その後、ディルタイは大著『シュライアーマッヒャーの生涯』(1870年)において、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスター』とそれに連なる類似した形式の作品群に対して、人間の生における様々な段階の形成(アウスビルドゥング)を示すものとして「教養小説」という語を用い、また後年の『体験と創作』(1905年)のヘルダーリンを扱った章でも「教養小説」の語を頻繁に用いこの語を有名にした。そうしてディルタイ以後、『ヴィルヘルム・マイスター』以前のドイツの作品にも遡行的に「教養小説」の性質が見出され、ヴィーラントの『アーガトン』、グリンメルスハウゼン『阿呆物語』、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩『パルチヴァル』などにまで適用されるに至った[5]。
ゲーテ以後の代表的な教養小説としては、ノヴァーリスの『青い花』、ヘルダーリンの『ヒュペーリオン』、シュティフターの『晩夏』、ケラーの『緑のハインリヒ』、トーマス・マン『魔の山』、ヘッセ『デミアン』などが挙げられる[6][7]。 「教養小説」の類義語として、「発展小説」(独: Entwicklungsroman
類義語
出典^ 柏原、60頁
^ 加藤秀俊『社会学』中央公論新社〈中公新書〉、2018年、38頁。
^ 登張、3頁
^ 登張、3-4頁
^ 柏原、61-62頁
^ 登張、1-2頁
^ 柏原、62-63頁
^ 柏原、63頁
^ 登張、4-5頁
参考文献
登張正実『ドイツ教養小説の成立』 弘文堂、1964年
柏原兵三「ドイツ教養小説の系譜」『教養小説の展望と諸相』所収、しんせい会編、三修社、1977年
外部リンク
『教養小説』 - コトバンク
『ビルドゥングスロマン』 - コトバンク
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