新海誠
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その傍らで業務のためパソコンで本格的に絵を描くようになったことをきっかけに自主制作アニメーションを制作するようになる[21]。1998年に『遠い世界』でeAT'98にて特別賞を、2000年に『彼女と彼女の猫』でプロジェクトチームDoGA主催の第12回CGアニメコンテストでグランプリを獲得した[22]

会社員時代は、夜中に帰宅したあと午前3時頃までアニメーション制作を行い、6時に起床し出社するというような生活を送っていた[11]が、2001年初夏の頃に5年間勤めた日本ファルコムを退社[23]。退社したひとつの理由として、「日本ファルコムで作っていた映像がファンタジー世界であり、自分が暮らしている世界はそれとは全く別。自分の生活に密接したものを表現したかったから。」と述べている[24]。元々高校生が好きで「高校生女子」を題材にしたアニメーションを創りたいと思っていた。
クリエイター時代

日本ファルコム退社直後にアダルトゲームブランド・minoriから依頼を受け、同ブランドのデビュー作『BITTERSWEET FOOLS』のオープニングアニメーションを制作。以降、2008年までminori制作のゲーム5作品でオープニングアニメーションを担当した[25]。一方、2002年9月にサブカルチャー誌『新現実』創刊号に短編漫画作品「塔のむこう」を掲載した。さらに2003年、NHK『みんなのうた』でオンエアされた「笑顔」(歌:岩崎宏美)のアニメーションを担当した[26]
『ほしのこえ』

2002年、約25分のフルデジタルアニメーションの短編『ほしのこえ』を発表、小規模の劇場公開とDVDリリースで商業作品デビューを果たす[15][22]。制作に集中するため会社を辞めて約8ヵ月間部屋にこもりながら、 監督脚本演出・作画・美術3DCG撮影編集・声の出演とほとんどの作業を1人でこなし、自宅のパソコンを使って作り上げた[21]。この「1人で作った」という制作手法が大きな話題を呼び、新海の名が世に知られるきっかけになった[22][27]。またそのやり方が内省的なテーマの探求に対して最適なアプローチだったことで、多くの人々に作品が届いた[22]

映画としては下北沢トリウッドでのみ上映される単館上映作品だったが、ネット上の口コミによって話題を呼び、DVDは6万本以上の売り上げを記録した[15]。同作品は第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞。他にも、第7回アニメーション神戸 作品賞(パッケージ部門)・第6回文化庁メディア芸術祭 特別賞[28]・第34回星雲賞 メディア部門・第8回AMD Award BestDirector賞など多数の賞を受賞した。
『雲のむこう、約束の場所』

2004年、初の長編作品となる『雲のむこう、約束の場所』を発表。この作品では1人ですべてを手がけることはなく、インディーズながらスタッフを集めて通常の商業アニメ作品のように制作した[27]。また男女の恋愛に社会性を持った世界設定や専門的な科学知識を盛り込んだ難解な本格SFを織り込んだストーリーということもあって前作ほどの絶賛は浴びなかった[27]。それでも新鮮さ・挑戦心を評価され、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』、押井守監督の『イノセンス』などを抑えて受賞した[29]。このほか、カナダファンタジア映画祭 アニメーション映画部門銀賞、第36回 星雲賞 アート部門、韓国SICAF2005 長編映画部門優秀賞[30]を受賞した。
『秒速5センチメートル』

2007年、短編3本の連作からなるオムニバス映画『秒速5センチメートル』を発表[27]。心機一転、スタッフ数を絞って挑んだこの作品では、SF要素を取り入れた過去2作とは対照的に、「閉じた人間関係」をテーマに日常的な風景の描写に努めた[27][31]。新海は、登場人物たちを美しい風景の中に置くことで「あなたも美しさの一部です」と肯定することにより誰かが励まされるのではないかと思っていたが[32]、「ひたすら悲しかった」「ショックで座席を立てなかった」という感想が多く、その反省から第3話のラストを補完するかたちで初めての小説作品となる『小説・秒速5センチメートル』(メディアファクトリー、2007年11月刊)を書いた[32]

劇場公開後、単館上映でありながら半年に及ぶロングランを記録。


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