つまり現代の新聞の出現は産業革命以降のヨーロッパからであり、産業を支えるうえで大きな存在となった。これはのちにマスマーケティングの手法の一環としても用いられるようになり、企業の広告活動にも一役買うようになった。
日本には江戸時代には瓦版が存在し、大事件などの際に木版で摺られ発行されていた。現存する最古の瓦版は大坂の陣(1614年 - 1615年)を記事にしたものである。幕末になると新聞と名付けられたものがいくつか発行されるようになり、1862年に最初の新聞『官板バタビヤ新聞』、1870年には日本初の日刊紙である『横浜毎日新聞』が創刊された[34]。「日本の新聞」も参照
以後、新聞は世界各地に普及し重要なマスメディアのひとつとなってきたが、1990年代後半のインターネットの登場にともなって先進諸国では部数減が進行し、大きな質的転換を迫られることとなった。 「新聞」という言葉は古来の日本語にはない。この語の初出は、北宋時代に編纂された唐王朝の歴史書『新唐書』だとされている。『新唐書』の「芸文志」には唐代に書かれた書物の一覧があるが、その中に「尉遅枢に、『南楚新聞』三卷あり」とある。ここでいう「新聞」とは今の日本語でいう「風聞」つまり「news」という意味であった。この定義での「新聞」は、清代にも書かれていた。例えば、乾隆帝が編纂させた『四庫全書総目提要』では、清の魏裔介の「資麈新聞」という書物を紹介している。これは現在の週刊誌のように雑説をいろいろな本から寄せ集めたもので、怪奇現象や陰陽道の話、李自成の乱や琉球王国の話などが書かれているが、虚偽の内容、現代でいういわゆる飛ばし記事が多く、『四庫全書総目提要』の編者は「編集方針がメチャクチャで間違いが百出している」と批判している。 清朝末期に欧米人が中国で「newspaper」を発刊し、現地の中国人たちもこれを真似て新聞を発刊した際、古来の「新聞」という言葉を当てて「新聞紙」と呼んだ。中国語では、21世紀現在も「新聞」をnewsの意味で使い[35]、テレビのニュース番組などのタイトルにも使用される。なお、中国語におけるnewspaperは「報紙」である。一方、朝鮮語では「新聞」のハングル表記である「??」が「newspaper」を意味する。 日本語には明治時代に英語の「news」に相当する訳語として、この中国語が取り入れられ、「news」を「新聞」、「newspaper」を「新聞紙」と呼ぶようになった。夏目漱石の小説の中でもnewspaperは新聞紙であり、昭和初期に書かれたものの中にも、newspaperを新聞紙と呼んでいるものがある。新聞紙条例、新聞紙法などの「新聞紙」は「newspaper」の意味である。 その後「新聞紙」を「新聞」と略すようになった。それに伴い「新聞紙」を「newspaper」の意味で使うことは減り、紙自体を指すようになった[35]。一方、「日刊紙」「全国紙」「各紙」など、「新聞」の意味で「紙」という漢字が使われることもある。 現代英語では「newspaper」を「paper」と略すことがある(「today's paper」=「今日の新聞」など)。 新聞社の社名や紙名には公民の権利を守るという意味合いから、古代ローマの公職である護民官に由来する「トリビューン」(『シカゴ・トリビューン』など)[36]、帝国郵便(神聖ローマ帝国)が自前の新聞を発行していたことに由来する「ポスト」(『ワシントン・ポスト』など)[37]、社会を映す鏡という意味で「ミラー」(『デイリー・ミラー』など)といった言葉が選ばれている[38]。 新聞の制作過程は、おおむね下記のようになっている。 新聞の製作は、まず記者が取材を行い記事を書くところから始まる。その日に起こった事件を速報しニュースとする場合は直接取材・撮影を行うが、特集記事や調査報道などの場合はまず企画を立て、それに基づいて調査や取材を行う。政府や企業からはプレスリリースや記者会見が行われ新聞に情報が提供されるが、このほかに独自の取材も行われる。新聞社の編集局内には政治部、社会部、文化部、経済部などさまざまな部署が存在し、それぞれ決められた分野の取材を行い記事を作成する[39]。こうした記者作成の自社記事のほかに、自社の取材の及ばない部分を中心に通信社から配信される記事を利用することも行われる[40]。
語源
制作過程輪転印刷機による印刷の様子
企画・構想
取材・撮影
記事執筆
原稿チェック
校閲 - レイアウト後の場合がある。
レイアウト - 見出し制作・価値判断も行われる。
編集・割付・組版
校正
フィルム・刷版制作
印刷
梱包・発送