日刊紙
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なかでもインドは経済成長によって新聞の販売数は増加傾向にあり、インターネットによって押されている他国の新聞業界とは対照をなしている[49]。インドの新聞業界の特徴としては公用語である英語の他に、各地方の言語での新聞出版が非常に盛んであることで、なかでも北部インドの主要言語であるヒンディー語での新聞発行は比率・部数とも増加している。ただし、英語新聞も割合こそ減少しているものの部数自体は増加している[50]

アメリカやヨーロッパでは新聞の収入の8割が広告からのものとなっており[51]、販売収入が主力となっている日本とは異なる収益構造を持っている。インターネットの普及を受けてアメリカやヨーロッパでは発行部数の漸減が続いており、なかでも減少傾向の激しいアメリカにおいては2009年に『ニューヨーク・タイムズ』が巨額の赤字を出し、本社社屋の売却などのリストラを進めている[52]ほか、2009年にはボストンの『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙が日刊紙の発行を取りやめオンライン専業へと移行する[52]など、新聞社の規模縮小や廃業が相次ぐようになっている。ヨーロッパにおいては無料紙が急伸し、2007年には欧州の日刊紙の総発行部数の23%を占めるまでになった[48]
日本の新聞詳細は「日本の新聞」を参照

日本では新聞購読率が高く、新聞販売店による新聞の戸別宅配制度が他国に類をみないほど発達している。またその文化的な役割が重要視され、再販制度によって価格の保護がなされたり、2019年からの消費税率10%引き上げに対し定期購読新聞に関しては軽減税率を適用し8%に据え置くなど、さまざまな保護政策が行われてきた[53]。こうしたことから日本の新聞発行部数は人口に比して非常に多く、率としても北欧諸国と並ぶ世界有数の高普及率を誇ってきた[54]。新聞社の収入に関しても、平均で販売収入が52.7%、広告収入が30.8%(2006年)となっており、広告収入より販売収入の方がやや主となっている[55]

また、日本の特徴として、クロスオーナーシップ制度による新聞社のテレビ・ラジオ局支配がある。首都圏を放送地域とする東京所在の在京テレビジョン放送局キー局とする5つの全国ニュースネットワークは、濃淡の差こそあれ、例外なく大手新聞社との協力関係を持ち、世論調査などでの合同取材を行っている。大都市圏以外で多く見られる、一つの県における地域新聞社として圧倒的な発行部数を持つ「県紙」もほぼ例外なく、当該県を放送エリアとするテレビ・ラジオ局を所有するほか[56]、自社以外の県域テレビ局にもニュースを配信することで影響力を維持している。これらの協力関係は株式所有を伴うことも多く、相対的に経営状況が厳しい新聞社にとってはテレビ局の収益に伴い発生する株式配当や含み資産の増大が経営を支えている。

しかし、2000年代のインターネット普及とインターネットメディアの発達により、若年層のみならず中高年層も含め(世界的な傾向として)新聞離れが進行している。総発行部は、1997年の5,377万部をピーク2023年には2,859万部に[57]、広告費も1990年の13,592億円から2021年の3,815億円に[58]減少していて、その経営環境は厳しさを増している。また、読者が新聞を読む時間も1995年から2010年にかけての調査では減少傾向にある[59]。各新聞社は記事のネット配信に力を入れつつあり、日本経済新聞の日経電子版のように一定の会員数を確保しているメディアも存在しているが、全体として成功しているとは言いがたい[60]。一部にフリーペーパーに注目する向きもあるが、収益のほとんどを広告収入に依存するフリーペーパーの経営は苦しいところが多く、21世紀になってから廃刊が相次いでおり、新聞に代わる主要メディアとしての地位を得ることは難しいと言われている。
オンライン新聞

インターネット黎明期の1993年にはすでに新聞社がホームページを開設してニュースを配信することが行われ始め、1995年には日本でもオンライン新聞の発行が開始された[61]。以後、世界の大新聞社のほとんどがウェブ上でのニュース配信を開始し、ニュースサイトのひとつとしてオンライン上の新聞は成長を遂げた。また、アメリカの報道大手により携帯型端末iPad専用の有料新聞も発刊されることになった[62]。一部の欧米の新聞社はオンライン新聞の普及に伴い、記事を公開するタイミングについて紙媒体よりもウェブ媒体を優先させるウェブ・ファーストと呼ばれる方針を打ち出し始めた[63]

オンライン新聞は無料のものも多いが、収入につなげるために新聞社が有料会員を募って記事を配信する有料化も進んできており、2015年には日本の全国紙5紙すべてで有料オンライン版の発行が開始された[64]

ウィキニュースもオンライン新聞のひとつとされる。大新聞社の発行するもののほかに、インターネット上の市民ジャーナリズムのひとつとしてオンライン新聞に期待する向きもあり、実際にJANJANなどいくつかのメディアが創刊されたものの利用が伸びず、2010年ごろには日本ではほとんどの市民メディアが閉鎖に追い込まれた[65]
発行部数の順位

以下のデータは、世界新聞協会の「World Press Trends 2019」に準拠した有料新聞各紙の発行部数の上位9紙である[66]

新聞国言語部数(1000部)
読売新聞 日本日本語8,115
朝日新聞 日本日本語5,604


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