文化
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その後、中国語でも「文化」が使われるようになった[3]
文化の定義
概説
古典的・日常的な文化

ラテン語 colere(耕す)から派生したドイツ語の Kultur や英語の culture は、本来「耕す」、「培養する」、「洗練したものにする」、「教化する」といった意味合いを持つ[4]。18世紀後半に、産業化をひたさま技術革新、生産性の向上、社会の官僚化といった人間の外部に相当するものとしての文明と対比される、人間の精神面での向上を示す言葉として位置づけるものとしての文化という意味で議論を展開したのがマシュー・アーノルドである[5]。この定義では文化は教養と言い換えることもできる。英語やフランス語は、日本語・中国語・ドイツ語とは異なり、「文化」と区別される「教養」という語を持っていないので、その間の区分が明示的でない。
人類学的文化

人類学においては、人間と自然動物の差異を説明するための概念が文化である[6]

こうした定義の最初のものはイギリスの人類学者エドワード・バーネット・タイラー (1871) の、広く民族学で使われる文化、あるいは文明の定義とは、知識、信仰、芸術、道徳、法律、慣行、その他、人が社会の成員として獲得した能力や習慣を含むところの複合された総体のことである ? エドワード・バーネット・タイラー、Primitive culture[7]

である。この文に続く進化主義的な議論は批判されているが、タイラーの定義は今でも基本的には正当性が認められている[8]

この定義は動物に社会が存在しないことが自明とされていた時代の定義であり、後に野生動物も社会を形成することが認められるようになると、新たな制約が加えられた。動物が使うことがない言語によって特徴づけるようになったのである。この場合、動物の音声コミュニケーションとは異なる特徴である再帰性象徴性が強調された。レヴィ=ストロースによれば、言語は文化の条件であるという[9]。つまり文化は、それが非言語的なものであっても言語的な性質を備えている象徴的な事象と定義するもので、構造主義文化人類学者によく使われる[注 1][10]
社会学的文化

出発点が近代社会とは異なる世界を記述するための概念であった人類学的文化は、やがて近代社会を理解するための学問である社会学にも取り込まれるようになった。社会学における文化の定義は人類学から大きく影響を受けているが、例えばパーソンズは「ひとつの社会システムは、二つかそれ以上の諸社会の社会構造や成員や文化、あるいはそうした諸社会の構造、成員、文化のそのいずれかとかかわりあうことができる」として、一つの社会における多文化的な状況を記述可能にするために、社会システムと並立して正統性を担保するものとしての文化システムを定義づけた[11]。シンボリック相互作用論者、なかでもタモツ・シブタニは、ある特定の集団ないしは社会的世界において、人々に共有されているパースペクティブ(認識枠組)を指すものとして文化を扱い、同じく、一つの社会における多文化的な状況(文化の多元的共在)の説明に有用な概念として捉えている[12]ハーバーマスは文化 (Kultur) を「文化とは知のストックのことであり、コミュニケーションの参加者達は世界におけるあるものについての了解しあうさいに、この知のストックから解釈を手に入れる」としている[13]。このように行為、あるいはコミュニケーションに利用されるストックというアイデアは、ルーマンのゼマンティーク (Semantik)、フーコーのアーシーブ(Archive) などとも関連性が深い[14]

文化人類学者のクリフォード・ギアツもパーソンズ由来の文化を採用しているので、現在では社会学的文化と人類学的文化の境目はあまり重要ではない。
考古学的文化詳細は「文化 (考古学)」を参照
文化を担う集団

文化の概念は、通常、人間集団内で伝播されるものに対してのみ用いられるので、個人がただ発明しただけの状態では適用されることはない[15]。また、地域集団時代によって文化様式は大きく異なることがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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