斎藤達雄_(俳優)
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斎藤が主演した小津の短篇喜劇に『女房紛失』『カボチヤ』『肉体美』『会社員生活』『突貫小僧』『落第はしたけれど』『エロ神の怨霊』があり、『肉体美』では妻の尻に敷かれている亭主、『会社員生活』ではボーナスの支給日に会社をクビになるサラリーマン、『突貫小僧』ではさらった子供に手を焼く人さらい、といった役を演じてユーモラスな演技を見せる。この間、小津の長篇作品『学生ロマンス 若き日』『結婚学入門』にも出演し、デリケートな人間心理を表出してうま味を見せた[2]。その後も、『足に触つた幸運』で大金を拾ったサラリーマンの泣き笑いを好演、『お嬢さん』では岡田時彦と組んで新聞記者を演じ、『東京の合唱』では持ち味の飄逸さを発揮する。小津のサイレント期の代表作『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』では、子供から大人の世界の矛盾を突かれるサラリーマンの父親役で主演し、困惑する不況時代のサラリーマンの悲哀を見事に演じた[2]。以後も『淑女は何を忘れたか』『戸田家の兄妹』『宗方姉妹』などに出演し、計23本の小津作品に出演した。

小津作品以外にも、佐々木恒次郎監督の『珍客往来』『裏町の大将』、斎藤寅次郎監督の『モダン怪談100,000,000円』、清水宏監督の『村の王者』、五所平之助監督の『大東京の一角』『左うちわ』などに主演し、1929年(昭和4年)に結城一朗日夏百合絵とともに準幹部[3]、翌1930年(昭和5年)には高田稔岡田時彦、結城、龍田静枝筑波雪子とともに幹部に昇格する[4]。以後も五所監督の『人生のお荷物』、島津保次郎監督の『春琴抄 お琴と佐助』、吉村公三郎監督の『暖流』などに助演する。

1947年(昭和22年)にフリーとなり[5]、各社の作品で脇役として活躍する。1950年代には監督業に進出し、『嫁ぐ今宵に』『純情社員』、島倉千代子主演の『早く帰ってコ』『東京だヨおッ母さん』などを監督するが、監督としてはほとんど評判にならなかった。やがて草創期のテレビドラマにも多く出演する。1967年(昭和42年)、山田洋次監督の『九ちゃんのでっかい夢』が最後の映画出演作となった。

1968年(昭和43年)3月2日肺がんのため東京都世田谷区梅ヶ丘の自宅で死去[5]。65歳没。墓所は台東区長運寺

一時期、松竹蒲田の女優・井上雪子と結婚したが後に離婚し、ドイツ人女性と再婚するも死別、付き人と三度目の結婚をして2子を儲けている[5]

益田喜頓は憧れていた人物に斎藤をあげ、「銀座でお洒落で目立った人は、何といっても斎藤達雄。外人みたいで、どんな格好をしてもさまになるんです。」と語っている。
出演作品
映画若人の夢』(1928年)のスチル写真。左から吉谷久雄、斎藤、若葉信子肉体美』(1928年)のスチル写真。左から斎藤、飯田蝶子坂本武日守新一お嬢さん』(1930年)のスチル写真。左から岡田時彦田中絹代、斎藤。

◎印は小津安二郎監督作品。

街の手品師(1925年、日活) - 酔っぱらい

東洋のカルメン(1925年、日活)

小品映画集 人生と活動(1925年、日活)

美女と秘密(1927年、松竹キネマ

晴れゆく空(1927年、松竹キネマ) - 紳士

感激時代(1928年、松竹キネマ) - 先生

若人の夢(1928年、松竹キネマ) - 加藤兵一

彼と東京(1928年、松竹キネマ)

女房紛失(1928年、松竹キネマ) - 彼

妻君廃業(1928年、松竹キネマ)

彼と田園(1928年、松竹キネマ)

◎カボチャ(1928年、松竹キネマ) - 山田藤助

陸の王者(1928年、松竹キネマ) - 岩井教授

肉体美(1928年、松竹キネマ) - 高井一郎

学生ロマンス 若き日(1929、松竹キネマ) - 学生・山本秋一

村の王者(1929年、松竹キネマ) - 作造

モダン怪談100,000,000円(1929年、松竹キネマ) - 松田襄二

女難歓迎腕比べ(1929年、松竹キネマ) - 旅の小間物問屋

恋慕小唄(1929年、松竹キネマ) - 英語音楽教師中谷

会社員生活(1929年、松竹キネマ) - 塚本信太郎

突貫小僧(1929年、松竹キネマ) - 人撰い文吉

新婚前後(1929年、松竹キネマ)

彼と人生(1929年、松竹キネマ) - 陸軍リンコルン

結婚学入門(1930年、松竹キネマ) - 北宮光夫

大東京の一角(1930年、松竹キネマ)

朗かに歩め(1930年、松竹キネマ) - 犬を抱いた人(ノンクレジット)

落第はしたけれど(1930年、松竹キネマ) - 学生

不景気時代(1930年、松竹キネマ) - 松造

その夜の妻(1930年、松竹キネマ) - 医師・須田

エロ神の怨霊(1930年、松竹キネマ) - 山路健太郎

足に触った幸運(1930年、松竹キネマ) - 古川貢太郎

若者よなぜ泣くか(1930年、松竹キネマ) - 新聞記者

お嬢さん(1930年、松竹キネマ) - 斎藤達次

淑女と髯(1931年、松竹キネマ) - 敵の大将

愛よ人類と共にあれ(1931年、松竹キネマ) - 歯医者渋川

美人と哀愁(1931年、松竹キネマ) - 佐野

東京の合唱(1931年、松竹キネマ) - 大村先生

昇給と花嫁(1931年、松竹キネマ)

島の裸体事件(1931年、松竹キネマ)

若き日の感激(1931年、松竹キネマ) - 光子の夫

金色夜叉(1932年、松竹キネマ) - 富山唯継

春は御婦人から(1932年、松竹キネマ) - 加藤

蝕める春(1932年、松竹キネマ) - 白川幸介

大人の見る繪本 生れてはみたけれど(1932年、松竹キネマ) - 父親

太陽は東より(1932年、松竹キネマ) - 弁護士宮本

上陸第一歩(1932年、松竹キネマ) - ダンスホールの客(ノンクレジット)

青春の夢いまいづこ(1932年、松竹キネマ) - 斎木太一郎

忠臣蔵(1932年、松竹キネマ) - 不破数右衛門

花嫁の寝言(1933年、松竹キネマ) - 落第生斎田

港の日本娘(1933年、松竹キネマ) - 画家三浦

夜ごとの夢(1933年、松竹キネマ) - 夫水原

嬉しい頃(1933年、松竹キネマ) - 課長斎田

大学の若旦那(1933年、松竹キネマ) - 若原

女学生と与太者(1933年、松竹キネマ) - 校長

玄関番とお嬢さん(1934年、松竹キネマ) - 御前様

東洋の母(1934年、松竹キネマ) - 主治医

その夜の女(1934年、松竹キネマ)

生きとし生けるもの(1934年、松竹キネマ)


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