数珠の珠は、古い文献には七宝が良いとされるが、現在では菩提樹など様々な材質が用いられる。珠の材料により、価格には大きな差がある。本水晶(玻璃)や珊瑚など明るい色合いのものは女性に好まれる。
高級な数珠用の素材としては、針入り水晶(ルチルクォーツ)、本翡翠(ビルマ翡翠)、象牙、ラピスラズリ(瑠璃)、天竺菩提樹・沈香などが用いられる。安価な数珠用には、石や珊瑚に似せたガラスや樹脂製の珠も用いられている。
宗旨・宗派により、材質や色、房の形に決まりがある場合があるので注意が必要である。
宝石
七宝[注 2]
「瑠璃」(ラピスラズリ)・「玻璃」(本水晶)・「??」・「珊瑚[注 3]」・「瑪瑙」(アゲート・オニキス)・「真珠」
七宝のうち「金」と「銀」は、天珠などに用いられる場合が多い。
その他の宝石・貴石
「翡翠」(本翡翠・ビルマ翡翠)[注 4]・「ルチルクォーツ」(針水晶)・色付き水晶(「紫水晶」・「茶水晶」など)・「トルマリン」・「虎目石」・「琥珀」など
鉱石
「マラカイト」(孔雀石)・「アベンチュリン」(インド翡翠)[注 5]など
木
木材
柘植、檜、正梅など
唐木
黒檀[注 6]、紫檀、鉄刀木(たがやさん)
香木
沈香、白檀
果実
菩提樹
天竺菩提樹[注 7]、蓮華菩提樹、星月菩提樹、金剛菩提樹[注 8]、鳳眼菩提樹、龍眼菩提樹、虎眼菩提樹など
その他の果実
栴檀ジュズダマモクゲンジ
天台宗用本式数珠は、輪の部分に主珠を108珠・親珠を1珠・四天珠を4珠を用いる。
珠の配置は、親珠1珠→主珠7珠→四天珠1珠→主珠14珠→四天珠1珠→主珠66珠→四天珠1珠→主珠14珠→四天珠1珠→主珠7珠で一周して輪になる。
親珠の下の房の結び目には、「浄名」と呼ばれる小珠が一珠付く。浄名の下には2本の房が付く。房の形は、いろいろな形が用いられる。(菊房や利休房(蹴鞠房)を用いる事が多い。)房には弟子珠が付く。弟子珠の形は、片方の房は丸珠が10珠。もう片方には、平珠が20珠と特徴がある。それぞれの弟子珠の先に「つゆ」と呼ばれる涙型の珠が付く。天台宗の数珠の特徴は、主珠に平珠(そろばん珠)と呼ばれる扁平の珠が用いられる事である。 真言宗用の本式数珠は、輪の部分に主珠を108珠・親珠を2珠・四天珠を4珠を用いる。珠の配置は、親珠1珠→主珠7珠→四天珠1珠→主珠14珠→四天珠1珠→主珠33珠→親珠1珠→主珠33珠→四天珠1珠→主珠14珠→四天珠1珠→主珠7珠で一周して輪になる。 四天珠に近い側の親珠に付く房の結び目にのみ、「浄名」が一珠付く。 2つの親珠には、房が2本ずつ付く(計4本)。房の形は、いろいろな形が用いられる。菊房や利休房〈蹴鞠房〉を用いる場合が多い。各房に弟子珠が5珠と「つゆ」が1珠付く。(弟子珠・計20珠、つゆ・計4珠) また女性用の八寸の真言宗用の本連は八宗用念珠と呼ばれて販売され、宗派を問わず用いる事ができるとされている。 持ち方は(中院流の場合)右手の中指に母珠を掛け、左手の人指し指に緒留を掛ける。そのときに、念珠の輪の形がX(エックス)の形になるように1回だけねじる。合掌するときに、両方の房を手のひらの中に入れる。そして、左手を上にしてふせて、右手を下にして、仰げて軽く2?3度すり合わせ、右手を手前にして引いて止める。数珠を一双(いっそう)(一つの輪)にして持つときは、左手首へ掛けるが、その時には、母珠が左手首の上になるように掛ける。数珠を一双に持つと、両手が使えるので経本を手に持ちながら、読経をすることが出来る。在家(壇信徒
真言宗用
真言宗の僧侶用数珠の仕様の一例を挙げれば、108珠・貫線を赤色・房を白色にする。貫線を赤色にする理由については、さまざまな説があり、定説はない。数珠には命(魂)が宿っているものと見なし、貫線を血管、血液に見立てている説などがある。数珠の仕様は真言宗では事相(真言密教の儀礼・作法)の分野に入る。なお僧侶用の数珠(108珠で貫線が赤色・房を白色)を在家(壇信徒)が使っても特に差し支えはないとされる。
また真言宗には「五大力念珠」(ごだいりきねんじゅ)というものもある。これは醍醐山伝法学院
長・服部如実が感得して作らせた念珠である。真言宗108珠の念珠であるが、2種類の材質の珠を用い、房を5色の紐(ひも)にしているが特徴。醍醐寺において授与品として販売されている。