教育
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元英国首相のウィンストン・チャーチルや、インドの首相ジャワハルラール・ネルーらを輩出したイギリスのハロウスクールなどもある[28]

日本では、教育費のうちで国や自治体が費用を出している比率が(世界の先進諸国の中で比較しても)低く、さらに少子化および少子高齢化が進んでいる[26]。また、日本での教育格差も厳然と存在しており、東京大学生徒の親の収入は平均約1000万円で、東京大学合格者は学費の高額な中高一貫校出身者が多くを占めている[29]

アメリカの公共経済学教授ブライアン・カプランは、学校教育は教育内容よりも学歴(シグナリング)が重視されるが、その点からいえば、学校教育のほとんどは無駄なシグナリングであり、政府も教育支出を削減すべきであるとする[30]。カプランは、歴史社会美術音楽外国語などは、社会に出ても役に立つことはなく、学生もすぐに忘れるほどで、単に時間の無駄となっており、必須科目から選択制にしたり、または授業の水準をあげて成績下位の生徒を落第にすれば無駄はなくなるともいえるが、しかし、「税金を使って非実用的な教科を教える授業の廃止」が最も有効であると主張する[30]。カプランは、「なぜ美術を勉強するという選択肢に公費をかけて納税者が負担しなければならないのか。それより、公立大学の非実用的な学部は閉鎖し、政府の助成金ローンを受けられない私立大学に非実用的な専攻の学科を創設すればいい」と提案し、現在問題になっている高額授業料にしても、無益な進学を抑制しているだけでなく、専攻の最適化にも役立っていると述べる[30]
教育と収入各国における学歴と収入については「教育経済学#教育段階と収入」を参照

収入面での効果が、比較的多くの人々の関心を集めている。各国においては、学歴が上がるほど生涯賃金も上がる傾向にある[31]

しかし日本においては、実際のデータを見てみると学歴による生涯賃金の差は比較的小さいという見解もある[註 5]。単年度の見かけの給与はともかくとして、学校に通うことで働いて収入を得る年数が減る分、生涯賃金があまり増えない。特に大学院などは、(全日制で)大学院まで進むと、統計的に見て大卒よりもかえって生涯賃金は下がる場合が多い、とのデータもある。一般論として言えば日本の企業は大学院修了者をあまり歓迎していない。日本においては、教育を投資と考える傾向は低い。また、2005年現在の日本の社会では、「勉強して良い大学に入れば、良い企業に入れる」という仕組みはすでに崩れてきたことが幾人かの論者によって指摘されている[32]。例えば関東圏で例を挙げると、東京大学や他の六大学などを卒業していてもフリーターになってしまう可能性もある。
教育の商業化詳細は「教育バウチャー」を参照

教育の商業化、教育の市場化なども問題とされている[33]

1950年代からマネタリスト経済学者ミルトン・フリードマンが教育の市場化を目指し、教育バウチャーを提唱した。近年は、元ハーバード大学学長のデレック・ボックが大学の商業化を批判している[34]。ほか、市場原理の大学への導入を「アカデミック・キャピタリズム」として批判されることもある[35]

日本でも高等教育の市場化が問題とされている[36]。大学改革において、2004年に国立大学独立行政法人国立大学法人に移行したが、有馬朗人東京大学学長らが失敗であったと批判している[37]
グローバル教育政策市場詳細は「OECD生徒の学習到達度調査#グローバル教育政策市場とPISA」を参照

近年、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)事業において、成績の高い先進国がグローバル教育政策市場を開拓し、自国の教育モデルを海外に売る「教育の輸出」現象が生起していると指摘されている[38][39]
脚注[脚注の使い方]
註釈^ 聖書では子を教えるのは親の責任とされている(申命記(口語訳)#6:4-7)
^ a b 家庭教育のうち人間社会において基礎的な価値観・態度をこどもに示すことは特にしつけと呼ばれる。
^ 例えば、昭和50年代の日本の製造業において、教育水準の高まりが1%ポイントほど経済成長の高まりに寄与した。参照、労働省 『昭和59年 労働経済の分析(労働白書)』第II部1(1)1)
^ 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第十三条 1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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