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なお人類は、古代ではさかんに、十二進法六十進法を用いてきた歴史がある。次第に用いられることが減ってきたが、現代でも時間や時刻の表示法()や、緯度経度の表示法、等々等々で用いられている。十二進法は、はるか昔、古代バビロニアの時代から用いられていたわけだが、どうして十二進法が用いられるようになったのか?に関してはいくつかの説(仮説)があり、『(天球上で)太陽の軌道の位置が元の位置に戻ってくるまでの間に、つまり1年の間に(ざっくりと言うと)が12まわり 変化する。古代では太陰暦のほうが標準的に用いられていたので、「12」という概念を用いて、ものごとを数えることがしばしば行われたのだ』という説や、『(バビロニアなどでは)数を数える時に(親指は用いず)、(類似の構造を持つ)人差し指中指薬指小指の4本を用い、それぞれの指にある3つの関節(あるいは、関節と関節の間の平らな面)をひとつずつ指しながら数を数えたので、結果として、4(本) x 3(関節) = 12、が「ひとまとまり」や「ひと区切り」となったからだ。』といった説(また、それらが相互に助け合って、古代人の社会では十二進法使用が推進され、さかんに用いられた、などという説)が主流である。(ちなみに、ヘブライ人も12を「ひとまとまり」や「全部」と捉える発想を持っておりヘブライ語聖書に登場する「十二部族」は、単なる12個の部族というだけでなく、「全ての部族」という意味を持っている。こうした天体の動きや暦や人類の身体の構造などが、現代にまで使われつづける記数法を生んでおり、(文化的に)ひとつひとつの数に与えられている意味、意味付け、にも影響している。)

近・現代では、概して言えば、十進法表記が用いられていることが多い。理屈の上では、さまざまな記数法を採用しうるのに、(また、必ずしも十進法が他の進法と比較して優れているわけでもないのに)なぜ十進法が採用されることが多くなったのか? という疑問に関しては、おおむね(説明法の細部は異なっても)「人類の両は合わせて10本あり、両手の指をつかって数を数えることが(必ずしも全ての民族ではないにしても)多くの民族で行われていたからだ」といった類の説明がされることが多い。いずれの方法[注 1]でも、両手の指を全部使ったところである種の「ひとまとまり」や「ひと区切り」を迎えるので、自然と人類は十進法という発想法(記述法)を用いることが多くなった、といった説明である。

なお20世紀後半になってデジタルコンピュータの使用が急速に増えるにつれ、計算機科学の専門家やコンピュータ・エンジニアなどを中心として二進法や十六進法の活用が非常に活発になった。二進法はデジタルコンピュータのCPUでの数表現と直結していたからである。ただ二進法は、その表記量が増えると「1010 1111 0101 1100 ...」などといった調子で、あまりに桁数が多くなり、おまけに「0」「1」ばかりでは人間の頭脳の特性には向いておらず扱いにくくなるので、一旦それを十六進表記に変換して「AF5C...」などと表記したり、十六進表記でプログラム(の要素)を書いたり、十六進表記に対応したキーボードでそれを入力するしくみを作った。二進数表記と十六進数表記は、二進数の4桁(4文字)が十六進の1桁(1文字)に(ちょうど、まとめて、すっきりと)変換でき、一種の「相性」のようなものが良く便利なので、用いられた。例えば上記の「1010」→「A」と変換できる。また、コンピュータの仕組みとしては、「A」のキーが押されたら、内部的にはそれを「1010」と(デジタル回路のON/OFFで)表現すれば良く、2進で4桁分ずつデータを取り込んでゆけば良かった。(こうして1960年代?1980年代は、コンピュータを実際に操作する場面で、さかんに十六進表記のデータ群やプログラムが使われた。最近は、システム開発の焦点となる次元(アーキテクチャ内での階層)が変わり、コンピュータ・エンジニアが十六進表記の記述を扱うことはかなり減ったが)、デジタルコンピュータは今も、二進法を根本原理として、物理的に動いており、それに支配されている。これらのことから現在でも、コンピュータのエンジニアの資格試験では二進法・十六進法・十進法などの間の相互変換は(コンピュータの根本原理を理解するためにも、それを扱うために開発された技術的手法の歴史を理解する上でも)必修事項となっており、コンピュータ・エンジニアの資格取得者ならばそれらの相互変換ができる。

