施行
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公布日より施行する(すなわち即日施行の)場合、公布がなされた日の午前0時からではなく、公布と同時に(すなわち公布がなされた時点において)施行されるものと解されている(判決昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁)[2]

また、施行日に関しては次のような場合もある。

条項別に異なる施行期日を設定する場合がある。(例:この法律は、○○○から施行する。ただし、第○○○条の規定は、○○○から施行する。)施行日を制令で委任する場合、特に条項別に施行日を定めることを委任することもある。(例:この法律の施行期日は、各規定につき政令で定める)

施行は公布を前提としているので、施行日を過去(つまり公布日よりも前の日)に設定することは本来認められない。ただし、国税通則法(昭和37年法律第66号)は、その附則1条で施行期日を昭和37年4月1日とされたものの、公布日である官報掲載日が昭和37年4月2日になったため、公布よりも前に施行という変則的な事態となった。なお、国民その他その法令の対象者にとって不利益にならない規定(金銭を過去にさかのぼって支給する等)に限り、公布日より前の事象にその法令を遡及適用することが認められているが、これは法の適用範囲の問題であり、施行日の問題ではない。不利益となる場合(公布前の犯罪に改正後の重罰を適用する、税金を過去にさかのぼって増税する等)の遡及適用は認められない。(例:この法律は、平成十八年十月一日から施行し、第○章の規定は、同年四月一日から適用する。)

施行前の廃止・改正

法令は、その制定後は、施行前であっても改廃が可能である。したがって、ある法令の公布日から施行日までの間に、社会情勢の変化や他の改正による影響などで、その法令が施行されないまま他の法令により改正され、または廃止されることがある。
施行に関する法令
公文式1886年(明治19年)2月26日 - 1907年(明治40年)1月31日)は、法令全般の施行方法を規定した勅令である。「第二 布告」の章で第10條に「官報各府縣廳到達日數ノ後七日以テ施行ノ期限トナス」と記されている。この頃はまだ全国一律に施行されていたわけではなく、官報が府県の諸官庁に到達してから7日後となっている。また天災により官報到達日数内に官報が到達しなかった場合、及び北海道や沖縄、島部については官報が到達した翌日より起算するとされている。

公式令1907年(明治40年)2月1日 - 1947年(昭和22年)5月2日)は、皇室令、勅令、閣令および省令の施行方法を規定した勅令である。第11条に「公布ノ日ヨリ起算シ滿二十日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるとおり、公布の日から起算して満20日を経過した日を施行日としている。(例:公布日が4月1日であれば施行日は4月21日)

軍令ニ関スル件(1907年(明治40年)9月12日 - 1946年(昭和21年)4月1日)は、軍令の施行方法を規定した軍令である。第4条に「軍令ハ別段ノ施行時期ヲ定ムルモノノ外直ニ之ヲ施行ス」とあるとおり、施行期日を定めている場合を除いて即日施行するよう規定されている。

法例1898年(明治31年)7月16日 - 2005年(平成17年)12月31日)は、法律の施行方法を制定した法律である。第1条に「法律ハ公布ノ日ヨリ起算シ滿二十日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるとおり、公布日から起算して満20日を経過した日を施行日と規定している。(具体例は上の公式令と同じ。)

台湾総督府行政司法ニ関スル命令公布式1896年(明治29年)7月6日 - 1898年(明治31年)5月1日、明治29年台湾総督府令第18号)は、台湾総督が発する命令(律令台湾総督府令)の施行方法を規定した台湾総督府令である。台湾総督の発する行政及び司法に関する命令は、当分の間、台湾新報に掲載することをもって公布式とする旨が規定されている。台湾総督府行政司法ニ関スル命令公布式は、明治30年台湾総督府令第34号(同年7月13日公布)によって改正され、台湾日報も追加された。台湾総督府行政司法ニ関スル命令公布式は、台湾総督ノ発スル行政司法ニ関スル命令公布式の制定によって廃止された。

台湾総督ノ発スル行政司法ニ関スル命令公布式(1898年(明治31年)5月1日 - 実効性喪失、明治31年台湾総督府令第21号、同年5月1日公布)は、台湾総督が発する命令の施行方法を規定した台湾総督府令である。台湾総督が発する行政及び司法に関する命令は、台湾総督府報として台湾日日新報に掲載させることをもって公布式とする旨が規定されている。

台湾総督ノ命令公布式1900年(明治33年)10月1日 - 1901年(明治34年)11月30日、明治33年台湾総督府令第70号、同年9月14日公布)は、台湾総督が発する命令の施行方法を規定した台湾総督府令である。台湾総督が発する命令は、台湾総督府報に掲載することをもって公布式とする旨が規定されている。台湾総督ノ命令公布式は、台湾総督ノ発スル命令公布式の制定によって廃止された。

