので、一般にいわれる局アナウンサーとは意味が異なる。
契約アナウンサー

契約局員 (NHK) ・契約社員(民放など)は「契約アナウンサー」と呼ばれる。人件費削減の波を受け増加傾向にあるが、契約社員の直接雇用等、今後の課題が多く残されている。

契約アナウンサーは女性に多く、男性では少ない。

NHKは多くの場合、女性アナウンサーの事例にあてはまる。職員・契約を合わせたアナウンサーのうち、女性は職員アナウンサーが少なく、配属されていない地方放送局もある。そのため、各放送局が個別で契約アナウンサーを採用する例が比較的多い。

芸能事務所(東京・地方を問わず)に所属している放送局の契約アナウンサーも少なからず存在している。

契約アナウンサーをキャスターまたはリポーターと称している。そこからNHKの正職員・局アナウンサーとなったのは、現在までのところ森田美由紀荒木美和の2人のみであり、非常に狭き門となっている。

民放ローカル局を中心に契約社員を採用する局が増加しており、非正規雇用がアナウンサーの分野にも広がっている。
フリーアナウンサー詳細は「フリーアナウンサー」を参照

この場合の「フリー」は、放送局と直接の雇用関係がないことを指す。完全なフリーランスでなく、人材派遣事務所や芸能事務所などに所属している者もこう呼ばれる。

局アナとフリーアナウンサーの仕事内容に実質的な違いはないが、雇用形態に大きな差がある。局アナは社員・職員としての給与と仕事の供与、労働三権が保証されている代わりに、社命である業務や異動を基本的に断れない。勤務地が大きく変わることはないが、別の分野を担当させられる。要は局アナは「会社員」(NHKのみ「団体職員」)であり、その権利と同時に組織の一員としての義務を負い、局の方針に反することはできない。一方、フリーアナウンサーは、雇用契約契約書の形式や内容が異なり、仕事内容が明記・限定された形で契約書に署名する(つまりその特定の仕事限定、端的に言えば、特定の番組限定で出演する契約を結ぶ)。仕事の契約は、事務所や知り合いの紹介、オーディションなどを通じ自ら競争を勝ち抜いて獲得する必要があるが、別の角度から言えば、嫌な仕事に関しては契約を結ばなければよいので「仕事の内容を選ぶことができる」とも言える。逆に言うと、仕事内容や契約相手の局は選べるかわりに、どの局からも相手にしてもらえず、全く仕事が無い状態になり無収入になってしまう可能性もある、とも言える。つまりテレビ局の側にも、多数のフリーアナウンサーの中から自局に都合のいい人を選ぶ自由があり、契約を結ばない自由がある。

フリーになる人の動機はさまざまである。そもそも最初からフリーアナウンサーとして活動している人々もかなりの数いる。別業種からの転職者もいる。局アナがその局の番組に出演して獲得した知名度を活用してフリーになる場合もある。「自分を試したい・仕事の幅を広げたい」という理由を挙げる人、つまり他局でフリーでならばもっと違う仕事で実力を発揮できるはず、と感じるからフリーを選ぶ者もいる。もっと違う理由で、たとえばテレビ局が報道らしい報道を行っておらず権力者におもねったような腐った報道をするばかりで、おまけにテレビ局のプロデューサーがスタッフやアナウンサーに対してセクハラを連発していて、そういう問題だらけのテレビ局にうんざりして、別の局で仕事をするためにフリーになる場合もある[1]

フリーになった後の報酬の額は、一種の「運」や、自身のアナウンサーとしての実力、自身の世渡り術、そして外部の諸要因という大きな要素群[注 1]など、さまざまな要因が影響する。


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