カリキュラムとは、狭義には、具体的な指導計画・教育課程・時間割などを指す。欧米では、それ以上に「学習経験の総体」として、その教育課程に基づく「教師の働きかけ」と「子どもへの活動」すべてを包括する概念として、広くとらえられている。
なお、明示的なカリキュラムの他に、学校の制度・政治学的に存在する暗黙的なものを、カリキュラムの一つとしてとらえることもある。これは、隠れたカリキュラムと呼ばれている。 授業をよりよいものにするために、授業自体を分析し、未来へ生かす試みが行われた。 たとえば、授業のコミュニケーションを科学的に分析することが試みられた。1970年代に世界各国に普及したのは、相互作用分析
教育評価「教育評価」を参照
授業分析
しかし、このような分析だけで教育のすべてを分析することには無理があるという指摘がイギリスのハミルトンとデラモント、エイデルマンとウォーカーなどからあがった。その指摘の内容は、「表面的で観察可能な行動だけに関心を向け、その背後にある意図を考慮していない」などである[9]。
より複雑な形で会話分析を行った研究者には、アーノ・ベラック、メーハンなどがあげられる。とくにメーハンは、著書『授業を学ぶ』においてエスノメソドロジーの会話分析手法を使い、教室のコミュニケーションの本質的な特徴を浮き彫りにしている。たとえば、下記のやり取り[10]を比較すると、わかりやすい。(普通の会話)A氏「今何時ですか?」 B氏「2時半です。」 A氏「ありがとう。」(授業の会話)先生「今何時ですか?」 生徒「2時半です。」 先生「よろしい。」
カートニィ・キャスデンは、社会言語学の立場から教室のコミュニケーション分析を行った。その成果には、子どもの誤答から正しい答えを導いた過程も、実は教師の会話の構造を判断し正解にたどり着いた可能性がありうること、などがあげられる。
どの分析方法も授業に生かすために有用ではあるが、それぞれの分析方法は一定の視点で調べているにしか過ぎず、目的に応じて適切な分析方法を選ぶ必要がある。 現代では、引きこもり・不登校・いじめ、学力不振、そして教員志望者の激減、教師自身の燃え尽き症候群など、様々な学校の危機が、教師を取り巻いている[11][12]。このような中で、教師の役割・責任・専門性について問われており、教育方法学でもこの問題を取り扱う。 たとえば、「教師の「役割・責任・指導技術」議論の具体的内容と方向性は、基本的に教育目的や目標をどのように設定するかによって左右される[13]」と指摘している。 また、教師の専門性について、教師とは「公僕」なのか、「労働者」なのか、あるいは、「技術的熟達者」なのか、「反省的実践家」なのか、議論が重ねられている[14]。 コンピュータの発達に伴い、それを応用した教育活動が実践されている。これらは、教育工学という分野で研究がなされている。 佐藤学は、コンピュータによる教育に問題がおこる理由として、「コンピュータは道具に過ぎないのであり、主たるエージェントは、教師や生徒の方だからである。コンピュータ教育が機械的であったり現実から遊離してしまうのは、教師と生徒が機械的に生きているからであり、授業と学びが虚構の世界にしか基盤を置いていないからである。」[15]と述べている。 日本の教育職員免許法施行規則では、「教職に関する科目」の中で「教育の方法及び技術(情報機器及び教材の活用を含む。)」の科目を履修することとなっている。この科目が教育方法学の授業に該当し、教育職員免許状取得上の必修科目となっている。「教育方法」「教育方法学」「教育の方法と技術」などの科目で教えられることが多い[16][17]。 ⇒日本教育方法学会.mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.90em;right:1em;display:none}
教師の役割・専門性
教育工学とコンピュータ詳細は「教育工学」を参照
課題
教員免許に関する課題
脚注^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p7
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p18
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p20
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p21
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p21?22
^ 佐藤学は「一般世論」での「要望」であったと述べている。佐藤学『教育方法学』岩波書店,p39
^ 大西信行「教育方法の理論と歴史」『教育の方法と技術』平沢茂 編,図書文化社,pp.41?47
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,pp81?84。
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,pp84?85。
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p93から翻訳。
^ 平沢茂・久保田力「授業における教師の役割と指導技術」『教育の方法と技術』平沢茂 編,図書文化社,p80
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p135
^ 平沢茂・久保田力「授業における教師の役割と指導技術」『教育の方法と技術』平沢茂 編,図書文化社,pp81
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,pp141?146
^ 佐藤学『教育方法学』岩波書店,p164
^ 平沢茂 編『教育の方法と技術』,図書文化社,p3(まえがき)
^ 平沢茂「教育の方法と技術に関わる諸概念」『教育の方法と技術』平沢茂 編,図書文化社,p15
参考文献
平沢茂編著『教育の方法と技術』図書文化社
佐藤学『教育方法学』岩波書店〈岩波テキストブックス〉、1996年。ISBN 4-00-026005-7。OCLC 47319829。全国書誌番号:97040249。
関連項目
教育学
教育史
教育心理学
教育社会学
教育行政学
教育工学
教科教育学
外部リンク