新世紀エヴァンゲリオン劇場版_Air/まごころを、君に
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当初は1997年春公開の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』において上映される予定の内容であり、1997年夏には「完全新作の劇場版」が公開される予定であったが、『シト新生』におけるテレビ版リメイク部『REBIRTH』編の制作が間に合わず途中までの公開となり、同年夏に『REBIRTH』編を完成させたものとして本作品が公開されることとなった(詳細は『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生#概要』を参照)。なお、『REBIRTH』編で公開されていた部分についてはアフレコSEBGMの録り直しや、画面上での若干の修正、追加が行われている[5]

第25話『Air』(エアー)は、劇中BGMに使われているヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲の『管弦楽組曲第3番』の第2曲「G線上のアリア」(Air)から。また第26話『まごころを、君に』は、ダニエル・キイスの著作『アルジャーノンに花束を』が映画化された時の邦題「まごころを君に」から採られた。

前売券は特典でオリジナルポスターが付いたものが発売された[6]。また『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の前売券も、未使用の分に限り使用可能な措置がとられている。公開2日前の7月17日には、よみうりホールにてテレビ東京系列試写会が開催された[6]
ストーリー
第25話 Air(EPISODE:25' Love is destructive.)

NERVによって全ての使徒は倒されたが、一時は無二の友と信じた渚カヲルを第17の使徒・タブリスとして自らの手で殲滅しなければならなかった碇シンジは、精神的に追い詰められ生きようとする意志を失っていた。一方、ゼーレは人類のすべてを単体の生命へ還元し、神のもとへ回帰する人類補完計画=サードインパクトを発動しようとするが、自らが神に近い存在となって妻・碇ユイと再会しようとする碇ゲンドウはこれを拒否し、両者は決裂する。ゼーレはNERVの他支部すべてのMAGIコピーを用いたNERV本部のMAGIへのハッキングを仕掛け、実質的なNERV本部の無力化とEVAの確保を狙うが、ゲンドウの命で釈放された赤木リツコによってハッキングは阻止される。ゼーレは次いで日本政府に「NERVこそが人類を絶滅させようとする陰謀の中心であった」という虚偽の情報を流し、戦略自衛隊(戦自)を動かすことでNERV本部の武力占拠を開始する。

非戦闘員への無条件発砲すら許可される虐殺が繰り広げられ、施設が次々と破壊・占拠されていく中、シンジは戦自隊員に発見されて殺されそうになるが、駆け付けた葛城ミサトに救出される。亡き加持リョウジの遺志を継いでセカンドインパクトの真相を調べていたミサトは、使徒と人類の戦いは「アダム」から生まれた生命と「リリス」から生まれた生命の生存競争であったという事実と、ゼーレの陰謀をシンジに説明し、共にEVA初号機の元へ向かう。しかしミサトは戦自の銃撃からシンジを庇い、シンジに悔いの無いように生きるように伝えた後、絶命する。そのころゲンドウは、後事を冬月コウゾウに託し、綾波レイとともにターミナルドグマへと向かうが、そこにはリツコが先回りしていた。MAGIへのハッキングを阻止した際にNERV本部の自爆用隠しコマンドを仕込んでいたリツコは、ゲンドウの夢が叶わんとする目前でコマンドを起動するが、MAGI3体の全会一致を必要とする自爆決議は自らと同じゲンドウの愛人であった母の「女としての部分」を移植された「カスパー」によって否決され、自身もゲンドウに射殺される。

一方、戦自から逃れるため、病室からEVA弐号機のコクピットに移されていた廃人状態の惣流・アスカ・ラングレーは死の恐怖に震えていたが、弐号機のコアに母の魂が取り込まれていることに気付き、復活を遂げて戦自部隊を壊滅させる。アスカと弐号機はゼーレが投入した9体のEVA量産機も倒すが、量産機の再生・復活能力を前に活動限界を迎え、動けなくなったところを鳥葬のように貪られていく。弐号機はアスカの憎悪と憤怒を糧に暴走を始めるが、量産機に止めを指され完全に沈黙する。

一度はミサトの遺言に心を動かしたシンジであったが、戦自が流し込んだ硬化ベークライトで封印された初号機の姿を前に再度意気消沈し、アスカと弐号機の危機を知らされても何もできずにいた。その時、あたかもシンジを叱咤するかのように無人の初号機がベークライトを割って起動する。初号機に導かれるままに出撃し、意を決して戦場を見据えたシンジの目に映ったものは、弐号機の肉片をついばみながら宙を飛び回る量産機の群れであった。凄惨な光景を目の当たりにしたシンジは、錯乱し絶叫する。
第26話 まごころを、君に(ONE MORE FINAL: I need you.)

ゲンドウは自らの右手に移植した第1使徒アダムの肉体と共に、第2使徒リリスの魂をもつレイとの融合を試みるが、レイはそれを拒否し、アダムのみを取り込んでリリスと融合を果たす。リリスはシンジの元に向かうが、シンジの絶望が引き金となり、彼を乗せたEVA初号機を依代として、ゼーレが意図する形でのサードインパクトが始まる。NERV本部が位置するジオフロントは、その真下に埋もれていた「黒き月」ごと浮上し、巨大化したリリスの眼前に移動していく。

リリスからアンチA.T.フィールドが世界中に放たれ、これによって個体の生命体としての姿を保てなくなった人類は次々と液状(L.C.L.)化し、その魂は黒き月に集められていく。初号機はロンギヌスの槍と融合してリリスに取り込まれ、シンジは人類が補完された世界で、自他の内面と向き合う。最後にレイとカヲルに再会し、サードインパクトの行く末を委ねられたシンジは、人類が単体の生命となることを望まず、個々として存在する従来の世界を望む。サードインパクトは中断され、崩壊していくリリスから出現した初号機は、ロンギヌスの槍と共に宇宙の彼方へ飛び去っていく。レイは、誰もがヒトの形に戻れる可能性があることをシンジに告げる。シンジは初号機の核に宿るユイの存在を知り、別れを告げる。

L.C.L.の赤い海から浮上したシンジは、気が付くと白い砂浜に一切の反応を示さないアスカと共に横たわっていた。シンジは補完された世界で最後まで自分を拒絶したアスカの首を絞めていくが、その最中に彼女から頬を撫でられる。アスカの真意に気づき、手を放して嗚咽するシンジに、アスカは「気持ち悪い」と言い放つのであった。
劇中使用曲

BWV1068『
管弦楽組曲第3番』より「Air」(『G線上のアリア』) - 第25話挿入曲

THANATOS -IF I CAN'T BE YOURS- - 第25話終了後のタイトルロールにて使用[注 4]

THANATOS -IF I CAN'T BE YOURS-(SHORT VERSION) - 第25話エンディングテーマ[注 5]

Komm, susser Tod?甘き死よ、来たれ - 第26話挿入歌

BWV147『心と口と行いと生活で』より「主よ、人の望みの喜びよ」 - 第26話挿入曲

BWV147『心と口と行いと生活で』より「主よ、人の望みの喜びよ」(ストリングスバージョン) - 第26話エンディングテーマ[注 6]

スタッフ

企画・原作:
GAINAX庵野秀明

総監督:庵野秀明

監督・演出:鶴巻和哉(#25)、庵野秀明(#26)

製作:角川歴彦角川書店)、池口頌夫(キングレコード)、山賀博之ガイナックス)、倉益琢眞(テレビ東京

製作補:中山晴喜セガ・エンタープライゼス)、高橋豊東映


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