なお、ある数を記述するための記数法が指定されても、それでも表示がひとつに定まらないことがある。例えば、十進小数表示では 1 = 0.999... (右辺は、小数点以下の全ての桁が 9)という2通りの表示をもちうる。
コンピュータにおける数値

デジタルコンピュータでは、全てのデータは内部的には、0/1 という数値の集まり(あるいはスイッチのOFF/ONという状態、さらに厳密に言えば Low/Highという2種類の電圧)という形で存在している。ひとつのスイッチのOFF/ONという状態が、数値の0/1と対応しており(同一視する方法で設計されており)、0/1があるので2進数が表現可能となっている。ひとつのスイッチ、0/1ひとつ、2進数の1桁相当を「1ビット」と言う。ひとつのスイッチが1桁の2進数に対応するので、スイッチの個数を増やして組み合わせてゆくことで(同タイプのスイッチを並べておいてひとまとまりとして扱うことで)、桁数の多い2進数も表現できる。2進数8桁を、しばしばひとかたまりとしてとらえて「1バイト」という。1バイト(=8ビット)で、28=256種類の値が表現できる。これの扱い方はいくつかあり、ひとつはこれを0?255として扱う方法がある。あるいはこれを「-128?0?127」という整数などと見なして扱うこと(回路を設計すること)もできる。1バイトではわずかこの程度の範囲の整数しか表現できないが、桁数を増やす(ビット数、バイト数を増やす)ことで、もっと大きな整数を表現できることになる。たとえば2バイトならば、-32768?+32767が表現できる。コンピュータの歴史では、CPUが一度に扱える桁数が 1バイト→2バイト→4バイト→8バイトと増すにつれ、大きな桁数の整数を表現し扱うことができるようになってきた。(整数以上の数の表現方法まで説明するとあまりに長文になるので省略するが)ともかくこのようにして、さまざまな工夫をすることで、コンピュータの内部では、自然数・負の数・整数・実数などをLow/Highという電圧(あるいは0/1)の集まりで表現し、多数のスイッチの電位を超高速で連鎖的に変化させることで、数の演算を実現している。「コンピュータの数値表現」、「浮動小数点数」、および「固定小数点数」も参照

なお、パソコンなどの回路では、文字も「文字コード」という数値で(さらに言えば、想定されている数値と対応する、スイッチ群のOn/Offという状態の形で)存在している。例えばラテン文字の1番目の大文字 A は標準的なASCIIコードやShift_JISUTF-8などでは十六進法表記で0x41(十進法表記で65)で、小文字の a は0x61=97である。同じように数字も文字として存在しており、文字 0 の数値は0x30=48である。「文字コード」も参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ヨーロッパでは多くの国で、一旦指を全部たたんだ状態を「0」と見なし、「1, 2, 3...」と数を声に出しつつ1本ずつ指を立ててゆき、数をかぞえてゆく。日本では反対に、全部の指を一旦立てた状態を「0」と見なし、「1, 2, 3...」と指を「折り」曲げつつ数を数えてゆく。日本語ではしばしば「指折り数える」と言う。

出典^ a b c d 小学館、『デジタル大辞泉』「かず【数】」
^ Charles SEIFE, "ZERO, THE BIOGRAPHY OF A DANGEROUS IDEA".  Souvenir Press, 2000.
^ アンリ・ポアンカレ 著、吉田洋一 訳「第二篇第二章」『科学と方法』(再版)岩波書店〈岩波文庫 85-87〉、1927年。NDLJP:1195367。 

関連項目を表す数が書かれたエレベーター押しボタン。.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、数に関連するカテゴリがあります。ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。数

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数に関する記事の一覧

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外部リンク

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