日本における漢字
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1942年には国語審議会が、各省庁および一般社会で使用する漢字の標準を示した合計2528字の「標準漢字表」を答申している[10]

GHQの占領下の1946年(昭和21年)、占領方針として漢字の廃止が政府決定され、廃止までの当面使用する漢字である1850字の当用漢字を定めた当用漢字表が告示された。1949年(昭和24年)に告示された当用漢字字体表によって俗字、略字、筆写体を多く採用した新字体が使われるようになった。ただし、新字体は俗字や略字の採用であり、体系的な字体の簡略化ではないとして、漢字の体系を破壊した、と批判されることがある。例えば、「竜(龍)」と「襲(襲)」と「滝(瀧)」、「仮(假)」と「暇(暇)」、「独(獨)」と「触(觸)」と「濁(濁)」などは、本来は同じ構成要素を持つにもかかわらず、字体の変更により別の構成要素に見えてしまうものである。また、1948年に当用漢字のうち義務教育で教える881字を選んだ当用漢字別表が告示された。これは教育漢字と呼ばれ、1958年、この881字について便宜上統一した筆順文部省から刊行された。1981年内閣告示常用漢字表(1945字)からは漢字表は漢字制限を目指すものではなく目安となった。さらに2010年改定の常用漢字表には2136字が定められている。そのうち教育漢字は1026字となった。詳細は「国語国字問題」を参照
漢字の研究

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日本で編纂された最古の漢字字典平安時代初期、空海が編纂したという『篆隷万象名義』であるといわれる。次に昌住によって『新撰字鏡』といった漢和辞典が編まれた。院政期には『類聚名義抄』が作られている。これらは漢字を字形によって分類した字書『玉篇』の影響を受けているという。室町時代には『倭玉篇』(和玉篇)という漢和辞典が編まれ、室町江戸時代を通じて流行し、「倭玉篇」が漢和辞典を指す代名詞であったという。

一方、『爾雅』の影響を受け、漢字を意味別に分類したものには、平安時代中期、源順によって編纂された『和名類聚抄』がある。また、漢字の字音を研究・分類した韻書として、南北朝時代の『聚分韻略』がある。

日本における漢字やその出典となる漢籍の研究は、儒学が盛んだった江戸時代から、さらに近現代にかけて拡大・深化した。戦前・戦後を通して編纂された『大漢和辞典』は、用例がほとんどない漢字を含めて5万字以上を収録する世界最大の漢字辞典である。

2018年(平成30年)3月には「日本漢字学会」(初代会長・阿辻哲次)が設立された[11]
筆順に関する誤解

筆画を並べていく順番を筆順という。漢字には本来、固定された筆順はない。筆順は楷書行書草書など書体や流派により異なっており、統一されたものではない。しかし1958年(昭和33年)、『筆順指導の手びき』が文部省から出されて以降、学校教育でこれを絶対的に正しいものとして教えている傾向がある[12]。また、現代日本では現在縦書きと横書きのうち、横書きが優勢である。しかし、『筆順指導の手びき』における筆順は縦書きに適したものである[13]
活字やフォントにおける漢字表記

中国の漢字は象形文字として、その成立の時代において既に卜占など呪術宗教的要素を含んでおり(甲骨文字)、その造型性が支えられていた。漢字は後に篆書隷書楷書行書草書などの書体を完成し日本にも伝わり、日本においてもそれぞれの書体を通じて美の追求と創造が試みられている。近現代では活字を基準としたフォントの創作が盛んである。

一方漢字学者の白川静は『文字逍遥』に「漢字の本質からいえば、あの活字として図形式されたものは、むしろ文字の符号であり、装飾体であって、文字そのものではないともいえるのである。文字を図形的に整形しようとする常用漢字における字形観は、明らかにそのような頽廃と堕落のうちから生まれたものである。」と記している[14]
関連項目

漢字廃止論

旧字体 - 新字体

当用漢字 -常用漢字 - 教育漢字 - 人名用漢字

表外漢字字体表印刷標準字体) - 表外漢字字体表の漢字一覧

同音の漢字による書きかえ

漢和辞典

万葉仮名

大字

漢字検定

今年の漢字

四字熟語 - 三字熟語

JIS漢字コード - 幽霊文字

理義字

脚注[脚注の使い方]
注釈^ いわゆる助動詞を含む。

出典^ 東京大学文学部講義、「中国音韻学の諸問題」、1948年。
^ 森浩一『日本神話の考古学』朝日新聞社、1999年。
^ 宝賀寿男「第一章 戦後の神武天皇」『「神武東征」の原像』青垣出版、2006年。
^ 平川南 「墨書土器とその字形 : 古代村落における文字の実相」『国立歴史民俗博物館研究報告』35巻 国立歴史民俗博物館、1991年11月、72頁。
^ 平川、1991年、124頁。
^ 宮脇淳子『朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏 韓流時代劇と朝鮮史の真実』扶桑社扶桑社新書〉、2020年4月30日、46頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4594084523。 
^ 『新明解国語辞典』三省堂「真名」より
^ Gunarto, Hary (2004-02). “Building dictionaries as basic tools for machine translation in natural language processing applications”. 立命館言語文化研究 (立命館大学国際言語文化研究所) 15 (03): 177-185. https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/article/100000146695 2020年4月4日閲覧。


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