敬老の日の起源を野間谷村の敬老会に求めるならば、9月15日という日取りは上述の通り野間谷村の農事暦と気候に由来するものになる。門脇政夫の事績を伝える多可町広報の記事によれば、9月という開催時期には、農閑期であることや気候に加え、養老の滝伝説も参考にしたという[4](元正天皇が霊亀3年(717年)9月に滝を訪れて養老の滝と命名、同年に養老と改元し、全国の高齢者に賜品を下した[15]。ただし『続日本紀』にはその日付は9月20日とあり、15日ではない。これは旧暦なので、ユリウス暦に換算すると10月28日、第4木曜日である)。
このほか、聖徳太子が四天王寺に悲田院を建立した日が593年9月15日であるとして、敬老の日をこれに由緒づける主張もある[16]。『四天王寺縁起』によれば、聖徳太子が四天王寺建立(593年)と同時に悲田院を含む「四箇院」(現代でいう社会福祉施設)を設立したとあるが[17]、「9月15日」という日付には根拠がない。四天王寺悲田院の伝統を継ぐとする四天王寺福祉事業団も、「敬老の日」由来の諸説のひとつとして挙げるにとどまる[16]。なお、四箇院の創設者を聖徳太子とする伝承も、後年の太子信仰の中で仮託されたものと考えられている[18] 2001年(平成13年)の祝日法改正(いわゆるハッピーマンデー制度の実施)によって、2003年(平成15年)からは9月第3月曜日となった。だが、初年度の2003年の9月第3月曜日が偶然9月15日であったため、敬老の日が9月第3月曜日へ変更されて9月15日以外の日付になったのは、2004年(平成16年)の9月20日が最初である。 敬老の日を第3月曜日に移すにあたっては、当時存命であった提唱者門脇政夫が日付の変更について遺憾の意を表明したほか、財団法人全国老人クラブ連合会(全老連)が反対を表明した[19][20]。2001年(平成13年)に老人福祉法第5条を改正して9月15日を老人の日、同日より1週間を老人週間とした。 敬老の日は台風シーズンに当たり接近上陸が多くなる時期である。 中央社会福祉協議会が9月15日を「としよりの日」と定めた1951年(昭和26年)には、特殊通信日附印が使用されている[21][22]。 また、1958年(昭和33年)には郵政省(当時)から、「としよりの日」の特殊はがきが発行されている[23]。 復帰前の沖縄県でも「としよりの日」の名称のままでおなじ9月15日に祝日が制定され、1968年(昭和43年)、記念切手が発行された。 日本では当該年度中に100歳に到達する者(海外在留邦人及び永住している在日外国人を含む)に対して内閣総理大臣から「百歳を迎えられた方々の長寿を祝い、かつ、多年にわたり社会の発展に寄与してこられたことに感謝するとともに、ひろく国民が高齢者の福祉についての関心と理解を深める」という目的のもと、老人の日(9月15日)に、祝状と記念品として銀杯が贈呈されている[24]。 銀杯は、当初は純銀製であったが、2016年度からは、洋銀製(銅、亜鉛、ニッケルの合金の表面を銀メッキ処理したもの)に変更されている[25]。 東アジアで伝統的に祝われてきた五節句のひとつである9月9日(旧暦/陽暦)の重陽には、長寿を願って菊の花を浮かべたお酒を飲むなどの慣習があり、主旨が類似している[26]。 老人に敬意を表する祝日・記念日は各国に存在する。パラオでは5月5日が Senior Citizens Day とされ、祝日となっている。 アメリカ合衆国では、9月の第1月曜日の次の日曜日がNational Grandparents Day 国際連合は、高齢者の権利や高齢者の虐待撤廃などの意識向上を目的として、1990年12月に毎年10月1日を「国際高齢者デー」とすることを採択し、1991年から国際デーとして運用されている[26]。 中華人民共和国では、1989年に施行された中華人民共和国老年人権益保障法改正において、重陽にちなみ旧暦9月9日を「高齢者の日」(中国語: 老年?)と定めた[28]。
9月第3月曜日への移動
敬老の日と郵趣郵趣については郵便趣味を参照
内閣総理大臣による記念品(銀杯)
各国の敬老の日
重陽
祝日となっている国
その他の記念日
脚注[脚注の使い方]^ a b “国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条