教育基本法
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現行法で新設日本国憲法第26条の基本権としての私学教育を受ける権利と、それに対応した国・地方自治体の私学教育振興義務
教員(第9条)

1 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
家庭教育(第10条)

現行法で新設。1項で、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとすると規定し、2項で国及び地方公共団体の責務として、家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない、としている。
幼児教育(第11条)

現行法で新設
社会教育(第12条)

1項で、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならないとし、2項で図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供などで社会教育の振興に努めなければならない、としている。

この節の加筆が望まれています。

学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力(第13条)
現行法で新設。
政治教育(第14条)
1項で、良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならないと規定し、2項で法律に定める学校が特定の政党を支持するための教育を行ってはならないと、学校の政治的中立性を定める。
宗教教育(第15条)
1項で、宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならないと規定し、2項で国公立学校で特定の宗教のための宗教教育を行ってはならないと、公立学校宗教的中立性を規定する。
教育行政(第3章)
教育行政(第16条)
1項で、教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならないと規定し、2項以下で国と地方公共団体の責務について定める。
教育振興基本計画(第17条)
政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定めることとし、2項で地方公共団体も教育に関する基本的計画を定めるよう努めるものとしている。
法令の制定(第4章)

この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない(第18条)。
現行法と旧法の違い

出典:[2][3]

道徳教育

現行法では、前文に「公共の精神」を尊ぶことが掲げられ、第2条において「教育の目標」として「豊かな情操と道徳心を培う」ことなど、育成されるべき国民の姿が示されている。

旧法においては道徳教育に関する規定はなく、道徳教育については文部科学省告示である学習指導要領に提示されていた。


愛国心について、

現行法では、教育の目標の一つとして第2条5で「伝統文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」があげられる形で触れられている。

旧法においては「愛国(心)教育」に関しては触れられていなかった。


普通教育の年限

現行法では具体的に記載されず、第5条で「別に法律に定めるところにより」とされている。

旧法の第4条では「九年の普通教育を受けさせる義務」があるとされていた。


教員の養成と研修について

現行法第9条では、教員について「養成と研修の充実が図られなければならない」ことが規定されている。

旧法においては教員の養成や研修に関しては触れられていなかった。


教育行政

現行法第16条では、教育が法律に基づいて行われるべきと明示されている。

旧法第10条においては「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」とされていた。


現行法では、生涯学習の理念、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育、学校、家庭及び地域住民等の相互の連帯協力、教育振興計画が追加されたが、旧法にあった男女共学についての記述は削除された。

旧法の各規定

旧法の各規定を解説する。
教育の目的・方針(前文、第1条、第2条)
前文、第1条、第2条には、教育そのもののあり方について触れられている。前文では、日本国憲法の精神に則り教育基本法が制定されたこと、第1条では教育の目的は人格の完成をめざすこと、第2条ではあらゆる機会あらゆる場所で教育の目的を達成することを述べている。教育勅語の代わる働きがあるとされたのは主にこの部分である。短い条文の中に、「平和」という文言が3度繰り返されていることも旧法の特徴と言える。
教育の機会均等(第3条)
日本国憲法第14条の平等規定を受けて、教育上の差別を禁止している。なお、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ)からの示唆を受けて、経済的差別をも禁じており、奨学金制度の根拠となる規定を定めている。
義務教育(第4条)
日本国憲法第26条の細目を定める形で、義務教育の年数を9年と規定し、義務教育の無償の具体化として、義務教育諸学校では授業料を徴収しないことを定めている。第2次世界大戦前は、義務教育年限が6年から8年に延ばす旨の法令(国民学校令)が制定されたが施行が延期され、実質的には教育基本法のこの規定によって、期間が延長されることになった。
男女共学(第5条)
学校における男女共学について規定し、これにより、男女別学の多くの学校が共学に移行した。当初は、女子教育の振興という規定を構想していたが、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) の強い示唆により、男女共学規定になった。
学校教育(第6条)
学校が公の性質を持つことを規定し、学校の設置者を国、地方公共団体、法律に定める法人に限定した。ここに設置者とは、設置権の帰属主体を言い、同時に設置能力の保持者でもある。また教員についても国公私立を問わず「全体の奉仕者」と規定し、その身分の適正化を促している。この規定を受けて、学校教育法及び教育公務員特例法などが制定された。
社会教育(第7条)
社会教育の推進を規定し、例示として図書館、博物館、公民館等の設置をあげている。この規定を受けて、社会教育法が制定された。
政治教育(第8条)
良識たる公民として必要な政治的教養の尊重を定めるとともに、学校における政治活動を一切禁止している。
宗教教育(第9条)
宗教に対しての寛容と社会生活における地位の尊重を規定し、国と地方公共団体が設置する学校における宗派教育を認めないと規定している(私立の教育機関では、宗教教育が禁止されていない)。
教育行政(第10条)
教育が不当な支配に服することなく国民全体に直接責任をもって行われることを規定し、教育行政の目標は、教育に必要な諸条件の整備確立とされている。なお、ここでいわれる教育の直接責任制は、公選制教育委員会制度を想定したものであるといわれる。
補則(第11条)
教育基本法を実施するため適切な法令が実施されなければならないことを規定している。この規定を根拠に、後に制定された教育関係法令は、教育基本法に照らして解釈されることが基本とされる。
沿革
旧法制定の経緯

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連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の占領統治の下日本国憲法制定後の第92回帝国議会によって、学校教育法などとともに制定された。

最初、大日本帝国憲法改正議論の中で、新憲法に教育規定を盛り込むべきとの意見が出されたが、当時文部大臣であった田中耕太郎により憲法とは別に法律で定めることが提案された。その後内閣総理大臣の管轄下に教育刷新委員会がおかれ旧法の内容が審議された。1947年3月12日に帝国議会へ法案を提出、同月26日には原案通り貴族院に可決、成立した。
政府与党および中央教育審議会における改正論議

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自民党は1997年(平成9年)、党教育改革推進会議において教育基本法見直しを含めた提言をまとめたが、教育の根幹にかかわる問題と判断し、具体的な改正論議は先送りした。

1999年(平成11年)に教育改革実施本部(本部長=森山真弓)が河村建夫衆議院議員をトップとするチームを始動させ、改正議論を本格化させた。小渕恵三-森喜朗内閣総理大臣(当時)の諮問機関であった教育改革国民会議の議論を踏まえて、2001年(平成13年)11月、遠山文部科学大臣は教育基本法改正を中央教育審議会に諮問した。2003年(平成15年)3月20日、中央教育審議会が教育基本法の改正を遠山敦子文部科学大臣(当時)に答申した[4]


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