新聞記者
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内部的自由とは1960年代のドイツで生じた、新聞発行者に対する編集スタッフの権利に関する概念である[2]。記者は報道機関の活動を遂行するために雇用された従業員であり、その指揮命令に従うことが求められる。一方、記者は表現活動に従事するため、社の編集方針と個人の思想や良心との軋轢という問題を抱えることがある。また、質の高い報道活動を行うためには、記者の専門的な職能が活かせるように自由な活動を認める必要もある。このように、一般企業の従業員とは異なり、報道機関では編集が全てを決定し記者が忠実に遂行するという構造はジャーナリズムの本質から言えば妥当では無く、個々の記者の自由を尊重すべきと考えられた[2]

伝統的に党派色の強いヨーロッパの報道機関では、編集綱領で記者の内部的自由が明文化されている場合がある[2]。また、フランスの労働法典にはジャーナリストの良心を保護する良心条項という規定がある[2]。良心条項では、買収などによって所有者が変更した場合や、報道機関の編集方針に大きな変化が生じた場合に、記者の政治的信条や良心との齟齬を理由に離職すると、整理解雇と同様の手当てを受けられる権利があるとされている。
日本における問題点

企業内ジャーナリストとしての「記者」の特有の問題点で一般的に指摘されるのは次の通りである。

学閥が形成されやすい。ほとんどのマスコミ企業は大学の新卒者からしか記者を採用せず[3]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}大手マスコミ企業に東京大学早稲田大学慶應義塾大学の出身者が多い。もっとも、新聞に関しては、東京大学を始め、旧帝大、一橋大学などのエリート層が離れつつあり、私立大学出身者の割合が増えている。[要出典]伝統的に政治部記者は、東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の3校出身者が多くを占めていて、高級官僚政治家の出身校も似た傾向のため、政治部報道はごく一部のそうしたエリート層の論理で作られ、報じられているのではないかと指摘している者もいる[3]アメリカも学歴偏重社会だが、さまざまな経歴を持った者を記者に採用する[3]

明治時代ような「羽織ゴロ」(明治の草創期の新聞記者などを形容する言葉。立派な身なりをしたゴロツキ)や、昭和時代のような今からすれば不健全なタバコ中毒者だらけの業界人と違い、一流大学を出たエリートは虚弱で、マスコミ幹部は一緒に寿司を食べるだけで支配できるとまでいわれる[4]

人材の流動性のなさも問題である。マスコミ各社が終身雇用を前提としており、中途採用などもめったに行わないことから、社を超えての「記者」が育たず、記者が特権意識を持ったまま成長しないことがある。これはテレビ局にも当てはまる。記者のサラリーマン化の問題がある。記者は報道機関に就職し活動する。当然ではあるが、彼らは広義で考えれば、サラリーマンと変わらない「会社員」となるわけである。すると、そこには一般企業と変わらない「業績至上主義」や「出世争い」といった現象が起きても不思議ではなく、そこから、記者たちは報道の本来の目的・使命を忘れ、個人企業の業績向上だけを目的として行動するようになる。つまり、記者倫理を大きく逸脱する取材行為を行うことがある危険性をはらんでおり、実際、そういった指摘があてはまる不祥事がある。[要出典]

記者の養成システムに問題がある。日本のマスメディアの人権意識の低さ、ジャーナリズム意識の低さの原因ではないかという指摘もある。記者クラブに入ることのできる特権的なマスコミの新人記者は、少なからず警察担当、いわゆる「サツ回り」になる。警察官と親しくなって警察側からの情報を得ることが仕事になり、権力チェックの意識が薄れていくのである。警察発表をそのまま正しいことであるかのように流し、一般の市民の人権を無視して報道する反面、警察内部の犯罪や不祥事を知りながら報道しない傾向がある。記者クラブのマスコミが知りながら報道しないことは警察以外の公的権力者(政治家官僚など)の犯罪や不祥事に対しても同様の傾向がある。警察記者クラブに多数の記者を常駐させることが日本報道犯罪中心になっているのではないかとブログで指摘する者もいる[要出典][5]

元・毎日放送記者の鎌田正明は、テレビ局の記者は専門職ではなく、昨日まで営業や経理といったまったく畑違いの仕事をしていた局員が記者にされることがあり(その逆もある)、生涯報道畑で修練をかさねる職人肌の新聞記者などにくらべると、経験の蓄積や対人能力の鍛錬、モチベーションにどうしても差がでてくるので、取材のプロではないにわか記者が取材にいくと、大事故の現場での大騒ぎや、悲惨な事件被害者家族への無神経なインタビューといった問題をおこすことが多いと指摘している[6]
脚注[脚注の使い方]^ “中国、記者に「習近平思想」試験 不合格なら取材NG”. 朝日新聞 (2019年10月23日). 2020年10月29日閲覧。
^ a b c d 曽我部真裕 鈴木秀美 ・山田健太(編)「編集権と内部的自由」『よくわかるメディア法』 ミネルヴァ書房 <やわらかアカデミズム<わかる>シリーズ> 2011年(平成23年)、ISBN 9784623058501 pp.70 - 71.
^ a b c 上杉隆『ジャーナリズム崩壊』(初版)幻冬舎幻冬舎新書〉(原著2008年12月7日)、pp. 164 - 167頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784344980884。 
^ 外山恒一&藤村修の時事放談2019.12.12「進次郎を総理にしてサミットから追放されよう!」(その8)|外山恒一|note
^ 池田信夫 (2008年11月23日). “ ⇒警察ネタの過剰”. 池田信夫 blog. 2008年12月7日閲覧。[リンク切れ]
^ 鎌田正明「忘れられた「公共」の電波 テレビよ、誇りはあるか(第1回)「番組宣伝」ばかり見せられる視聴者」『週刊現代』第51巻第35号、講談社、2009年9月、p. 153、2009年12月16日閲覧。 

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