新冷戦
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2023年5月、中国の失業率は20%を超えた[16]

2023年8月31日、中国政府は中国の領土・領海の範囲を示す「官製地図」を公表し、全アジアから猛烈な反発や抗議を招いた[17]

2024年2月26日、スウェーデンはNATO加盟[18]
歴史
ソ連の崩壊と米ソ冷戦の終わり

新冷戦(Cold War II)と言う用語は、元々は1970年代後半に当時のアメリカ大統領ニクソン大統領ニクソン大統領中国訪問や、米ソデタントなどで再編された世界の勢力図を表す言葉として発生した[1][19]

しかし、ソ連では1980年代後半からペレストロイカグラスノスチと呼ばれる国内改革がなされ、方針を「対米の親善政策」に転換した。そして東欧革命ベルリンの壁崩壊の後、ソ連は崩壊し、冷戦のような国際的な陣営対立は完全に消滅した。米ソ冷戦の終結に関して、フランシス・フクヤマ1992年に「歴史の終わり」という本を著し、藤原帰一1993年に「米中冷戦の終わりと東南アジア」という論文を著した。

ソビエト連邦の崩壊後に生まれた新たな「ロシア連邦」は、共産党の一党独裁体制を放棄して複数政党制に移行し、経済的には資本主義へ移行した。だが、ボリス・エリツィンからウラジーミル・プーチンに受け継がれた体制は西欧諸国のような民主主義には到達せず、ロシア連邦は権威主義国家となった。一方、共産陣営第二の大国であった「中国」は、社会主義市場経済により経済的発展を遂げていたが、政治面は共産党の一党独裁のままになり、六四天安門事件などにみられるように民主化運動には弾圧を加えた。
米ソ旧冷戦から米中新冷戦へ

旧冷戦が終わった後も、米中両国の間での台湾海峡朝鮮半島をめぐって軍事的な緊張状態は継続し、北朝鮮核武装台湾海峡危機など、年々激化しつつある。

1996年に政治学者の李鍾元が「東アジアでは冷戦は終わっていない」として「東アジア冷戦」について議論し[20]、日本では1996年に中川昭一自民党)らが「米中新冷戦」を議論した[21]。とはいえ、1990年代の中国はまだ超大国としての経済体制を持っていなかったため、米ソ冷戦で勝利を手にしたアメリカは中国を自国と対等的な相手とみなしていなかった。

日本に限っては、その後も米中新冷戦や米中冷戦などの用語がある程度用いられてきたが、広く認知されることは無かった。国防総省総合評価局長を務めたアンドリュー・マーシャルは、中国の経済が日本の経済を超えるあの日が「米中冷戦」の到来日だと予測していた[22]

2020年代に入ると、中国はついに台頭し始めた。習近平政権[23][24]香港への直接弾圧、台湾韓国日本米国に対する執拗な認知戦術[25]一帯一路構想沿岸国への「債務の罠」攻勢やインフラ開発競争、周辺国への度重なる軍事挑発など数々の戦略を展開する「超限戦」を本格的に展開しはじめた。これによって、中国と西側諸国との関係は急激に悪化していき、アメリカによる一極体制には綻びが見え始める。経済・金融・軍事・情報・宇宙・環境問題・エネルギーなどの様々な分野において、米中・米露の対立が生じていくようになり、この現象を指して「新冷戦」という言葉が使用されるようになった。
NATO対ロシア

1990年代前半、ソ連の崩壊と共に米露関係・米中関係は一時的に良好な展開へ向かっていた。しかし1999年には、ユーゴスラビアでのコソボ紛争によって大使館が誤爆された中国やロシアとNATOの対立の萌芽が見られるようになった[26][27][28]

21世紀に入り、ヨーロッパでのソビエト連邦構成共和国において、ベラルーシウクライナ以外はEUNATOなどの旧西側諸国の国際機関に加盟した。この事から米欧の影響力が大きく上昇し、イスラム過激派に対する対テロ戦争で暫く蜜月関係を持った米国と中露の関係は微妙なものとなった。

欧米からの影響力を受け止め、ロシアは中央アジアでの旧ソ連諸国を結束させて「ユーラシア経済連合(EEU)」の下で一体化し、さらに中国と「上海協力機構(SCO)」という準軍事同盟を作り、EUの東方拡大やNATOによるアフガニスタンの介入に警戒態勢で対応していた。
中露接近2012年2月、アメリカ合衆国ワシントンD.C.で行われた新冷戦時代のライバル超大国のリーダー、ジョー・バイデン副大統領と習近平副主席の会談。

ロシアはソ連時代のような膨大な領土や影響力を回復するため、積極的に中国と接触した。旧冷戦時代のようにアジアでの中国をそのまま放置し、東ヨーロッパを中心にアメリカと対抗する旧来の思考とは別の姿勢をとった[29]

2007年からは中国と連携して、国連安保理ミャンマーシリアジンバブエなどに対する非難決議で拒否権を度々行使した。

2010年代に入ると中露両国の友好関係は一層綿密なものとなり、対米の緊張状態が続く中で、中露連合軍はイランオマーン湾で合同演習を行い[30]、「アメリカの裏庭」である中南米では反米を掲げるベネズエラに航空機を派遣して物資を支援し[31][32][33]、ソ連最大の軍事演習であった「ザーパド81」を超える冷戦後最大の軍事演習「ボストーク2018(ロシア語版、英語版)」も共同で行ってアメリカを牽制するようになった[34][35]
対中包囲網

近年、中国による攻撃性の高い「戦狼外交」を受け続けている台湾日本韓国アメリカフィリピンインドベトナムカナダフランスイギリスドイツイタリアオーストラリアなどの国々が一気に結束し、「G7クアッドANZUSAUKUS(オーカス)・ファイブ・アイズD10」などの組織を重ね合わせて「対中包囲網[36][37][38][39][40][41][42]」という防御態勢を構築するようになってきた[43]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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