日刊紙
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新聞社の編集局内には政治部社会部、文化部、経済部などさまざまな部署が存在し、それぞれ決められた分野の取材を行い記事を作成する[39]。こうした記者作成の自社記事のほかに、自社の取材の及ばない部分を中心に通信社から配信される記事を利用することも行われる[40]

出来上がった原稿はチェックと推敲を受けたのちに編集会議にかけられ、整理部によって紙面の編集やレイアウトがなされる。その後さらに校閲が行われ、校了するとデータが印刷工場に送られる[41]。印刷工場では輪転印刷機によって新聞紙に印字され[42]、印刷された新聞は工場から発送されて新聞販売店やスタンドへと送られる。日本の場合、販売店から新聞配達が行われ、各家庭へと新聞が届けられることがほとんどである[43]
新聞印刷

スピードが要求される新聞印刷では一般印刷業界に先駆けて新技術が導入されたが、多色印刷には制約となり一般印刷業界よりも導入が遅れた[28]

1868年に『タイムズ』紙が巻取紙方式の輪転印刷機を採用して以来、新聞の印刷は大量・高速印刷が可能な輪転印刷機によって行われている[28]。20世紀前半の新聞印刷では、活字組版から紙型を作り、鉛を鋳込んで鉛版を作り、凸版輪転機にかける方法が唯一の紙面制作方式だった[28]

新聞の製作・印刷過程は、20世紀後半以降技術革新によって大幅に機械化・効率化が進んだ[44]。1980年代初頭に感光性樹脂板が開発され、1980年代後半にはCTSが導入された[28]。日本では1970年代以降、コスト削減を目的として全国紙の新聞印刷工場の地方分散が進められた[45]。2000年代に入ると高コストの印刷工場の別会社化が急速に進められ、2006年には全国紙の印刷はすべて別会社となった。また同時に、全国紙の地方紙への委託印刷も盛んに行われるようになった[46]。記事を印字する新聞紙は、印刷と輸送の都合上、軽量かつ印刷時に途切れないほどの引っ張り強度が求められる[42]
世界の現況詳細は「世界の新聞」を参照「新聞一覧」および「Category:各国の新聞」も参照

新聞は世界中で発行されているものの、普及率は地域的に大きく差があり、アメリカやヨーロッパ諸国、日本といった先進諸国では普及率が高く、発展途上国ではあまり普及が進んでいなかった[47]。しかし、2000年ごろから経済成長の続くアジア、なかでもインド中国で新聞販売数が増加し、2007年には新聞の発行部数の1位が中国、2位がインドとなった[48]。なかでもインドは経済成長によって新聞の販売数は増加傾向にあり、インターネットによって押されている他国の新聞業界とは対照をなしている[49]。インドの新聞業界の特徴としては公用語である英語の他に、各地方の言語での新聞出版が非常に盛んであることで、なかでも北部インドの主要言語であるヒンディー語での新聞発行は比率・部数とも増加している。ただし、英語新聞も割合こそ減少しているものの部数自体は増加している[50]

アメリカやヨーロッパでは新聞の収入の8割が広告からのものとなっており[51]、販売収入が主力となっている日本とは異なる収益構造を持っている。インターネットの普及を受けてアメリカやヨーロッパでは発行部数の漸減が続いており、なかでも減少傾向の激しいアメリカにおいては2009年に『ニューヨーク・タイムズ』が巨額の赤字を出し、本社社屋の売却などのリストラを進めている[52]ほか、2009年にはボストンの『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙が日刊紙の発行を取りやめオンライン専業へと移行する[52]など、新聞社の規模縮小や廃業が相次ぐようになっている。ヨーロッパにおいては無料紙が急伸し、2007年には欧州の日刊紙の総発行部数の23%を占めるまでになった[48]
日本の新聞詳細は「日本の新聞」を参照

日本では新聞購読率が高く、新聞販売店による新聞の戸別宅配制度が他国に類をみないほど発達している。またその文化的な役割が重要視され、再販制度によって価格の保護がなされたり、2019年からの消費税率10%引き上げに対し定期購読新聞に関しては軽減税率を適用し8%に据え置くなど、さまざまな保護政策が行われてきた[53]。こうしたことから日本の新聞発行部数は人口に比して非常に多く、率としても北欧諸国と並ぶ世界有数の高普及率を誇ってきた[54]。新聞社の収入に関しても、平均で販売収入が52.7%、広告収入が30.8%(2006年)となっており、広告収入より販売収入の方がやや主となっている[55]

また、日本の特徴として、クロスオーナーシップ制度による新聞社のテレビ・ラジオ局支配がある。首都圏を放送地域とする東京所在の在京テレビジョン放送局キー局とする5つの全国ニュースネットワークは、濃淡の差こそあれ、例外なく大手新聞社との協力関係を持ち、世論調査などでの合同取材を行っている。大都市圏以外で多く見られる、一つの県における地域新聞社として圧倒的な発行部数を持つ「県紙」もほぼ例外なく、当該県を放送エリアとするテレビ・ラジオ局を所有するほか[56]、自社以外の県域テレビ局にもニュースを配信することで影響力を維持している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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