断層
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断層運動によるずれが地下深部でのみ生じたり、またはずれた後に急激に土砂で埋められたりして、地表では確認されない断層のこと。

雁行断層(がんこうだんそう,英語: echelon fault)

大規模な地質構造の変動に伴い出現する断層群のこと。並行断層とも言う。断層帯の延びの方向と45度程度の角度をなして、複数の断層が並んで出現する様子(例えばカタカナのミのように)を、雁の飛行に例えて命名された。

共役断層(きょうやくだんそう,英語: conjugate faults)

同一の応力下で、互いに90度程度斜交した断層面が形成され、断層のずれの向きが互いに逆向きを示す断層。断層面の延長上から見た場合、×やу字状などの配置にある。

構造線(こうぞうせん)

断層を境に、地質が大きく異なる断層のこと。他の断層よりも長い傾向にある。中央構造線糸魚川静岡構造線棚倉構造線仏像構造線柏崎千葉構造線などがある。

火山性活断層(かざんせいかつだんそう,英語: volcanic active fault)

火山活動に伴い火山体周辺に形成される、一過性の活断層である[3]
すべり速度による断層運動の分類

地球における断層破壊は、すべり速度または時間スケールによって以下のように分類できる。

不安定すべり:断層面が間欠的に変位している領域を不安定すべり(
英語: seismic slip)と言う。

地震:震源特性によって1 - 10 Hz程度の地震波が卓越する断層運動を地震英語: earthquake)と言う。ただし、「地震」には断層破壊以外によって生成された地震動の意味も含む。破壊伝搬速度がS波を超える地震は超せん断地震(英語: supershear earthquake)と言う。

スロー地震:広義には地震以外の長期的な断層運動をスロー地震英語: slow earthquake,ゆっくり地震)と言う。狭義では低周波地震と同義である。

低周波地震:0.1 - 1 Hz程度の地震波が卓越する地震を低周波地震英語: low-frequency earthquake)と言う。また、マグニチュード1程度の低周波地震が連続的に発生している現象を、低周波微動(英語: low-frequency tremor)と言う。

超低周波地震:0.01 - 0.1 Hz程度の地震波が卓越する地震を超低周波地震(英語: very low-frequency earthquake)と言う。

スロースリップ:地震波が観測できず、GNSSなどによって観測される断層運動をスロースリップ英語: slow slip)と言う。時間スケールによって短期的スロースリップと、長期的スロースリップに区別される。



安定すべり:断層面が常時一定の速度で変位してる領域を安定すべり英語: aseismic slip)と言う。

スロースリップとそれ以外の断層運動が周期的に連動する現象を、en:Episodic tremor and slipと言う。
共役断層と断層帯

共役断層(きょうやくだんそう、共軛断層と表記される事もある)とは、同じ応力によって生じた隣接する断層、いわゆる共軛関係にある断層のこと。1つの大きな断層の周囲に小さな断層が多数ある場合、同規模の断層が多数ある場合に大別される。共役断層同士では、断層面の角度や方向が違う場合も多いが、断層ができる前から順を追って応力の変化と断層の形成を辿ると、その理由が説明できる。

なお、共役断層のうち、複数の大きな断層が帯状に連なる断層群を、断層帯(だんそうたい)と呼ぶ。
活断層詳細は「活断層」を参照

断層のうち、最近の地質時代(特に数十万年前以降)に繰り返し活動し、将来も活動すると推定される断層のことを活断層(かつだんそう)と呼ぶ[4][5][6]
断層の内部構造岐阜県瑞浪市の断層。小規模な断層ながら、はっきりと断層破砕帯が確認できる。

断層は活断層か否かに関係無く、破砕帯(はさいたい)などの内部構造を持つ場合が多い。
断層破砕帯

断層破砕帯(英語: fault crush zone)は、断層運動によって破壊された岩石の部分で、一定の幅と方向を持つ。大規模な断層には大規模な破砕帯を伴う場合が多い。脆性領域における断層破砕帯は一般的にダメージゾーンとコアゾーンに分けられる。コアゾーンは断層変位の大半を賄う領域で、断層ガウジと断層角礫から構成される。ダメージゾーンは原岩起源のカタクレーサイトと割れ目の発達した原岩から構成される[7]

ダメージゾーンは亀裂が密に発達する領域であるため、周囲の母岩と比べて透水性が高い。掘削中のトンネルが断層破砕帯に到達すると大量の水が噴出して工事を著しく妨げる。黒部ダム建設の資材運搬用トンネルである関電トンネル建設工事は、総延長80 mにも達する大破砕帯に遭遇した事で困難を極め、一時は工事の中止も検討された。これが破砕帯の存在を、日本人に広く認知させた。また、破砕帯の岩石は強度が低いため、地すべりの原因となる場合がある[8]
断層面

断層面(英語: fault plane)は、断層によって切断された岩体や地層の断面である。ただし数学的な意味での「面」とは異なり、ある程度の厚さを有する。断層面の両側は、地下浅部では断層ガウジ、地下中部ではカタクレーサイト、地下深部ではマイロナイトに挟まれる。
断層ガウジ

断層ガウジ(英語: fault gouge)は、断層運動により岩石が破壊されて、まるで粘土のように粒径が小さくなった未固結部分である。破砕帯のうち、コアゾーンの一部を構成する。かつては断層粘土と呼ばれていた。こうなると却って水を通し難くなり、地下水の流れがここで堰止められて地下ダムのような役割を果たす場合がある。
断層角礫

断層角礫(英語: fault breccia)は、断層運動により岩石が破壊されて角ばった礫になった未固結部分である。破砕帯のうち、コアゾーンの一部を構成する。破砕が進むと断層ガウジとして扱われる。
カタクレーサイト

地下5?10 km程度で断層運動が起きると、岩石は脆性破壊を起こすが圧力によりすぐに固結し、カタクレーサイト(英語: cataclasite)が生成する。
マイロナイト

断層の深部では温度が高いため、脆性破壊を起こさずに塑性変形を起こしてマイロナイト英語: mylonite)と呼ばれる再結晶した岩石が生成する。昔の断層深部に有ったマイロナイトが、隆起・侵食によって現在では地表で観察できる場所も有る。


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