清朝末期に欧米人が中国で「newspaper」を発刊し、現地の中国人たちもこれを真似て新聞を発刊した際、古来の「新聞」という言葉を当てて「新聞紙」と呼んだ。中国語では、21世紀現在も「新聞」をnewsの意味で使い[35]、テレビのニュース番組などのタイトルにも使用される。なお、中国語におけるnewspaperは「報紙」である。一方、朝鮮語では「新聞」のハングル表記である「??」が「newspaper」を意味する。
日本語には明治時代に英語の「news」に相当する訳語として、この中国語が取り入れられ、「news」を「新聞」、「newspaper」を「新聞紙」と呼ぶようになった。夏目漱石の小説の中でもnewspaperは新聞紙であり、昭和初期に書かれたものの中にも、newspaperを新聞紙と呼んでいるものがある。新聞紙条例、新聞紙法などの「新聞紙」は「newspaper」の意味である。
その後「新聞紙」を「新聞」と略すようになった。それに伴い「新聞紙」を「newspaper」の意味で使うことは減り、紙自体を指すようになった[35]。一方、「日刊紙」「全国紙」「各紙」など、「新聞」の意味で「紙」という漢字が使われることもある。
現代英語では「newspaper」を「paper」と略すことがある(「today's paper」=「今日の新聞」など)。
新聞社の社名や紙名には公民の権利を守るという意味合いから、古代ローマの公職である護民官に由来する「トリビューン」(『シカゴ・トリビューン』など)[36]、帝国郵便(神聖ローマ帝国)が自前の新聞を発行していたことに由来する「ポスト」(『ワシントン・ポスト』など)[37]、社会を映す鏡という意味で「ミラー」(『デイリー・ミラー』など)といった言葉が選ばれている[38]。
制作過程輪転印刷機による印刷の様子
新聞の制作過程は、おおむね下記のようになっている。
企画・構想
取材・撮影
記事執筆
原稿チェック
校閲 - レイアウト後の場合がある。
レイアウト - 見出し制作・価値判断も行われる。
編集・割付・組版
校正
フィルム・刷版制作
印刷
梱包・発送
新聞の製作は、まず記者が取材を行い記事を書くところから始まる。その日に起こった事件を速報しニュースとする場合は直接取材・撮影を行うが、特集記事や調査報道などの場合はまず企画を立て、それに基づいて調査や取材を行う。政府や企業からはプレスリリースや記者会見が行われ新聞に情報が提供されるが、このほかに独自の取材も行われる。新聞社の編集局内には政治部、社会部、文化部、経済部などさまざまな部署が存在し、それぞれ決められた分野の取材を行い記事を作成する[39]。こうした記者作成の自社記事のほかに、自社の取材の及ばない部分を中心に通信社から配信される記事を利用することも行われる[40]。
出来上がった原稿はチェックと推敲を受けたのちに編集会議にかけられ、整理部によって紙面の編集やレイアウトがなされる。その後さらに校閲が行われ、校了するとデータが印刷工場に送られる[41]。印刷工場では輪転印刷機によって新聞紙に印字され[42]、印刷された新聞は工場から発送されて新聞販売店やスタンドへと送られる。日本の場合、販売店から新聞配達が行われ、各家庭へと新聞が届けられることがほとんどである[43]。 スピードが要求される新聞印刷では一般印刷業界に先駆けて新技術が導入されたが、多色印刷には制約となり一般印刷業界よりも導入が遅れた[28]。 1868年に『タイムズ』紙が巻取紙方式の輪転印刷機を採用して以来、新聞の印刷は大量・高速印刷が可能な輪転印刷機によって行われている[28]。20世紀前半の新聞印刷では、活字組版から紙型を作り、鉛を鋳込んで鉛版を作り、凸版輪転機にかける方法が唯一の紙面制作方式だった[28]。 新聞の製作・印刷過程は、20世紀後半以降技術革新によって大幅に機械化・効率化が進んだ[44]。1980年代初頭に感光性樹脂板が開発され、1980年代後半にはCTSが導入された[28]。日本では1970年代以降、コスト削減を目的として全国紙の新聞印刷工場の地方分散が進められた[45]。2000年代に入ると高コストの印刷工場の別会社化が急速に進められ、2006年には全国紙の印刷はすべて別会社となった。また同時に、全国紙の地方紙への委託印刷も盛んに行われるようになった[46]。記事を印字する新聞紙は、印刷と輸送の都合上、軽量かつ印刷時に途切れないほどの引っ張り強度が求められる[42]。
新聞印刷
世界の現況詳細は「世界の新聞」を参照「新聞一覧」および「Category:各国の新聞」も参照