新生代
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^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
^ 基底年代の更新履歴
^ 百万年前
^ 「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂

新生代(しんせいだい、: Cenozoic era)は、古生代中生代・新生代と分かれる地質時代顕生代の大きな区分の一つである。多くの場合は鳥類を除いた恐竜絶滅後を指す。約6,500万年前から現代までに相当し、陸上では非鳥類型恐竜が絶滅し[注釈 1][2]、海中ではアンモナイトと海生爬虫類(英語版)が絶滅した後[3]哺乳類が繁栄したことで特徴づけられる。

新生代は、第四紀新第三紀古第三紀の3つのに区分される。また、新第三紀と古第三紀を合わせた地質時代を、非公式な用語として第三紀と呼ぶことが許されている。
地球環境中生代の初めに超大陸パンゲアが分裂して大西洋やインド洋が生まれ、現在の大陸分布になった。

古生代に存在した超大陸パンゲアは中生代に分裂し、各大陸は移動し始める。新生代が始まったときには、オーストラリアと南極大陸はひとつになって南半球にあり、ユーラシア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、インドの各大陸は海を隔てていた。南アフリカから分かれて北上していたインド大陸は約4000万年前にアジア大陸に衝突[4]ヒマラヤ山脈チベット高原の上昇が始まる。約3800万年前にオーストラリア大陸と南極大陸が完全に分離し、約2000万年前には南アメリカ大陸と南極大陸も離れて、南極大陸が完全に海で囲まれる[5]。インド大陸はアジア大陸に衝突したあとも北上を続けアジア大陸の内部に約2000kmも突入したため[6]、衝突地点のヒマラヤ山地や背後のチベット高原は、その下にもぐりこまれたインド大陸に押し上げられ隆起した[7]。隆起しつつあるヒマラヤ山脈では高山に対する激しい浸食による岩石の風化が継続している[8]。約350万年前に南北アメリカ大陸の間にパナマ地峡ができて、大西洋と太平洋が分離された。
気候と生物の進化

中生代の地球環境は温暖であったが、新生代に入ると地球は徐々に寒冷化してゆき古第三紀の漸新世以後は南極大陸に氷床が発達し第四紀氷河時代(英語版)に入る。動物は、新生代の始まりであるK-T境界を境に中生代に栄えた大型爬虫類の多くが絶滅し、地上は哺乳類と鳥類の適応分散が始まった。植物では中生代白亜紀に生まれた被子植物が全世界に広がっていった。
古第三紀の気候と生物

古第三紀は約6500万年前から約2300万年前までの時代[9]で、暁新世、始新世、漸新世からなる。気候は温暖であった白亜紀半ば以後徐々に低温化していったが、約3400万年前の始新世と漸新世の境界時代に南極大陸に巨大な氷床が形成された。これ以後が現在も続いている新生代後期氷河時代である[10]

K-T境界の事件で、中生代に地上・海中・空中に繁栄していた恐竜などの大型爬虫類は、ワニ類を除いてほとんどいなくなった。新生代は哺乳類と鳥類の適応放散が起こった。小型恐竜の一部から派生・進化した鳥類は既に白亜紀において空中でも陸上でも翼竜や恐竜と伍して生活していたため当初は哺乳類より有利であり、古第三紀最初(暁新世)の最大の捕食者は鳥類のディアトリマであった[11]。古第三紀が始まったときの哺乳類は、ほとんどが草食や昆虫食で大きさもネズミほどのものが多く最大のものでもネコ程度であったが、爬虫類がいなくなった地上に適応し体も大きくなってゆく。哺乳類は暁新世から始新世にかけて第一次適応放散の後、漸新世で2度目の適応放散を行う[12]。現在見られる哺乳類の多様性は漸新世から始まった。すなわち現代型のクジラ、齧歯類のリス・ネズミ、長鼻類のゾウ、霊長類の真猿類(いわゆるサル)、奇蹄類のウマやサイ、偶蹄類のイノシシやラクダ、食肉類のサーベルタイガーやクマなどが漸新世に現れた[13]。なお 新生代初めオーストラリア大陸は南極大陸(南極大陸が南米とも繋がっていたが)とのみ繋がっており、他の大陸とは海を隔てていたため、これらの哺乳類(真獣類)とは系統が異なる単孔類有袋類が適応放散していた[14]。オーストラリア大陸の生物の特殊性は人類がオーストラリアに渡るまで継続した。同じように他の大陸と離れていた南アメリカには北米と繋がるまで一部の真獣類と有袋類が繁栄した[15]

