基準(4)のみが適用された物件には、ルーゴのローマ城壁(スペイン)、レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財(スロバキア)、フォントネーのシトー会修道院(フランス)、ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル(スイス)、クロンボー城(デンマーク)、ペタヤヴェシの古い教会(フィンランド)、バハラ城塞(オマーン)、アブ・メナ(エジプト)、ビニャーレス渓谷(キューバ)、グアラニーのイエズス会伝道所群(ブラジル・アルゼンチン)などがある。 基準(5)のみが適用された物件には、クルシュー砂州(ロシア / リトアニア)、マドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷(アンドラ)、ホッローケーの古い村落とその周辺(ハンガリー)、ヴェーガ群島(ノルウェー)、アシャンティの伝統的建築物群(ガーナ)、オマーンの灌漑システム・アフラジ(オマーン)などがある。文化的景観はしばしばこの基準が適用される[7]。 基準 (6) のみが適用されて登録されるのは、例外的なケースである。原爆ドーム(日本)、ゴレ島(セネガル)、アウシュヴィッツ強制収容所(ポーランド)など、いわゆる負の世界遺産だと考えられる遺産は、基準(6)のみの適用が見られる[7]。このほか、リラ修道院(ブルガリア)、独立記念館(アメリカ合衆国)、ランス・オ・メドー国定史跡(カナダ)、ヘッド-スマッシュト-イン・バッファロー・ジャンプ(カナダ)なども、(6) のみが適用されている。 登録に当たっては複数の基準が適用されることが多く、なかには4項目、5項目が適用されるケースもあるが、6項目全てが適用された物件は莫高窟(中国)、泰山(中国)[注釈 3]、ヴェネツィアとその潟(イタリア)の3件のみである(2015年の第39回世界遺産委員会終了時点)。 「世界遺産リストの代表性、均衡性、信用性のためのグローバル・ストラテジー」(1994年)では、文化遺産の偏りを是正するため、文化的景観、産業遺産、20世紀以降の現代建築などを登録していくことの必要性が確認された。 文化的景観は1992年の「世界遺産条約履行のための作業指針」で盛り込まれた概念である。人の文化的な営みと自然が有機的に結びついた景観であり、ICOMOSの勧告書でも公式に分類されている。上に挙げた例だと基準(4)のみで登録されたビニャーレス渓谷、基準(5)のみで登録されたクルシュー砂州やマドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷などが該当する。
クロンボー城
バハラ城塞
ビニャーレス渓谷
基準(5)
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
マドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷
ヴェーガ群島
クルシュー砂州
基準(6)
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
原爆ドーム
リラ修道院
独立記念館
ヘッド-スマッシュト-イン・バッファロー・ジャンプ
グローバル・ストラテジー
文化的景観詳細は「文化的景観」を参照
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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