台湾総督ノ発スル命令公布式(1901年(明治34年)12月1日 - 1933年(昭和8年)1月12日、明治34年台湾総督府令第103号、同年11月20日公布)は、台湾総督が発する命令の施行方法を規定した台湾総督府令である。台湾総督が発する命令は、台湾日日新報附録府報に掲載することをもって公布式とする旨が規定されている。台湾総督ノ発スル命令公布式は、台湾総督命令公布式によって廃止された。

台湾総督命令公布式(1933年(昭和8年)1月12日 - 実効性喪失、昭和8年台湾総督府令第2号、同年1月12日公布)は、台湾総督が発する命令の施行方法を規定した台湾総督府令である。台湾総督府令であって、台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律(大正10年法律第3号)2条の規定によるものは律令、その他は府令であることの区別が設けられ、いずれも台湾日日新報附録府報をもって公布する旨が規定されている。台湾総督命令公布式は、昭和17年台湾総督府令第44号(同年3月19日公布)によって改正され、台湾総督が発する命令は、台湾総督府官報をもって公布することが規定された(同年4月1日施行)。

庁令公布式(1904年(明治37年)10月15日 - 1933年(昭和8年)1月12日、明治37年台湾総督府令第70号、同年9月28日公布)は、台湾の庁令の施行方法を規定した台湾総督府令である。第3条に「公布ノ日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、公布日から起算して満7日を経過した日を施行日と規定している。

台湾総督府地方官庁命令公布式(1933年(昭和8年)1月12日 - 実効性喪失、昭和8年台湾総督府令第3号、同年1月12日公布)は、台湾の州令及び庁令の施行方法を規定した台湾総督府令である。第3条に「公布ノ日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、庁令公布式と同様の方法により施行される。

統監府令公文式1906年(明治39年)1月19日 - 実効性喪失)は、統監府令の施行方法を規定した統監府令である。第3条に「統監府令ハ其ノ各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス但シ其府令中ニ之ト異リタル施行時期ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラス」とあるように、第2条で規定された公報[注 3]が諸官庁に到達した翌日から起算して満7日を経過した日に施行されるよう規定されている。(例:官庁到達日が4月1日であれば施行日は4月9日)

朝鮮総督ノ発スル制令ノ公布式1910年(明治43年)8月29日 - 実効性喪失)は、制令の施行方法を規定した統監府令である。第3条に「其ノ各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、朝鮮総督府官報が諸官庁に到達した翌日から起算して満7日を経過した日に施行されるよう規定されている。(具体例は統監府令に同じ。)

朝鮮総督府令公文式1910年(明治43年)10月1日 - 実効性喪失)は、朝鮮総督府令の施行を規定した朝鮮総督府令である。第3条に「其ノ各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、制令と同様の方法により施行される。

関東都督府公布式(1906年(明治39年)9月1日 - 1919年(大正8年)4月30日)は、関東都督府令の施行を規定した関東都督府令である。第3条に「各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、制令と同様の方法により施行される。当初は、遼東新報によって公布されることとなっていたが、関東都督府公布式中改正(明治40年関東都督府令第62号)によって、満洲日日新聞による公布に改められた(同年11月3日施行)。関東都督府公布式は、関東庁令公布式の制定によって廃止された。

関東庁令公布式(1919年(大正8年)5月1日 - 1934年(昭和9年)12月26日)は、関東庁令の施行を規定した関東庁令である。第3条に「各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、関東都督府令と同様の方法により施行される。関東庁令公布式は、関東局令公布式の制定によって廃止された。

民政署令公布式(1919年(大正8年)5月1日 - 1934年(昭和9年)12月26日)は、民政署令の施行を規定した関東庁令である。第3条に「各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、関東庁令と同様の方法により施行される。民政署令公布式は、関東州庁令公布式の制定によって廃止された。

関東局令公布式(1934年(昭和9年)12月26日 - 実効性喪失)は、関東局令の施行を規定した関東局令である。第3条に「各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、関東庁令と同様の方法により施行される。

関東州庁令公布式(1934年(昭和9年)12月26日 - 実効性喪失)は、関東州庁令の施行を規定した関東州庁令である。第3条に「各官廳ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、関東局令と同様の方法により施行される。

南洋庁令公布式(1922年(大正11年)4月1日 - 実効性喪失、大正11年南洋庁令第2号、同年4月1日公布)は、南洋庁令の施行を規定した南洋庁令である。第3条に「其ノ支庁ニ到達シタル翌日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、南洋庁令公報が支庁に到達した翌日から起算して満7日を経過した日に施行されるよう規定されている。

南洋庁支庁令公布式(1922年(大正11年)4月1日 - 実効性喪失、大正11年南洋庁令第3号、同年4月1日公布)は、南洋庁支庁が発する命令の施行を規定した南洋庁令である。第3条に「公布ノ日ヨリ起算シ滿七日ヲ經テ之ヲ施行ス」とあるように、公布日から起算して満7日を経過した日を施行日と規定している。

在満洲国大使館令公布式(1937年(昭和12年)12月1日 - 実効性喪失、昭和12年在満洲国大使館令第1号、同年12月1日公布)は、在満洲国大使館令の施行を規定した在満洲国大使館令である。


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