暁新世末の約5500万年前に突発的な温暖化が起こり、海洋の中層から低層に生息していた有孔虫の35-50%が絶滅した。この時海洋深層水の温度は5-7℃[16]、気温は6-8℃上昇し5万年から10万年かけて元に戻った。原因として当時の海底に大量に存在していたメタンハイドレートが融解し、数千年の間[17]に炭素量換算1500ギガトンのメタンガスが大気中に放出され、メタンによる温室効果と その後メタンが酸化されてできる二酸化炭素による温室効果が想定されている[18]。またこの時メタンが放出されたとされる地形が北大西洋のノルウェー沖で見つかって2004年に発表されている[19]。1500ギガトンという温室効果ガスの量は、産業革命以来人類が発生させてきた二酸化炭素量と今後発生させると予想される二酸化炭素量の合計に匹敵するとされている[20]

古第三紀暁新世の巨大な地上生鳥類ガストルニス。植物食性と推測されている。

肉食のミアキス、 体長30cm。現在の食肉類の祖先と考えられている。

古第三紀中期(始新世)の原始的な草食哺乳類(恐角目ウインタテリウム、体長3-3.5mあったが脳は小さかった。

始新世のヒラコテリウムウマの祖先で全長50cm。

始新世の原クジラ亜目バシロサウルス 全長15m以上 体は現在のクジラよりも細長い。

ゾウの祖先のマストドン、長鼻類は漸新世に現在のゾウに近い体型になった。

新第三紀の気候と生物チベット高原上空の国際宇宙ステーションから見たヒマラヤ山脈

新第三紀は約2300万年前[9]に始まったが、次の第四紀との境界は議論が多く、現在のところ約258万8千年前[注釈 2]までとされている。新第三紀には中新世と鮮新世がふくまれる。古第三紀に隆起し始めたアルプス山脈ヒマラヤ山脈が新第三紀には高山となった[注釈 3]。特に雨量の多いヒマラヤ山脈では激しい浸食が起こって大量のカルシウム塩が海に供給され、このカルシウム塩が効果的に二酸化炭素を吸収したため[21]大気中の二酸化炭素量が史上最低のレベルまで低下した[22]。前時代の漸新世に南極に氷床ができたが、約1200万年前から更に寒冷化が進行し約350万年前には北半球にも氷冠が形成された[23]

新第三紀の前半の中新世には、現代の哺乳類のほぼすべてのグループが出現した。また種の数や個体数も現在よりも多かったとみなされている[24]。海中ではクジラ類からイルカ類が生まれ、樹上生活の真猿類の中から類人猿が現れた。偶蹄類の適応放散が進みイノシシ、ラクダ、シカ、ウシ、キリンがオーストラリアと南アメリカを除く世界中に広がった。長鼻類のマストドンも現在のゾウの分布よりはるかに広い範囲に生息した。食肉類はイヌ、ネコ、イタチ、クマがそろった他、アシカ、アザラシ、セイウチなどが生まれた[24]。この真獣類の繁栄は新第三紀後半の鮮新世にも続き、ほぼ現在見られる動物と同じタイプの生物がそろった。約350万年前にパナマ地峡ができて、それまで他の大陸から離れていた南アメリカ大陸と北アメリカ大陸がつながった[25]。それまで南アメリカで繁栄していた有袋類はオポッサムを例外として北アメリカからやってきた真獣類との生存競争に負けて姿を消していった[26]


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