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18世紀後半以降、近代期では登山による未踏峰への挑戦が活発となり(「登山」の歴史参照)、「到達旗」が立てられるようになる[10]1911年にはノルウェーの探検隊が南極点に到達し、旗を立てる(「アムンセンの南極点遠征」の頁の写真参照)。21世紀に入り、到達旗は海底に立てられる例も出ており、2007年8月2日にはロシア北極点真下の海底に国旗を立てた(フランス通信社が8月3日に報じる)。2010年7月には東シナ海において中国が潜水艇蛟竜を用いて海底に国旗を立てている。

1969年7月24日、米国アポロ11号が有人月面着陸を達成し、同国の国旗を立て、「地球外の衛星に立てた旗」としては世界初となる(詳細は「アポロ11号」の「月面での活動」を参照)。
旗の機能国際連合に集う加盟国の国旗チベット仏教で使われるタルチョーも旗の一種である。日本の神社などの宗教施設でよく見られる大漁旗早稲田大学の応援旗

旗の機能として、以下のものがあげられる。

遠距離からでも視認できるようにするため

情報の伝達手段

実績を表彰する、あるいは順位を表す(優勝旗、準優勝旗、等旗、等級旗)

所有者が所属する集団の識別

集団のアイデンティティの拠りどころ(部隊旗など)

慶弔の意の表明

目印

装飾

象徴

白川静によると漢字の「族」は旗と矢の意味で、旗には祖先の霊が宿るとされた[1]。また、白川によると、人々が守護霊が宿る軍旗を奉じて行動することから旅団の「旅」の字が生まれたという[1]

四国八十八箇所の巡礼の先達のもつ旗には弘法大師の霊力が宿るとされ、病人を治癒させる霊力をもっているとされた[1]

似た記述として、軍記物『小田原北条紀』巻3には、軍神軍旗の上に宿るとする記述が見られる。
通信

彩色された旗は視認性に優れており、いったん掲揚すれば継続的に発信され続けることから通信に利用されてきた[11]

日本では江戸時代から明治時代にかけてに大坂 - 大津間で積極的に旗振り通信が行われた[12]。中間地の京都では大坂と大津の米価を比較した米の買い入れが行われ、やがて大津では大坂の米価の情報を早く掴んだ米商が利益を上げるようになった[12]幕府は何度も旗や幟による通信の禁令を出したが、その理由には諸説あり、手品まがいの手法での伝達手段を取り締まったものともいわれている[12]

遠距離通信にも旗は利用されていたが、やがて他の通信手段にとって代わられた。江戸時代に大坂 - 大津間で行われていた旗振り通信でも鳩(伝書鳩)が用いられるようになったことがわかっている[12]
旗の形式

掲揚旗掲揚台やポールなどに取り付けて用いる大型の旗。

卓上旗机上に置いて用いる小型の旗。

手旗手で持って用いる旗。

車旗自動車のボンネットなどに取り付ける旗。

バナー

ペナント



連続旗万国旗のようにロープに多数の旗を連続して結び付けたもの。三角旗や半円旗の連続旗もある。

ゲートフラッグ布の両端にポールが設置された、両手で頭上に掲げる形の旗。

旗の掲揚

大漁旗白旗のように掲げる旗の図案に意味がある場合と、半旗のように掲げる旗の位置に意味がある場合がある。
旗への装着品

以下、旗と組み合わせて用いる装着品について述べる。

竿頭綬 - 主に消防などの分野では消防隊や消防団の部隊が功績や実績を挙げた場合、上位組織はその部隊に対して竿頭綬を授与する。竿頭綬は部隊の旗の上部(竿頭)に付けるもので、その部隊の実績を明らかにする。

ペナント - 竿頭に取り付ける細長い旗。優勝旗の歴代優勝者(優勝団体)の銘を記したものが馴染み深い。

喪章(弔旗) - 半旗と同様に弔意を表す。黒布で竿頭(普通は慶事の際に揚げるので金色の玉が付いていることが多い)や旗そのものを覆うか、黒布のリボン(ペナント)を旗の上部に付ける。構造上の問題で半旗に出来ない旗に用いられる。

その他の付属品

旗棒(
ポール) - 旗を掲揚するための棒。後述の旗索と滑車が付いているものが多い。

旗竿 - 旗を掲揚するための棒のなかで細めのもの、または人が手に持って掲げるもの。旗棒の中で、恒久設置されないものがこのように呼ばれることが多い。 旗棒のように旗索と滑車を持たず、旗を結ぶための輪(環)がついている。

旗頭(竿頭) - 旗棒の先端に付ける飾り部品。球状、剣状、)状のものがあり、剣状や槍状のものは軍事組織において長槍に旗を着けて掲げたことを模したものである。

旗索 - 旗棒に旗を掲げる際に用いるロープ、もしくはワイヤ。旗棒についている滑車に旗索を通してこれに旗を結び、索を引き上げる事によって結んだ旗を掲揚する。

石突(いしづき) - 旗竿の下端(後端)に取り付けられている金具。装飾用途の他に、竿を地面に立てた際に安定させ、竿の破損を防ぐ。

スタンド(三脚台、五脚台) - 旗竿を地上に設置した際に用いる。

帯革バンド - 旗を持っての行進時や応援団が応援する時に使う。これを用いて旗手と旗竿を結ぶことにより、重い旗竿を安定して持つことができる。

出典^ a b c d e f g 井本英一「三角表象の話」『オリエント』第35巻第1号、日本オリエント学会、1992年、83-96頁、doi:10.5356/jorient.35.83、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0030-5219、NAID 130000831629、2021年6月1日閲覧。 
^ 『新訂総合国語便覧』(第一学習社、27版1998年)p.323.
^ 関雄二『寺社が語る 秦氏の正体』(祥伝社新書、2018年)pp.125-126.
^ この時期、日本では直刀が両手打ちから片手打ちのものに移行し、騎兵戦が意識されていたことがわかっている(詳細は「直刀#直刀の歴史(日本)」の柄の長さの変化を参照)。
^ 『上泉信綱伝新陰流軍学「訓閲集」』(スキージャーナル株式会社、2008年)pp.102-103.
^ 磯田道史『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』(中公新書、2017年)pp.20-21.
^ 磯田道史『日本史の探偵手帳』(文春文庫、2019年)p.136.
^ 『大ナポレオン展 文化の光彩と精神の遺産』(2005年)p.92.


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