新生代
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インドから東へ向かったグループは中国を経由してシベリアには約2.5-3.5万年前に到達、更に氷河に覆われたベーリング海峡を渡って約1万2千年前には北アメリカに到達した[31]

集団で効率的に狩りをするホモ・サピエンスは地上で最強の狩猟者であり[32]、多くの動物を狩猟の対象とした。多くの大型動物が約1万年前に絶滅したが、丁度氷期から間氷期に移行する時期に相当し、気温の変化により植生が変わって食物等がなくなって絶滅した種もあるが、人類によって滅ぼされた種もあると見られている。最近数百年間でもドードーステラーカイギュウなどのように人類によって短期間に狩りつくされた種がある。

第四紀の哺乳類全体の傾向として、新第三紀に比べて種や個体数が減少したことがあげられる。長鼻目は一時オーストラリアを除く全世界に分布したが現在はインドとアフリカに2種を残すのみ、奇蹄類のサイも現生種は5種、同じく奇蹄類のウマ類も種数を大幅に減らした[33]

南アフリカで見つかった「ミセスPles」と名づけられたアウストラロピテクスの頭骨。

人類の派生種パラントロプス、アウストラロピテクスと同時代で、体格はやや大きく頑丈な顎を有していたが、次世代に子孫を残せなかった。

ホモ・エレクトスの頭骨、発見時はジャワ原人(ピテカントロプス)とも呼ばれていた。

ネアンデルタール人の頭骨。

現生人類ヒトの頭骨

マンモスの復元模型、マンモスを初めとする多くの大型哺乳類が約1万年前に絶滅した。

ニュージーランドに住んでいた巨鳥モア 体長3m以上に達したが、移住してきたマオリ族によって滅ぼされた。

第四紀の区分定義決定までの議論

長い間、第四紀の定義は確定しておらず、議論の的となっていた。国際地質科学連合(IUGS)による改訂作業が進行する中、地質科学関連学協会連合(日本地質学会など日本における関連学会の連合体)では、1989年に発表された次のものを、正式のものとして当面これを使用すべしとしていた[34][35]

代紀世非公式用語
新生代第四紀完新世 
更新世
新第三紀鮮新世第三紀
中新世
古第三紀漸新世
始新世
暁新世

第四紀の範囲の問題

その一方で、第四紀の専門家の間では、当時、鮮新世の最後期とされていたジェラシアンを第四紀に含め、第四紀の始まりを258万年前のピアセンジアン・ジェラシアン(Piacenzian-Gelassian)境界とするのが一般的となっていた。氷河時代がこのころ始まっているなど、第四紀を特徴付ける気候変動が起こっているからである。

第四紀の専門家以外(特に第三紀の専門家)は、公式の区分どおり、ジェラシアンを第三紀に含めることが多い。この不一致を解消するため、時代区分の改訂作業が進められた。
2004年の提案

2004年、IUGSは新しい改訂作業を開始し、第四紀を廃止し、新生代を新第三紀・古第三紀の2つの紀に分けた時代区分を発表した。ただしこの区分は、同年の万国地質学会(IGC)では批准されなかった。

新しい新第三紀は、第四紀に含まれていた時代を含む。そのため、新第三紀という訳語はまぎらわしく、新第三紀・古第三紀の新しい訳語を作るべきだという意見も多いが、定訳はまだ無い。カタカナでネオジン、パレオジンと書かれることもある。

代紀世以前の紀(参考)
新生代新第三紀完新世第四紀
更新世
鮮新世新第三紀
中新世
古第三紀漸新世古第三紀
始新世
暁新世

2005年の提案

2004年の改定案に対して、国際第四紀学連合(INQUA)などから反対が起こったため、IUGSの下部組織である国際層序委員会(ICS)の第四紀層序小委員会(ICS-SQS)とINQUAからなる合同チームで調整が図られ、2005年に新しい提案がなされた。[36]

新生代を新第三紀・古第三紀に分けることはIUGSの提案と同じである。しかし、第三紀・第四紀は新生代を(新第三紀・古第三紀とは別の境界で)2つに区分する亜代とされた。新しい第三紀と第四紀の境界は、従来の新第三紀と第四紀の境界だった181万年前の鮮新世・更新世境界から、258万年前の鮮新世ピアセンツィアン・ジェラシアン境界に移動させられた。これは、第四紀の研究者の間では258万年前を第四紀の始まりとすることが多いことを反映させたものである。

代亜代紀世期(一部)以前の紀(参考)
新生代第四紀新第三紀完新世略第四紀
更新世略
鮮新世ジェラシアン新第三紀
第三紀
(非公式用語)略
中新世略
古第三紀漸新世略古第三紀
始新世略
暁新世略

2007年の提案

しかし、2005年の案は伝統的な階層構造と適合しないため、IUGSに拒否された。それに応じINQUAは、2007年5月、新しく次のような提案をし、ICSも承認した。

第四紀を亜代ではなく正式な紀とするが、範囲は2005年の提案と同じに広げる。それにともない、階層構造を維持するために、更新世も広げられる。つまり、従来、新第三紀鮮新世に含まれていたジェラシアンは、第四紀更新世に移される[37]

代紀世期(一部)以前の世(参考)以前の紀(参考)
新生代第四紀完新世略完新世第四紀
更新世略更新世
ジェラシアン鮮新世新第三紀
新第三紀鮮新世略
中新世略中新世
古第三紀漸新世略漸新世古第三紀
始新世略始新世
暁新世略暁新世

2008年の第33回万国地質学会議 (IGS) で調整が図られ、まもなく正式な結論が出ると見られている[38]
第四紀の地位と定義の確立

2007年のINQUA提案と2008年のIGCでの討論会を受けて、ICSにおける議論と決定が急速に進んだ結果、2009年6月30日にIUGS執行委員会は新たな第四紀の定義を批准した。新しい定義では、
更新世の下限をジェラシアンを含むように引き下げ、ジェラシアンの下限が定義されているモンテ・サン・ニコラGSSP(Global Boundary Stratotype Section and Point)によって定義する。

第四紀と新第三紀の境界は、モンテ・サン・ニコラGSSPによって公式に定義される。すなわち、更新世及びジェラシアンの下限に一致する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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